米海軍の次期艦載機F/A-XXの構想進まず

F/A-XX構想が定まらず米空軍の1/100の予算しか
専門家は予算不足で現有機派生形に落ち着かざるを得ないと
X-47Bの成果を葬った米海軍に亡霊が・・・

FA-XX Navy Boeing.jpg6月15日付Defense-Newsは、上院軍事委員会が米海軍に対し、現状で不明確な米海軍の次世代制空(NGAD)構想について不満を示し、整理して報告するように要求したと報じ、今現在の2020年度予算でも米海軍の要求額22億円に対し、わずか7億円しか認められていないと紹介しています

一方の米空軍は、公にはなっていないものの、PCA(Penetrating Counter Air)構想から離脱し、空軍省のWill Roper氏らを中心に、検討中の複数企業が同時並行的に取り組み、5年程度で最新鋭機を送り込む構想などを検証して煮詰めている模様で、これらに対し、1000億円程度の予算額が2020年度で認められているようです

X-47BFlight2.jpg中国の弾道や巡航ミサイルの射程距離と精度向上につれ、現有艦載機の航続距離では中国と戦えないとの危機感が専門家や有識者にはあり航続距離を得るには無人機が最適との意見が根強い中米海軍は無人攻撃機導入に消極的で、無人艦載給油機MQ-25Aの開発にかじを切っています
給油機MQ-25Aの原型は、かつて無人攻撃機をイメージして研究がすすめられ、空母での運用試験も行ったX-47Bのはずだったのに・・・・。米海軍の無人攻撃機への消極さは、元海軍トップからも指摘されています

15日付Defense-News記事によれば
FA-XX fass.jpg中国が対艦兵器を強化する中、その脅威から米空母を遠ざけるため、米海軍の苦悩は深まるばかりであるが、そんな中で新たな艦載戦闘攻撃機F/A-XXのロードマップを米議会から定めることが求められている。
上院軍事委員会は米海軍に構想提出を求め、「国家防衛戦略に適した空母航空団の構成と戦闘攻撃機F/A-XXの調達戦略の報告書を要求する」と米海軍に国防授権法の一部で求めたようだ

F/A-XXがどのようなものかは、米海軍内でも人によりさまざまで、米海軍省の研究開発担当次官補も「まだコンセプト検討フェーズにある」として、何も語っていない
一方で米海軍は、少なくとも36機のFA-18を2022-24年に調達する計画を白紙にし、その資金をNGADや戦闘攻撃機F/A-XX検討に充てる方向を打ち出し、米議会や関係者を驚かせている

X-47B Roosevelt.jpg専門家の意見は辛らつだ。ハドソン研究所(元CSBA)のBryan Clark研究員は米下院で最近証言し、「米海軍が置かれている財政上の厳しい制約からすれば、まったく新しい機体を開発導入することは事実上難しく、現有航空機の派生形にならざるを得ない」、「従って、生産ラインを維持するためにも、FA-18の調達をゼロにする米海軍案は不適切で、F/A-XXオプションを残す意味でもFA-18製造ラインを維持すべきだ」と語っている
前海軍次官のBob Work氏はさらに進んで、海軍と海兵隊がF-35のB型とC型、更にFA-18の3機種運用になって複雑さを増す結果になっている点を懸念し、航続距離が必要なら無人機が必要なことは各種分析から明白であり、焦点を絞って無人機へ早く進むべきだ、と訴えている

しかし米海軍内には無人攻撃機に対して消極的な姿勢があり、無人艦載攻撃機の開発試験を行っていた当時の米海軍人トップGarry Roughead退役大将は、「2021年に無人艦載機が初飛行や着艦試験を成功させた以降の過去8年間、当時の取り組みや成果が放置されたままだ。これほど重要な新技術に、これだけダラダラとした姿勢で」といらだちを隠せない
////////////////////////////////////////////////////
X-47BsTwo-ready.jpg空母の存在自体が疑問視され、その在り方の再検討が行われている中ですから、艦載戦闘攻撃機F/A-XXの検討が進まないのは当然ですが、新型空母や新型戦略原潜の価格が2倍に跳ね上がるような開発を行った米海軍が、自らの首を絞めているのが現状です

新型空母フォード級も無人艦載給油機MQ-25Aも、開発に暗雲が漂い始めている今日この頃、米海軍の将来が本当に心配です・・・

2012年当時のX-47Bの開発状況を過去記事でご覧ください。夢と希望にあふれています。エアシーバトルコンセプトが輝いていた時代のお話です・

空母艦載の無人攻撃機構想がしぼむ様子
「組織防衛VS無人機導入派」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-08-01
「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21
無人艦載攻撃機X-47Bの夢
「夏にRFP発出か:無人艦載機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28-1
「映像:空母甲板上で試験中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-11
「映像:X-47B地上カタパルト発進」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-01
「X-47Bが空母搭載試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28-1

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ: 東京の郊外より・・・
お支援下さっている皆様、ありがとうございます! そのお気持ちで元気100倍です!!! ●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月) ●ランチサポーターの皆様(1000円/月)  mecha_mecha様  ●カフェサポーターの皆様(50...
タイトルとURLをコピーしました