衝撃!嘉手納米空軍F-15部隊が11月1日から段階的撤退へ

今後2年かけ段階的に米本土に撤退し退役へ
当面は別機種のローテーション派遣で代替らしいですが・・

F-15C Kadena.JPG10月28日、米空軍のAnn Stefanek報道官が、嘉手納基地所属の約48機のF-15C及びD型戦闘機が、11月1日から段階的に今後2年かけて米本土に帰国し、当面は一時的なローテーション方式で第4又は第5世代戦闘機を派遣して「嘉手納でのプレゼンスを維持する」と明らかにしました

また同報道官は、今後の長期的な米空軍嘉手納基地の活用法については米国防省として未決定だとしつつも、「米国による地域への抑止力提供と日本防衛に関するコミットメントは強固であり、アジア太平洋地域における戦力の近代化は最優先事項である。より高性能の航空機への変換は、これらコミットメントの好例である」と声明を出しています

物事の動きが速すぎます・・・

当面はローテーション派遣でしょうが、中国からの攻撃に極めて脆弱な嘉手納基地への期待を、米空軍はほとんど持っていないでしょう
/////////////////////////////////////////////////////////////////////

(以下は10月27日時点での情報)
ローテーション派遣への転換検討と情報筋
老朽F-15を米軍は来年度までに半減させる計画で
何と言っても有事初動で被害を受ける沖縄戦力ですから

F-15 Kadena3.jpg10月27日付Defense-Newsは、FT紙有料配信が最初に報じた「米空軍嘉手納基地からのF-15戦闘機撤退とローテーション派遣への転換検討」についてフォローし、匿名の国防省関係者の話として、老朽化が進み米空軍として退役を進めているF-15に関し、現在2個飛行隊約48機が所属している嘉手納基地F-15 C/D型についても撤退させ、ローテイション展開への転換を検討していると報じています

同情報筋は、米国防省として米空軍嘉手納基地配備の長期的な戦闘機体制について決定したわけではなく、F-15に代わる戦闘機のローテーション派遣計画を公表していないが、少なくとも短期的には嘉手納配備F-15C/D型の代替として戦闘機のローテーション派遣方式をとることになろうと語っているようです

Kadena AFB.jpgまた同情報筋は、現在配属されている嘉手納のF-15部隊が米本土に戻る時期は少し先になるとDefense-Newsに語ったようですが、海外駐留戦闘機部隊を米本土に戻すケースでは、ローテーション派遣方式で必要時に戦力を投入する方式は最近極めて一般的だと述べているようです

また本件に関して米空軍に問い合わせたが、27日時点では米空軍から回答はないとDefense-Newsは記事に記載しています

F-15 Kadena2.jpg米空軍は2021年時点で約220機F-15C/D型戦闘機を保有していますが、その多くが機体年齢40歳に近づき耐用年数が迫っており、米議会は既に米空軍の要望に沿って2022年度に48機退役を承認し、2023年度には更に61機退役が計画されており、2023年には保有機数が110機程度に半減する方向です
////////////////////////////////////////////////////

10月27日付Defense-News記事はとりあえず速報で以上を伝えたのみで、FT紙の記事は有料なので見ていませんが、台湾有事初動に中国による「何らかの手段」で機能喪失する可能性が極めて高い嘉手納基地航空戦力を撤退するのは、米軍的にとって「軍事的合理性」に立脚した当然の判断です

10月27日に米国防省から発表された「国家防衛戦略NDS」は、「中国」と明確に記述して1番の脅威と表現していますが、対応に必要な戦力量や態勢については触れられておらず、戦力配備再編にも言及していないようで、予算不足や同盟国への配慮だと思いますが、在日米軍戦力の中国正面からの「転進(撤退)」は軍事的合理性に基づく変えられない方向です

F-22Hawaii.jpg嘉手納戦力を無効化する「中国による何らかの手段」には、短距離弾道ミサイルもあれば、サイバーや電子戦や小型ドローン攻撃もあるでしょうし、沖縄県民に紛れ込んだ不法分子による施設へのテロ攻撃などなど様々な手法があります。広大で多数の地上インフラに支えられている航空基地は極めて脆弱であり、嘉手納からの米空軍F-15撤退は、そのことを日本人に突き付ける良い機会だと思います

日本の防衛費の増額が議論されていますが、輸入装備に頼る日本としては、現下の円安基調の中でより詰めた「何に投資するか」議論を日本政府や防衛省にお願いしたいものです

なお別報道では、ローテーション派遣される機種はF-22が想定されているようですが、第5世代機とは言え、稼働率の極めて低いF-22は、その展開頻度も展開機数も限定的とならざるを得ないでしょう

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「嘉手納で統合の航空機避難訓練」→https://holylandtokyo.com/2020/01/24/873/
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

太平洋軍を巡る関係者の発言
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「アジア太平洋地域で基地増設を検討中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-28
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「CSBAの海洋プレッシャー戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「岩田元陸幕長の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-09

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ: 東京の郊外より・・・
お支援下さっている皆様、ありがとうございます! そのお気持ちで元気100倍です!!! ●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月) ●ランチサポーターの皆様(1000円/月)  mecha_mecha様  ●カフェサポーターの皆様(50...
タイトルとURLをコピーしました