Defense-Newsが選ぶ今年の「Top stories」10選

12月29日から1月4日の間は、原則、年末年始のお休みです
選定理由は不明です:アクセス数か、編集部の好みなのか?
10個のうち、まんぐーすは6個ご紹介しています(自慢!)

21日付Defense-Newsが、今年の「Top stories」として10個の過去記事を紹介しています
NGAD5.jpg何を判断基準に「Top stories」10個を選定したのか説明がありませんが、「Defense News スタッフ」の選定という事なので、ご紹介しておきます

10個のうち、まんぐーすは6個を取り上げており、なかなか「いい線言ってる」と自画自賛しているのですが、取り上げていない4個は、海軍艦艇の情けない様子や重要だとは思うがこれがなぜ「Top stories」なのかよくわからないエスパー長官の中国脅威話です

まんぐーすが取り上げた6個には、戦闘機関連記事が4つ含まれており、大きなお金が動き、今後の戦いの変化を示すバロメータやリトマス試験紙であろう戦闘機に、「Defense News スタッフ」又は「読者」の方の関心が高かったことが伺えます

まず、まんぐーす既紹介の6個の記事をDefense-News紹介順で
●「大激震:米空軍は次期制空機のデモ機を既に初飛行済
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
Roper2.jpg9月14日、米空軍調達開発担当次官補Will Roper氏が、検討は行われているが先送り状態とご紹介してきた「次期制空機:NGAD:Next Generation Air Dominance」について、最新のバーチャル設計開発技術と最新製造技術を駆使し、要求性能設定から1年足らずで既にデモ機の初飛行を終えているとDefense-Newsに明らかにし、メディアや関係者が大仰天!!!

Roper氏は、初飛行の時期やデモ機の特徴、何機デモ機を製造したかや関与した企業の有無、有人機か無人運用可能か、ステルス性や航続距離や搭載兵器等々の具体的事項への質問に一切答えず、いつごろ本格生産可能かとの問いにも「pretty fast」とだけ回答

秘密プロジェクトが多く、予算獲得に必要な米議会の理解を得るのに苦労している米空軍が、本来隠しておきたかった開発状況を語らざるを得なかったのでは・・・と邪推しています

●「トルコ用F-35を米空軍が購入へ:機種別機数第3位へ」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
7月20日、NATO加盟国なのにロシアから最新防空システムS-400を購入したトルコがF35計画から排除され、トルコ用に製造した8機の行方が話題となっていたところ、とりあえず8機を米空軍が購入して米空軍用に改修することが明らかに。そのほか何らかの製造段階にある20機もこの方向だとの噂です

●「強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15
Bonhomme.jpg定期修理&F-35B搭載用改修のためサンディエゴ港で停泊していた強襲揚陸艦Bonhomme Richardで7月12日朝に発生した大規模火災は、恐らく艦艇を使用不能または長期使用不可能にする可能性が高く、F-35B搭載の強襲揚陸艦ローテーション派遣を困難にし、米海軍と米海兵隊にとって大きな痛手に
艦内の火災温度が1000度に達し、艦艇を構成する鉄材の強度や形状を変質させる温度に至っていると報道されており、複数の専門家が艦艇としての再使用は困難と
見積もっているようです→後に、修理は費用対効果から断念と米海軍発表

●「F-35B型とC型が超音速飛行制限甘受」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
F-35 4.jpg4月末、米国防省F-35計画室が、F-35のB型とC型で明らかになった重大不具合に関し、「何も対策をせず、運用制限でリスクを回避する」方法で「米軍内の合意」を得たと明らかにして各方面がビックリ。主要な要求項目であるはずの超音速飛行要求を、いまさら影響なしという姿勢に唖然・・・との声が各方面から

問題は「高高度:extremely high altitudes」で超音速飛行を継続すると機体尾部の構造とステルス塗装に影響を及ぼすリスクが高く、尾部の各種アンテナにも被害が出るとの不具合ですが、F-35にはそれほど超音速飛行が必要ないことや、この不具合改修するには、長期にわたる設計開発と飛行試験が必要となることから、高速飛行に運用制限を課すことで対処することに決定とか

●「サイバー停電に備えミニ原発開発」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
mini nuclear.jpg3月6日、辣腕でおなじみのEllen Lord調達担当国防次官が講演で、電源供給網に対するサイバー攻撃の脅威が無視できなくなっていることから、米軍基地の重要施設へのバックアップ電源として、小型の原子力発電を検討していると述べ、重要装備品の迅速な調達を担当するSCO(Strategic Capabilities Office)を中心に関連企業と検討を進めていると明らかに

