CSISが台湾有事のWargame結果を異例公開

24回様々な想定や参加者で実施した結果
莫大な被害想定を国民にも知らせ心の準備と抑止を
数千名の損失と莫大な装備被害で米軍は当面弱体化
無論早期に日本も巻き込まれ損害

CSIS Taiwan 2023.jpg1月9日、CSISが台湾有事(2026年に中国が台湾に着上陸侵攻)を想定した24回ものWargame結果を集約した168ページものレポート(The First Battle of the Next War:Wargaming a Chinese Invasion of Taiwan)として公開し、台湾が早期に降伏せず、日米が緊密に連携して対応すれば、中国の企図を早期に破砕することができるが、数千名の損失の他、数十の艦艇や数百の航空機を喪失し、米国の世界的立場は多年にわたり打撃を受けるとの分析結果を明らかにしました

通常このような影響の大きいシミュレーション結果は、秘匿度の高い情報を利用して実施されることから概要のみ公開や非公開となることが大半ですが、CSISはそのような手法では蓋然性が高まる台湾有事に関する国民的議論が不十分なまま事態を迎え、結果として生じる大きな損害を前に世論が思わぬ方向に大転換する恐れもあるとして、結果の公開を前提としてWargameを検討し実行したとのことです

CSIS Taiwan 2023-5.jpg24回のWargameは「Smith Richardson Foundation」が資金を提供し、米軍の退役将軍・海軍士官、元国防総省当局者らが参加して、想定や参加者を入れ替えて行われ、CSIS関係者は、過去使用されたデータや研究分析結果、理論的に導かれた兵器性能を基礎など、秘密情報を利用しない公開情報による公開フォーマットで実施されたことが最も重要だ・・と強調しています

各種報道から「つまみ食い」した情報で以下に同レポート概要の概要をご紹介しますが、「米軍の潜水艦や爆撃機、戦闘機は日本の自衛隊に頻繁に補強され」とか「自衛隊は平均122機の航空機、26隻の艦船を損失。米軍は空母2隻を喪失」とか、生々しい結果となっており、CSISが結果公開を前提として研究を進めた問題意識に強く共感した次第です

同レポート紹介YouTube映像・約140秒

10日付毎日新聞報道等によるとCSISレポートは・・・
CSIS Taiwan 2023-2.jpg●机上演習は22年夏から行われ、「米国が台湾防衛に加わる」「核兵器は使用されない」との前提で、数週間の軍事衝突をシミュレーション。米軍の参戦時期、台湾軍の即応体制、米軍の空対地ミサイルの対艦攻撃力の有無などの前提条件を変え、計24のシナリオを試した。
●中国が日本の基地や米軍の水上艦を攻撃したとしても結論を変えることはできないが、「台湾が反撃に出て降伏しない」というのが大前提。米軍の参戦前に台湾が降伏すれば、全てが終わるとの前提

●最も蓋然性が高い条件の3つのシナリオの内の2つでは、中国側が台湾の主要都市を制圧できないまま、10日以内に補給困難に陥り、「敗北」と判定された。残る1回では南部・台南の港を一時制圧したが、米軍の空爆で港は使用不能となり、「こう着状態だが中国に不利」と判定された。
●中国による大規模攻撃下でも、台湾地上部隊は敵の上陸拠点に展開して反撃、米軍の潜水艦や爆撃機、戦闘機は日本の自衛隊に頻繁に補強され、中国軍の水陸両用艦隊を迅速に無力化し、侵攻中国軍は補給の増強や上陸に苦戦

CSIS Taiwan 2023-4.jpg●ただし、この防衛には多大な代償が伴うことを指摘し、米国と日本は「何十もの艦船や何百もの航空機、何千もの兵士を失う」とともに、このレベルの損失を被れば米国の世界的立場は多年にわたり打撃を受けると分析
●自衛隊は在日米軍や自衛隊の基地が攻撃された場合に参戦し、中国の攻撃で平均122機の航空機、26隻の艦船を損失。米軍も毎回空母2隻を失うほか、168~372機の航空機、7~20隻の艦船を失った。台湾軍も平均約3500人の犠牲者を出した。

●台湾や米国にやや不利な条件で行われた17回のうち3回では「こう着状態だが中国に有利」と分析されたが、中国「勝利」と判定された例はなかった。
●だが、台湾が単独で防戦した場合や、日本が中立を保って紛争に参加する米軍部隊の在日米軍基地の使用を認めなかった場合には、中国が「勝利」した。

CSIS Taiwan 2023-3.jpg●上記を含む分析結果としてCSISレポートは、台湾が中国の侵攻に屈しない条件として「台湾陸軍の強化」「在日米軍基地の使用」「初期段階からの米軍の直接的関与」「米軍の長射程対艦巡航ミサイルAGM-158C(LRASM)等の増強」「戦力分散型の作戦運用」「戦力防護用シェルター整備」「爆撃機の増強」が「非常に重要だ」と指摘し、台湾への武器供与や日本との緊密な連携などを米国政府に提言した。
●CSISの担当研究者は、「中国は多くのシナリオで在日米軍や自衛隊の基地を攻撃した。日本は九州・沖縄の航空自衛隊基地の強靱化など備えを進めるべきだ」と指摘した。

追記します(2023年1月18日)
日本も参考にすべき台湾軍への提言部分をご紹介→中国上陸部隊を台湾国土で迎え撃つ陸軍を最優先し、台湾海軍と空軍は貢献できない艦艇や戦闘機への投資を見直し、対艦・防空・対装甲車ミサイル等を優先せよと主張→ https://holylandtokyo.com/2023/01/16/4160/
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CSIS Taiwan 2023-6.jpgCSISと日本の研究機関が相談し、日本語訳を出してはどうでしょうか?

そのくらいのインパクトがあると思いますし、レポートで導かれたシミュレーション結果が独り歩きしないように、又は左翼勢力に「切り取り曲解解釈報道」されないように備えておく点からも、日本で広く読まれるべき性質のものだと思います

空母2隻を喪失したら、1万名の米海軍兵士と装備品価値数兆円が失われるリスクに直結しているわけですから、それは恐ろしいまでのインパクトであることを肝に銘じるべきです

CSISの同レポート紹介webページ
https://www.csis.org/analysis/first-battle-next-war-wargaming-chinese-invasion-taiwan
CSISレポートの現物(165ページ!)
https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/publication/230109_Cancian_FirstBattle_NextWar.pdf?WdEUwJYWIySMPIr3ivhFolxC_gZQuSOQ

弾薬量の圧倒的不足
「CNAS:弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
台湾関連の記事
「台湾軍の抱える根深い問題」→https://holylandtokyo.com/2023/01/04/4103/
「ウクライナ侵略は日本への警告だ!」→https://holylandtokyo.com/2022/03/28/2949/

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