現有3機に加え2機増強、最終的には9機体制へ
本格紛争への投入可能性は不明ですが・・・
11月9日付米空軍協会web記事が、米空軍がビジネスジェット機を改良した通信中継機E-11Aを追加で2機Northrop Grumman社(NG社)と契約し、現在運用中の3機と合わせて5機体制に向かっている報じています
通信中継機E-11は、Bombardier社製のビジネスジェットGlobal Express 6000/BD-700に、NG社製のBACN機器(Battlefield Airborne Communications Nodeシステム)を搭載した機体で、2021年1月に米空軍とNG社が契約を結んで製造開始したもので、今後毎年1機を調達して合計9機体制を目指しているということです
また米空軍は、高高度無人偵察機RQ-4 Global HawkにBACN機材を搭載したEQ-4B を2018年頃から運用して4機保有していすが、米空軍RQ-4が退役を開始したのに合わせEQ-4Bも引退させようとしています
NG社は現存する米空軍BACN搭載機をすべて提供していますが、これまでに合計20万時間以上の飛行任務実績を積み重ねており、「近接航空支援CAS軍事作戦任務のほか、空輸物資投下、兵士救出、人道支援のカギとなる指揮統制を提供している」と今回の2機契約に際し声明を出しています
具体的には、アフガニスタン作戦における山岳地域での空地連携で、山にさえぎられて通信が途絶えがちな地形克服に重要な役割を果たしたほか、互いにデータシステムが全く異なるF-22とF-35の空中でのデータ共有を可能にする中継器としても大きな存在感を発揮しているようです
米空軍は2021年に次世代のBACN機器開発をNG社に契約しており、地上拠点との連携強化や個人装備との連接性強化、4世代機と5世代機のデータ共有能力向上、高い脅威下でも機能するGPSシステム、Link-16、最新の航法装置、機器の信頼性や性能向上、更に機体の残存性を高める自己防御能力強化を目指して開発が始まっているとのことです
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科学技術やIT技術が進歩しても、電波が直進する性質を変えることができないことから、各種データを前線兵士や操縦者と指揮所でリアルタイムで共有して戦いを優位に進めようとする米軍にとって、「通信中継」の役割は極めて重要なのでしょう。ご紹介している写真にはレドームが飛び出したような機体と普通のビジネスジェット機タイプの2つがありますが、両タイプがあるようです
E-11Aの他にも、KC-46A空中給油機に通信中継能力を付与する試験が行われていたり、MQ-9に通信中継を担わせる試みがあったりと、「空飛ぶwifi :wifi in the sky」との愛称で呼ばれるE-11Aへの需要は高まるのでしょう。
そうとは認識しつつも、対中国作戦が予期される台湾周辺や西太平洋で、元がビジネスジェット機であるE-11Aの使用は想定されているのでしょうか? アフガンなど大陸とは異なり、海洋作戦が多くを占める西太平洋では、衛星通信が重要視されるような気がします
通信中継機能も期待される機体には
「MQ-25A艦載無人空中給油機」→https://holylandtokyo.com/2021/09/17/2250/
「KC-46A空中給油機」→https://holylandtokyo.com/2020/01/17/868/
「64日間連続飛行の太陽光無人機」→https://holylandtokyo.com/2022/08/30/3585/
「無人ウイングマン機XQ-58」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「C-17輸送機でも」→https://holylandtokyo.com/2020/07/10/569/