米議会が国防省や陸空軍に無人機防御策レポート要求

分散や機動重視の作戦運用構想で展開先をどう防御するの?
来年2~3月期限で具体的な構想を要求

JCO high-power micro3.jpg6月13日付米空軍協会web記事は、米下院軍事委員会小委員会が2024年度予算関連法案の中で、米空軍が対中国を主に念頭に置く、航空戦力の小規模分散&機動展開構想ACE(Agile Combat Employment)でカギとなる、施設不十分な機動展開先飛行場の無人機脅威等からの防御体制(機動展開可能な防空システム計画、コスト見積もり、計画時程、想定装備調達や開発や運用に必要な判断事項など)を、2023年2月1日までに報告要求すると報じています

JCO2.jpgまた同記事は、米議会は米空軍だけでなく、来年3月1日期限で国防省に対しても、敵の無人機に対して、レーザーや電磁パルス兵器などのエネルギー兵器をどのように活用するのかに関する具体的な計画、例えば、他の防空兵器とのシステム一体化の検討状況、エネルギー兵器を使用した場合の周辺空域や人や社会インフラへの副次的な悪影響、兵士への教育訓練方針、調達規模や兵器維持に関する見積もり等々を要求しています

特に米陸軍に対して取り組みの遅れを厳しく指摘し、同様の期限で、統合の小型無人機対処検討チーム(JCO:Joint Counter-small Unmanned Systems Office)が検討&提案している対策案を、どのように取り入れる計画なのかを求め、「特に陸軍は、既に有効性が他軍種等で確認されているシステム導入にも、米特殊作戦軍と共に実戦環境で使用しているシステムにも、JCOが推奨システムにも、具体的に進む決定をしていない」と非難しています

Coyote Raytheon3.jpg既に「今そこにある危機」として脅威に直面している米中央軍のGuillot副司令官は具体的に、「高度150~300mを、速度15~30㎞で飛来する小型ドローンやその群れを、様々な防空システムを融合して、多層的に対処可能な防御態勢確立を求めている」、「複数でなく、1個スクリーンに脅威情報や対処状況がまとめて表示されるような仕組みを望んでいる」と訴え、

同じく中央軍のRenshaw作戦部長は、「Amazonで手りゅう弾や小型無人機が簡単に入手可能な今の時代は、誰もが見通し外の範囲を射程に収める攻撃力保有者になれる」と危機感を訴えています

THOR AFRL3.jpg米中央軍が直面するこのような課題は、対中国作戦を司る太平洋軍にも突き付けられた課題であり、グアム島のアンダーセン基地司令官等が不可欠な基地防空の重要性を訴え、また最近12名の多能力整備員チームで2機のF-35再発進準備に実験演習で挑戦した部隊指揮官も、敵の空からの脅威に対する守りの重要性を大前提として期待していたところです
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対中国作戦で米軍が分散&機動展開拠点として使用したい西太平洋の島々でも、米中央軍が直面しているような小型無人機の脅威を当然想定する必要があると思います。

solomon3.jpg既にソロモン諸島は中国治安部隊の駐留を可能にするような安保協定を中国と結び、インドネシアの米国への塩対応など、中国の西太平洋への浸透は、「南シナ海埋め立て要塞化」ほど目に見えないものの、「札束攻勢」で草の根レベルで根を張っていると考えるべきで、小型ドローン攻撃実施など簡単でしょう

沖縄はもちろんのこと、西日本の米軍や自衛隊基地も、当然のことながら「脅威下にある」と考えておくべきでしょう

西太平洋への中国の浸透
「インドネシアは米に塩対応」→https://holylandtokyo.com/2023/05/24/4640/
「ソロモン諸島と安保協定」→https://holylandtokyo.com/2022/04/11/3119/

THOR関連の記事
「電磁パルス兵器THOR群れ対処試験に成功」→https://holylandtokyo.com/2023/05/26/4663/
「装備名Mjölnirで24年にプロトタイプ作成へ」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「マイクロ波で小型無人機の群れ無効化狙う」→https://holylandtokyo.com/2021/07/06/1942/

物理的破壊方式のCoyoteなど
「シリア拠点で実戦防御に成功」→https://holylandtokyo.com/2023/02/06/4201/

米軍の小型無人機対処関連
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14

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