嘉手納展開の米空軍戦闘機F-35とF-15C→F-22とF-16へ

5か月ぶりのご紹介:再び嘉手納でElephant Walkです
今回は機数増やすため新旧派遣機両方が参加
(Elephant Walk後も新派遣機が全機残置かは不明)

Kadena Elephant 2024.jpg4月11日米空軍嘉手納基地が、老朽化で撤退&退役するF-15C戦闘機の短期穴埋めローテーション派遣戦闘機等を滑走路上に並べ、中国向けに戦力をアピールする「Elephant Walk」を実施しましたのでご紹介します。このイベントは、ローテーション派遣機の交代時期に当たる2023年11月にも行われており、2回目の今回は派遣「交代前」と「交代後」の戦闘機が共に参加することで、参加戦闘機が前回より10機増えた形で実施されました

「沖縄なんて有事に敵攻撃で即機能停止が予期される場所に戦闘機を置きたくないから、F-15Cの後継に別戦闘機を配備する考えは全くないが、急に戦闘機を撤退すると言うと世間体が悪いから、当面は戦闘機のローテーション派遣と後釜の戦闘機配備は検討中・・・で誤魔化しておこう」と、まんぐーすが邪推する米空軍の本音は隠しつつ、戦力をアピールするイベントだとまんぐーすは理解しています

Kadena Elephant 2024 2.jpg2022年10月28日、約40年間展開してきた48機のF-15C型戦闘機を、「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると米空軍が突然発表して以降の「穴埋め戦闘機ローテーション派遣」経緯は記事末尾に列挙する通りで、今回は昨年10月頃から展開しているF-35と州空軍F-15Cの交代として、ハワイ配備のF-22と所属非公開のF-16が4月上旬に展開した模様です

ローテーション派遣機数は一貫して非公開で、段階的に退役する嘉手納F-15Cの残機数も非公開との米空軍の姿勢から、これまたまんぐーすの邪推ですが、「交代時期には、戦力見せびらかしElephant Walkのために各機種10機程度が嘉手納に所在するが、数週間後には2~6機程度のミニマム規模になっているのでは?」と推測していますし、

Kadena Elephant 2024 3.jpg最終的には、「嘉手納へのローテーション派遣への注目が低下して忘れられかけた頃に、嘉手納への後継戦闘機配備を検討の結果、西太平洋地域への配備戦力全体で考える形に改め、嘉手納への戦闘機配備については、戦力運用上の事項として今後は明確にはしない」と、コッソリ「2+2」合意文書の説明用資料の添付資料の地図の端っこに、小さな小さな文字で補足説明されて終わりの様な気がしています

米空軍関係者は嘉手納に期待しない旨を隠していません
Holmes3.jpg●2021年2月、当時の米空軍戦闘コマンド司令官(Mike Holmes大将)が米空軍主要幹部や軍需産業関係者を前に、「今の戦闘機の航続距離、搭載兵器、展開距離等は、欧州線域ではそのまま将来も通用するが、太平洋線域では距離の問題が克服できない」、「太平洋戦域では、次世代制空機(NGAD)検討において従来の戦闘機のような装備のニーズは必ずしも生まれない」と課題の本質を明確に述べたり、

●2022年11月、関連ウォーゲームに何度も関与しているミッチェル研究所長のデプチューラ退役空軍中将が、嘉手納F-15C/D撤退開始発表時に「嘉手納は対中国有事の際、疑いなく数百の中国軍の精密誘導ミサイル攻撃を受けるので、嘉手納基地の航空機は危機が迫れば他基地に避難する可能性が高い」、「前方プレゼンス維持、同盟国への関与維持、ISR活動の必要性等から嘉手納を捨てることはないだろうが・・」と隠すことなく軍事的合理性を基に語っています

