最初の無人戦闘機(LCAAS)は5世代機の敵役に

(戦闘機族のボス)米空軍戦闘コマンド司令官が語る
「F-35調達機数削減意見を空軍内で聞いたことがない」

Kelly.jpg3日、米空軍戦闘コマンドACCのMark Kelly司令官が講演で、開発中の無人戦闘機(LCAAS:low-cost attritable aircraft systems)はまず第5世代機用の仮設敵機として活用することになろうと述べました

無人戦闘機(LCAAS)は無人ウイングマンとも呼ばれ、「Skyborg構想」とのプロジェクト名で2023年頃までにプロトタイプを完成させる予定で、現在3企業が具体的な試作・試験開発を進めているほか、欧州や豪州でも同様の動きがみられます

Skyborg3.jpgLCAASの「low-cost attritable」とは、低価格で損耗しても大きな負担にならない無人機の特徴を強調した呼び名ですが、一方で最新の航空技術や人工知能AIを搭載して高度な能力を備えることを目指しており、「あまりに性能が高くて実飛行では十分その能力を訓練できない」悩みを抱える第5世代機(F-22やF-35)の訓練相手としてまず活用しようと米空軍は考えたようで

また同司令官は、F-35の調達機数削減の噂や、戦闘機のサイバー攻撃対処についても質問に答えてコメントしていますので、併せてご紹介しておきます。米空軍内で「戦闘機族のボス」の地位にある同大将の発言ですので、その辺りを勘案しつつご覧ください

3日付米空軍協会web記事によれば
Kelly2.jpgKelly司令官は「Life Cycle Industry Days seminar」でオンライン講演を行い、LCAASの最初の活用先は、第5世代機であるF-22やF-35の仮設敵機になるだろうと述べた
同大将は、「今は第5世代機の訓練相手を十分確保できないが、それは訓練用に同レベルの相手機、つまりF-22やF-35を使用すると大きなコストが発生するからである」、「しかし技術の進歩により、ステルス性や電子妨害能力を備え、かつ耐久性も備えた(無人)機体が入手可能になってきた」「おおよそ有人機の25%のコストで実現可能と見積もっている」と説明した

(LCAASの完成期待度の高さを感じた聴衆から、空軍における将来の無人機比率を問う質問が出たが、同司令官は、)米空軍はLCAASの能力や役割を見極めている段階にあり、その問いに回答するのは次期尚早である。low-costではあるがコストゼロではないし、敵の機体も開発途上である点に留意すべきであると述べ、LCAASは人命にかかわるようなリスクのある場面の任務において活用される可能性が高いと同司令官は付け加えた

Kelly3.JPGただし同司令官は無人機の今後の増加発展は間違いないとし、(ステルス性がない)MQ-9やRQ-170は今後も活用され、無人機は発展産業になると表現した
第5世代機のサイバー対策問題については、兵站システムが課題だと述べ、PCやネットワークで機体を管理する時代では、機体をネットに接続することで機体データの全てが流出するリスクを抱えているとの認識を示した

F-35の活躍について同司令官は高く評価し、1年半に渡る中東派遣でも多数の任務を良好にこなしており満足できる状態にある、ただし維持整備コスト高止まりについて対応が求められていると表現した
F-35 luke AFB.jpgF-35調達計画機数については、2001年時点の1763機を削減しようとする動きは米空軍内にないとの認識を同大将は示し、「過去30年間で米空軍は保有戦闘機数を4000機から2000機にまで削減し、しかも対テロ作戦に注力している間に、保有機体の平均年齢は以前の8歳から28歳にまで老朽化が進んでしまっている」、「平均28歳は本格紛争には最適とは言えない状態である」と反論した

そして、F-35導入は本格紛争に備えた保有機体の若返りに貢献すると同司令官は主張し、「私は、多くの人が限られた予算をバランスよく資源配分すべきと主張していることを承知しているが、国防省内でF-35機数削減に動いている人に出会ったことはない」と語った

 

13日付米空軍協会web記事によれば
●9月に米空軍は「Blue Force Technologies」と、第5世代機用の仮設敵機として、4機の無人機戦闘機デモ機製造契約を結ぶ
●デモ機は2023年7月に初飛行を予定している

●同無人機にはモジュラー形式で多様な搭載物が可能で、またオープンアーキテクチャーで採用しており、様々なタイプの脅威を演じることが可能となる
●無人機エンジンは推力4000ポンド級で、ビジネスジェットクラスだが、機体が縦横6m前後で、速度はマック0.95、最大荷重9Gで機動性を確保する予定

●飛行時間当たりの維持整備費は、F-22の5万ドルに対し、約4000ドル程度と見積もられている
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少なくともBrown空軍参謀総長はF-35調達数削減に踏み込む必要があると考え、戦闘機構成の分析検討を命じていると思いますし、米空軍の主要幹部の一人として、戦闘族のボスとして、戦闘コマンド司令官自身が資源配分の観点からF-35調達数削減を持ち出すべきと考えます

Life Cycle.jpgこれだけ中国の軍事力が増し、戦闘機の活用場面が想定しずらくなっている中で、自ら動かず、政治家や国防省や参謀総長に下駄を預けて決断から逃げる姿勢は、見苦しく感じます

無人機の比率についても、米海軍の航空作戦部長が「空母艦載機における無人機の比率を、将来的には5~6割に高めることを検討」と発言しているのと比べ極めて消極的で残念です

米海軍は空母艦載機の無人機比率を
「将来的には2/3を無人機に」→https://holylandtokyo.com/2021/04/06/100/

無人機ウイングマン構想
「頭脳ACSが2機種目で試験飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-02
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-06
「多用途ドローン投下試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
最近のF-35
「エンジン不足で15%が飛行できず」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-15
「海兵隊C型が完全運用態勢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-08
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-24-1
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14-1
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21

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