その数日後、3企業と総額約44億円のミニ原発設計契約を結び、1-5メガワット級のデザイン設計を競わせる計画も明らかに。

「安全かつ迅速に展開設置が可能で、かつ陸海空路で輸送可能なものを目指す」、「国防省のSCOが担当し、2年後に最も優れたものを1社選び、更にデモ機製造へ進む予定も、提案の成熟度によっては実用化しない可能性もあり」とのこと

●「インドネシアが欧州の中古戦闘機購入打診」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-21
Eurofighters.jpg同じく7月20日、インドネシア国防相がオーストリア国防相に書簡を送り、オーストリアが2002年から導入した15機のEurofighter Typhoon戦闘機を全て購入したいと提案

オーストリアのタイフーン戦闘機購入を巡り、オーストリア内で汚職がらみの問題が浮上し、あわせてタイフーン戦闘機のコストと能力についても疑問の声が上がり、「より効果的で、より費用対効果の高い解決策を求めて、2017年にオーストリアが同戦闘機の早期退役を決定」した事を受けたインドネシアの動きとか

取り上げていなかった4つの記事概要は
3月7日付 イージス艦の10年延命を米海軍断念
https://www.defensenews.com/naval/2020/03/07/destroyers-left-behind-us-navy-cancels-plans-to-extend-service-lives-of-its-workhorse-ddgs/
酷使で痛みが激しいアーレイバーク級イージス艦を約10年延命する計画を、費用対効果の観点から米海軍が諦めると明らかに

現在の290隻体制から355隻体制を目指すと言い続けた米海軍だが、この後は、無人艦艇を大量に導入して隻数を拡大させ、敵の攻撃目標を分散させる路線に動き出す

3月19日付 エスパー長官が中国の脅威を語る
https://www.defensenews.com/opinion/commentary/2020/03/19/espers-dark-vision-for-us-china-conflict-makes-war-more-likely/
アフガンや中東での戦いから、中国やロシアとの戦いに向けた体制転換の必要性を各所で訴えてきたエスパー長官の発言等をまとめて紹介した記事

3月27日付 初のステルス駆逐艦が4年でやっと兵装完了か
https://www.defensenews.com/naval/2020/03/27/nearly-4-years-after-commissioning-the-us-navy-is-about-to-get-a-fully-working-stealth-destroyer/
鳴り物入りで海軍が開発したステルス駆逐艦Zumwalt級がやっと形になりそうだが、建造コスト急騰と計画遅延で、当初は28隻購入予定が7隻になり、今では3隻も危ないと言われる惨状。海軍は何をやっても駄目だと言われる一つの典型的な事例

10月28日付 沿岸戦闘艦LCSの推進システムがまた故障
https://www.defensenews.com/naval/2020/10/28/another-littoral-combat-breaks-down-on-deployment/
南米での任務に出向した沿岸戦闘艦Detroitの推進装置が故障し、2015年16年に続く同種艦艇の推進装置トラブル。沿岸戦闘艦は他のタイプもトラブルや事故が多く、当初建造された4隻を改修する経費が費用対効果から見送られ、モスボール保管に。これも海軍は何をやっても駄目だと言われる一つの原因
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21日付Defense-Newsが掲載した、各記事の順序が何を示すのかも説明がありません。でも一番が「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」なら、納得な気がします。驚きましたから・・・

electoric warfare.jpgクリスマス休暇前に、休暇中に掲載する記事を無理やり書きためた印象ですが、トランプ大統領関連やコロナ関連記事(米空母での集団感染で艦長と海軍長官が更迭など)が含まれていないのが意外な気もします

F-35をUAEに輸出」はまだ山あり谷ありの雰囲気ですが、中東の流れが激変した事の象徴としてインパクト大でしたし、ドイツから駐留米軍1.2万人削減発表にも驚きました。最近では、フロノイ女史が次期国防長官から外れた件も「大きなため息」ものでした

皆さまはこの年の瀬に、何を思い出されますか???
Top storiesの中の6記事
「激震:米空軍は次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
「トルコ用F-35を購入へ:機種別機数第3位へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15
「F-35B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
「インドネシアが欧州の中古戦闘機購入打診」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-21

その他関連の記事
「UAEへの輸出に事実上合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-26
「独から1.2万名削減計画を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「Austin元大将が国防長官になる高いハードル 」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-02
「コロナで艦長と海軍長官更迭の空母」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-27

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