初飛行1981年TU-160の8割を更新の新造機M2型開発
2024-25年に運用開始し、27年までに10機体制
現有16機のTU-160も近代化改修してM2型へ
ほとんど実戦活躍が無かった同機の再生はあるのか?
1月10日付Defense-Newsは、プーチン大統領の強い押しで2015年から開発が始まった、TU-160の骨格をほぼそのまま活用しつつ、8割のシステムを新しくする新造機TU-160M2が、ツポレフ社傘下のMAC工場での2回目の試験飛行を終え、12月末にロシア国防省に引き渡され、今後更なる本格的な試験を経て2024-25年の運用開始と、2027年までの10機製造(当面の契約規模)に向けて前進していると報じました
ウクライナ侵略の当初計画が崩壊し、軍事面でも経済面でも苦境にあるロシアにおいて、今後の試験や部隊配備が順調に進むとは考えにくく、ロシア軍需産業とロシア国防計画が順調なことを示す「カラ元気」の可能性大ですが、隣国ロシアが極超音速兵器や核兵器を搭載する戦略爆撃機の動向ですので、ご紹介しておきます
初代TU-160はNATOで「ブラックジャック」と呼ばれ、米空軍B-1爆撃機を模倣したと言われる低空侵攻が可能な可変後退翼を持った超音速爆撃機ですが、B-1Bより一回り大きい機体と2倍弱のエンジン出力により、最大速度はB-1Bのマッハ1.25に対してマッハ2.05、航続距離はB-1Bを16%上回る14,000 km、最大搭載量はB-1Bの34tを17%上回る40tを誇った機体でした
試作機が1981年に初飛行し、1987年5月には2個飛行隊で運用開始しましたが、製造途中でソ連が崩壊し、試作機8機を含む35機しか生産されませんでした。特にウクライナは19機を保有していましたが、極めて複雑な構造から運用困難で放置され、後にロシアが8機買い戻した以外は使用されないまま廃棄される運命をたどっています
その後音沙汰がな途絶えていましたが、2005年頃からプーチン大統領が突然搭乗した映像が公開されたり、2007年に15年間中断されていた海外への遠距離偵察飛行に登場するなど、プレゼンスを再び示し始めました
それでも1987年の運用開始から実戦投入はありませんでしたが、2015年11月にシリアのアサド政権支援のため、他の戦略爆撃機とともに対ISの巡航ミサイル攻撃を行い実戦デビューを果たし、ロシア軍のウクライナ侵攻においても巡航ミサイル攻撃を行う様子が目撃されていたところです
TU-160の骨格を基にしたTU-160M2の開発は、2015年頃より表面化し、既存16機の近代化改修と合わせ50機程度の新造機Tu-160M2を開発製造する構想をロシア国防相が同年発表し、2018年1月に10機の新造TU-160M2製造契約をツポレフ社傘下のUACと締結していました。
開発UACで2022年1月と12月に試験飛行を行い、報道された露国防省への引き渡しとなっていますが、今後は企業が確認した基本性能を露空軍部隊で確認し、更に作戦運用を想定した北米や諸外国周辺空域への長距離飛行や低空での作戦行動試験、更には極超音速兵器などの兵器発射試験も行われる予定だそうです
M2型機は現有16機のTU-160の8割の搭載システムや装備を更新するほか、エンジンも新しいNK-32-02にして飛行試験で引き続き確認していくとのことです
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2024-25年には運用開始し、2027年までに10機を新造し、既存機16機のアップグレード改修機も含め50機体制を目指すとのことですが、ロシア経済大混乱の中、今後忘れた頃に報道されると予想されるTU-160M2運用開始の知らせを待つことといたしましょう。
プーチンが好みそうな威圧感ある機体ですが、長射程ミサイルを搭載するとは言え、BWB(blended wing body aircraft)形状に近い機体とは言え、ステルス性がB-1Bよりはるかに劣る大きな機体であり、今後の運用法にも注目したいところです
TU-160やM2型機に関するウィキペディア情報
→https://ja.wikipedia.org/wiki/Tu-160_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)
TU-160登場の記事
「ロシアTU-160爆撃機が南アフリカ展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-22
2018年にも南米ベネズエラへ飛行