米空軍の中国軍航空宇宙研究のメッカCASIが実質上機能停止へ

米空軍大学中国航空宇宙研究所(China Aerospace Studies Institute)
全研究を担当の文民研究者10名全員のポスト10月1日で廃止
研究職員の配置換え先決定まで残留とは言え・・・
軍人ポストは事務担当下士官2名と空席の副所長(少佐)ポストのみ
CASI所長「事実上CASIは終焉を迎える」

9月22日、米空軍は全国防省を対象に進められている文民職員リストラの一環として、米空軍大学内に2017年から設置され、主に中国語の文献等を基に「秘密情報指定のない」中国軍の航空・宇宙・ミサイル部隊に関する研究成果を発表している中国航空宇宙研究所(CASI:China Aerospace Studies Institute)の文民職員ポスト全てを、10月1日で廃止すると発表し、内外専門家に衝撃が走っています

CASIの成果は、専門家から「米国政府内外における人民解放軍に関する知識を著しく向上させた」と高く評価されており、特に2022年10月に発表の「中国ロケット軍の組織」との250ページのレポートは、そのあまりにも詳しい内容から「中国軍内部からのリーク情報を基に作成されたものだ」と西側専門家が認識していますし、ブログ記事末尾でご紹介している様に、「まんぐーす」もCASIレポートを複数回取り上げています

CASIは研究の全てを所属する10名の文民職員のみで行っており、軍人ポストは2名の下士官空軍兵士がCASI運営を支援する事務的業務要員として配置されている以外は、1年以上空席のCASI副所長(少佐ポスト)が組織編成上存在するだけであり、CASI所長(Director)のBrendan Mulvaney氏は「事実上CASIは終焉を迎える」と述べています。

一方で22日米空軍報道官は、「進行中の文民職員リストラの一環として、CASIへの民間職員の配置は今後行わない」、「文民職員は追って通知があるまで現職務にとどまり、配置転換の対象となるか評価される」、「CASI任務は継続され、配属された軍人がその目的を達成する」と説明していますが、2022年に米空軍トップが「中国語のあらゆる出版物を研究対象」として、「中国の航空宇宙能力の研究における米空軍の中核」と命じた任務が、簡単に引き継ぎ可能だとは誰も思っていません。

文民職員ポストのリストラは、米空軍の人事・予備役担当部署が起案したもので、米空軍大学の主要任務である「学生への専門的な軍事教育」関連業務をCASIが担っていないことが理由だとCASI所長は説明し、これまでCASIが作成した報告書、翻訳、教材が今後も一般公開されるのか、またWebサイトがオンラインのまま維持されるのかも不明だと語っており、本件に関する22日付米空軍大学オンライン発表がその後削除され、空軍側の説明と現場の説明にズレがあることも内外に波紋を広げています

また米空軍のCASIが実質「終焉を迎える」一方で、CASI所長は「米海軍のChina Maritime Studies Institute、米陸軍大学のChina Landpower Studies Centerや米海兵隊のChina Warfighting Initiativeには影響はない」とも語っており、米空軍だけがCASIリストラを行っている点も謎となっています
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「ググって見ると」、10月1日に文民ポスト廃止も、2027年3月まで文民職員は「余剰連邦職員」として空軍各部隊向けの「中国人民解放軍基礎講座」や報告書の作成発行等を可能な限り継続する模様です。ただし、2027年2月に計画されていた「創設10周年記念イベント」は中止・・・だそうです。

「まんぐーすの想像」では、国防省指示による機械的な文民ポスト削減割り当てに基づき、空軍司令部の人事担当が文民職員数比率に沿って削減数を各司令部に割り振り、教育訓練コマンド担当が公開時の反響や影響等を考慮せず、「CASIは学生への専門的な軍事教育を行っていない」との理屈が立つことから削減対象としたのでしょう。

事務的な承認手続きには、高位高官が多数関わっていると思いますが、最近の米空軍は空軍参謀総長を筆頭に「戦闘機の稼働率」と「ドローンが台頭する中での有人戦闘機の生き残り策」しか考えていないようなので、内容をよく確認せず書類にサインしたのでしょう。

しかし他軍種との横並びもあり、米国の安全保障専門家コミュニティから「痛恨の極み」「壊滅的な損失であり、重大な失策だ」との激しい批判が上がっていることから、何らかの「言い訳説明」や「軌道修正」があるように思います。

米空軍大学CASIの公式サイト
https://www.airuniversity.af.edu/CASI/

内容が詳細すぎ、中国軍内部からのリーク情報を基に作成されたと西側専門家の多くが推測
中国ロケット軍レポート約250ページ(2022年10月)
https://www.airuniversity.af.edu/CASI/Articles/Article-Display/Article/3193056/pla-rocket-force-organization/
上記レポート紹介記事
「中国ロケット軍の幹部汚職と同部隊能力」→https://holylandtokyo.com/2024/01/15/5436/

米空軍大学CASI中国航空宇宙研究所の論文等紹介記事
「ステルス技術への認識:偏りと誤認」→https://holylandtokyo.com/2026/06/30/15089/
「中国空軍パイロット養成改革」→https://holylandtokyo.com/2025/01/10/6611/

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