最新型F-16 Block 70初号機完成:既に受注130機

既存F-16のBlock 70への改修受注も400機越え
Block 70完成機は300-500機との需要予想も

F-16 Block 70 5.jpg11月21日、ロッキード社SC州Greenville工場で、F-16戦闘機の最新型Block 70/72初号機の完成式典が行われ、2023年に米空軍のエドワーズ空軍基地での初飛行など一連の試験を行うと同社が発表しました。

完成(roll out)したBlock 70/72型機はバーレーンに提供される予定の機体だそうですが、現時点でバーレーンを含む5か国(Slovakia, Bulgaria, Taiwan、他非公開1国)からの128機の受注契約が締結済で2020年代末までに製造予定で、他にヨルダン8機が手続き中で、ブルガリアとも協議中と同社報道官は語っています

F-16 Block 70 4.jpgBlock 70/72新造機の他に、既存の旧バージョンF-16のBlock 70/72への近代化改修受注は現時点で既に「405機」に達しており、2022年1月時点でロッキードはBlock 70/72型機関連で約9兆円の契約を既に締結していると関係者が語っているようです

米空軍が最後にF-16を購入したのは2005年のBlock 50型機で、その後はF-22を経てF-35の調達に資金を投入していますが、その米空軍が2021年春に、2030年代になっても600機程度のF-16を維持しているだろうとの「戦闘機ロードマップ」を明らかにしたことから、現在でも25か国で運用されているF-16維持整備体制が当面確保されたとの「安堵感」は世界に広がり、「F-16」ブームが再燃している状況です

F-16 Block 70 3.jpgちなみに、2021年春の近未来「戦闘機ロードマップ」(2023年度予算案の背景説明資料)では、2027年から29年頃にF-16後継検討を具体化し、2035年頃からハイエンド紛争での使用を想定しない5世代機以下程度の性能のMR-X(malti-role Fighter)導入構想も示されていますが、現時点ではどうなることやら全く見えていない状態で、F-16の地位が揺らぐことは当面なさそうです

また更に、Block 70/72型機は機体構造部材が強化され、機体寿命が12000時間と従来型の1.5倍に延伸されており、少なくとも2060年までは現時点でも運用される見通しで、今後受注が続けば2070年代にも雄姿を見せている可能性が十分あります

申し送れましたが、Block 70/72型機の改善点は・・・
F-16 Block 70 2.jpgAPG-83 active electronically-scanned array (AESA) radar,
electronic warfare 「Viper Shield」,
powerful mission computer,
cockpit with larger color displays—including zoom and the ability to rearrange displayed information
uprated engine,

capability for most modern weapons,
conformal overwing fuel tanks
infrared search-and-track system
targeting pod capability,
improved data links,
precision GPS navigation
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F-16 Block 70.jpg米空軍が初期型F-16Aを運用開始した1978年から45年が経過しようとしていますが、その間に30か国へ計4550機が提供されたF-16シリーズは現在でも25か国で運用されており、Block 70/72型新造機の市場ニーズが300-500機あるとの見積もりは決して大げさではないともいます

なおF-16運用国はABC順で
Bahrain, Bulgaria, Chile, Columbia, Croatia, Egypt, Greece, India, Indonesia, Jordan, Morocco, Korea, Oman, Pakistan, the Philippines, Poland, Romania, Singapore, Slovakia, Slovenia, Taiwan, Thailand, Turkey, UAE, USA the United Arab Emirates ・・・ です

日本は「亡国のF-35」ではなく、F-15Jの仲間でもあるF-15EXや、F-16最新型を導入しておけばよかったと思います。日本のような環境では、有事に戦闘機が活躍する場面は極めて限定されると思うからです

F-16関連の記事
「F-16後継検討は進展なし」→https://holylandtokyo.com/2022/08/25/3554/
「トルコに最新F-16提供要請」→https://holylandtokyo.com/2022/07/05/3437/
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「台湾F-16V型ようやく納入」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27-2

米空軍の戦闘機構成議論
「戦闘機の近未来体制は」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「戦闘機は7機種から4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/
「戦闘機混合比や5世代マイナス機検討」→https://holylandtokyo.com/2021/02/22/266/

 

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