NGAD前に1500億円の海空共同「X-plane」実証研究存在

2015年から「NGAD X-plane」プログラム実施
海空軍とDARPAが費用3分割で複数技術デモ機成功
Skyborg/ Air Combat Evolution/MQ-28研究の成果も

NGAD10.jpg11月14日、Kendall空軍長官がPOLITICO Defense Summitで講演し、今年5月から開始し2024年に企業選定結果発表を行う次期制空機NGAD(Next-Generation Air Dominance)計画の前段階として、次世代制空機に必要な新技術実証を目的とした「NGAD X-plane」プログラムを、2015年から国防省研究機関DARPAと米海軍と米空軍が1500億円規模($1 billion)の予算を等配分負担する形で実施していたと初めて公表しました。

同長官は、「複数のプロトタイプ機が、我々3者が求める複数の先端技術実証に成功した」と語り、複数の異なるデザインのデモ機が競い合い、理論段階や要素段階の新技術を実際の航空機で実証確認して、米空軍が現在進めているNGAD計画の基礎となっていると説明しました。

Kendall POLITICO.jpg更に同長官は「NGAD X-plane」の前段階として、2014年から1年余りをかけ、当時調達&技術開発担当だった自身も関与してDARPA主導の「The Dominance Initiative」との基礎研究を行い、その研究に基づく提言として、将来の制空には、CCAにつながる無人ウイングマン機、次世代空対空戦闘ミサイル(AIM-260 JATM:Joint Advanced Tactical Missile)、「offboard sensors」などの「family of systems」構成要素が必要だと提言していたとも説明しています

なお「NGAD X-plane」との関連について同長官は触れなかったようですが、2020年9月に当時のRoper米空軍調達&開発担当次官補が、「最新のバーチャル設計開発と製造技術を駆使し、要求性能設定から1年足らずで、NGADデモ機の初飛行を既に終えている」と語って専門家や関連メディアが大騒ぎになりましたが、この「NGAD X-planeプログラム」関連の実証飛行だろうと推測できます

Kendall POLITICO2.jpg同長官は14日に、米空軍NGADは有人機と無人機が融合してコンビを組んで運用し、「NGAD X-plane」で実証したいくつかの技術を組み込むことになると細部には言及せず説明したようですが、例えば以前から国防省関係者は「NGADのステルス性能は、F-35やF-22から桁が異なる進歩を遂げている」と表現しているところです

また同長官は、「NGAD X-plane」以降の検討である米空軍によるSkyBorg研究、DARPAによるAI空中戦研究「Air Combat Evolution」、更に豪州とボーイング社が行った「MQ-28 Ghost Bat」などの検討成果を総合し、米空軍としてNGAD開発の機が熟したと判断したと語っています
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NGAD11.jpgNGADを支える「family of systems」構成要素に関し、CCA検討については16日に担当空軍次官補代理が語った「試験運用部隊の創設」などの内容を別記事でご紹介し、空中戦用ミサイルAIM-120の後継ミサイル「AIM-260 JATM」について同長官は、あと2-3年で本格生産に入り次世代の制空確保に貢献すると述べていますが、上記で触れた「offboard sensors」については何を指し示すのかまんぐーす把握していません

NGADは、今の時代における戦闘機の限界や矛盾点をあぶりだすプロジェクトになろうと考えています。以下の過去記事にある「欧州型とアジア太平洋型の2種類が必要」と言っている時点で、米空軍自らその矛盾に気付くべきだと思いますが、今後F-35経費膨張と共に、嫌と言うほど思い知らさせることになるのでしょう。日本もその矢面になっています・・・

超極秘開発の空中戦ミサイルAIM-260 JATM
「断片情報ですが・・・」→https://holylandtokyo.com/2022/04/04/3088/
「前任のAIM-120を大増産の謎」→https://holylandtokyo.com/2023/05/17/4556/
「2017年から開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-21

DARPAの「Air Combat Evolution」研究
「AIで人間の空中戦闘を補完」→https://holylandtokyo.com/2023/02/27/4326/
「米空軍研究所AFRLは2021年に実機で」→https://holylandtokyo.com/2020/06/10/620/
「無人機含む空中戦を支えるAI開発本格化」→https://holylandtokyo.com/2020/05/22/678/

Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holylandtokyo.com/2021/05/17/1489/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/

NGAD関連の記事
「複数企業が同基地内で競って検討中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/25/4678/
「企業選定開始」→https://holylandtokyo.com/2023/05/22/4656/
「欧州型とアジア太平洋型の2種類」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/
「NGADの無人随伴機開発は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-20
「無人機の群れ前線投入が課題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/28/3474/
「デモ機が既に初飛行済」→https://holylandtokyo.com/2020/09/17/482/

米空軍の戦闘機構成議論
「戦闘機の近未来体制は」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「戦闘機は7機種から4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/

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