ノルウェー企業製のJoint Strike MissilesをF-35用に
JSMは対艦ミサイルLRASMの非ステルス型の様な
計268発を2028年度までの間に調達予定
5月31日、米空軍がノルウェー企業Kongsberg Defense and Aerospaceが製造する射程300nm(540㎞)超の対地&対艦ミサイルJSM(Joint Strike Missiles)の第1弾48発購入契約を$141 million(約220億円)で締結し、2024年度から28年度の間に計268発を調達すると明らかにしました。
米空軍が他国から戦術ミサイルを購入するのは、1990年代上旬にイスラエルのRafael社からB-52爆撃機用に200発の通常弾頭スタンドオフ精密誘導ミサイルPopeye(米軍名AGM-142 Have Nap:2004年に退役済)を導入して以来で、2009年からノルウェーと豪州が資金を出して開発し、2023年夏に日本の防衛省も2024年度予算で同ミサイル購入に動いている同ミサイルに注目が集まっています。
なお、米国防省F-35計画室によれば、JSMは大部分の米軍F-35で使用可能も、全てではないとのことで、更に米空軍によれば、JSM開発は終了しているが、F-35Aへの適合改修は完了していないとのことです。また2024年度の48発契約に続き、2025年度から28年度までの間に各年度50, 54, 57, and 58発の購入を計画しているとのことです
またJMSは、Kongsberg社とレイセオン社が共同開発した「Naval Strike Missile」の派生形と言われているようですが、JMS製造や部品提供にレイセオン社が関与しているかは明らかになっておらず、今回の米空軍とKongsberg社との契約では、2026年8月までノルウェーのKongsberg工場で製造がおこなわれる、とのみ明らかにされているようです
JSMの概要は・・・
●全長3.7mで重量400㎏に弾頭125㎏搭載可能(比較されるJASSMとLRASMは全長4.3mで重量1000㎏に弾頭450㎏)、射程は300nm程度(JASSMとLRASMは500nmで、射程延長型で射程1000nmと推定)
●F-35A内部兵器庫に2発搭載可能で、翼下にもステルス性を犠牲にすれば搭載可。JASSMがステルス性を持つのに対し、JSMには無い
●発射試験は2015年から米空軍F-16を使用してユタ州試験場で始まっているが、初期作戦能力(IOC)の獲得は、F-35のソフト「ブロック4」がリリース以降で、完全運用は2025年の見込み
●GPSと地形判読等で目標に到達し、赤外線イメージシーカーで目標判別可能。また航空機から発射後に、発射母機からの指示や他ミサイルとの意思疎通により、目標変更が可能。艦艇攻撃時は「喫水線:water line」に命中
///////////////////////////////////////////
「子供の使い」の様な情報提供で恐縮です。本来であれば、なぜ米空軍が30年ぶりに外国製戦術ミサイルを導入することになったのかをご説明できれば良いのですが、射程距離の違いとステルス性以外は把握しておりません。(JSMが射程300nm・約500㎞で、JASSMとLRASMは500nm・900㎞。JSMにステルス性無し)
絶対的に「対中国艦艇用の精密誘導兵器数量が不足」していることが「JSMも同時調達」の背景かと推測しますが、JSMの発射試験に米国も協力し、同盟国である日本の航空自衛隊も導入するようですから、色々な背景や必要性があるのでしょう・・・
JSMと関連する記事
「米空軍2023年度の弾薬調達予算案」→https://holylandtokyo.com/2022/04/15/3098/
「空自JASSMに加えJSMも契約」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-17
対艦ミサイル不足が大問題
「CSISも弾薬不足問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/