Gates5.jpg●更に2023年5月のDefense-Newsは、新米空軍参謀総長と副参謀総長は、統合参謀本部議長にご栄転の前空軍参謀総長と共に、維持費のかさむF-15やA-10の早期退役を加速し、(アジア太平洋戦域では足が短く活動拠点確保も困難で犠牲も懸念される)F-35の調達機数も計画よりも削減し、先端無人機や指揮統制能力強化への投資を推進する案を練って推進し始めている・・・と紹介している等の関連情報が数多く出ています

●この流れの原点を遡れば、2009年1&2月号のForeign Affairs誌に掲載された当時のゲーツ国防長官による「A Balanced Strategy」との論文にたどり着き、中国やロシアや新興脅威国の台頭を念頭に「足の短い戦闘機の役割は小さくなる」喝破した表現に至ります。そしてその頃からチマチマと「戦闘機命派」を批判してきたのですが、力及ばず今日に至るまんぐーすです

Kadena Elephant 2024 4.jpg以下では、なんとなく哀愁の漂う今回の「Elephant Walk」を前回2023年11月時と比較しつつご紹介し、これまでのローテーション派遣の概要を列挙しておきます

それからも一つ・・・。米国防省や米軍は、中国の経済崩壊や連鎖する習近平中国統治体制の弱体化、汚職&粛清&給与減給による中国軍の混乱や秩序崩壊状況を、相当程度把握していると思いますが、この状況をどう評価して対応しようとしているのでしょうか? とっても気に成ります。

china collapse2.jpg全体的には「習近平が何をしでかすか分からない状況で、台湾に手を出すかもしれないから・・・」との理由をつけ、中国崩壊がより顕在化して「中国脅威論」が使えなくなる前に「予算を確保しておきたい」との思いが見え隠れしているような気がします

【4月11日のElephant Walk参加機】
カッコ内は昨年11月時の機数、太字は前回不参加機首
• Four F-15Cs(10)
Eight F-16Cs
• 10 F-35As(14)
11 F-22As
• One MQ-9 Reaper
• Two HH-60Gヘリ
• Two KC-135 空中給油機(1)
One MC-130J特殊作戦機
• One RC-135電波情報収集機
• One E-3早期警戒管制機
• One U.S. Navy P-8 Poseidon
(前回は海軍E/A-18G電子戦機2機も参加)

【ご参考:嘉手納F-15C/D撤退と代替機派遣の経緯】
●2022年11月4-5日にかけ、アラスカ配備の8機のF-22が嘉手納に展開
●2022年12月1日、第一弾として(恐らく)8機のF-15が米本土に帰還

●2023年1月17日、ドイツの米空軍基地から16機のF-16が展開
●2023年3月28日、アラスカEielson基地第355戦闘飛行隊所属のF-35が展開
(この時点で、各機種の機数は不明ながらF-22やF-16も嘉手納に所在)

●2023年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●2023年4月8日、米本土からF-15Eが嘉手納に展開

●2023年10月3日、加州とルイジアナ州の州空軍F-15Cが展開
●2023年11月20日、ユタ州Hill基地からF-35展開

●2024年4月11日、ハワイの2個飛行隊からF-22展開
●2024年4月日時非公開、派遣元非公開でF-16展開

Holmes大将やミッチェル研究所長等の「極東で戦闘機無力発言」
(非常にアクセス数の多い記事です)
「嘉手納F-15撤退を軍事的合理性から考察」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「米軍F-35調達機数削減の予兆を指摘」→https://holylandtokyo.com/2023/07/18/4823/
「新空軍2トップはF-35調達数削減派」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/

嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「ユタ州からF-35派遣」→https://holylandtokyo.com/2023/11/24/5271/
「加州とルイジアナ州空軍F-15C到着」→https://holylandtokyo.com/2023/10/10/5113/
「F-15E展開、F-22とF-16が帰還」→https://holylandtokyo.com/2023/04/12/4511/
「空軍F-35が嘉手納基地に展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/

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