米空軍が戦闘機世代構成と5世代マイナス機の検討開始

国防省を巻き込んで「態勢見直し」との横串を狙う
5世代と次世代と「5世代マイナス」の混合編成を検討
地域コマンドや空軍内の反対を覚悟の上
「今変わらなければ勝てない」との危機感を前面に

Brown2.jpg17日、Brown米空軍参謀総長が記者団に、戦闘機の世代構成(force mix)を「数か月間:a months-long」で検討すると語り、5世代機と次世代機(NGAD)と「5世代機マイナスをイメージの新型機」のあるべき混合比率を見極めたいと語り、併せて「5世代機マイナス」の新型機が備えるべき要求性能を明らかにしたいと述べました

またこの米空軍司令部における検討には、国防省のCAPE(コスト見積評価局)のモデル分析やシミュレーション能力の力を借りたいと述べ、併せてオースチン国防長官が表明した「態勢見直し」との連携を少しでも図りたいとの希望も語っています

Fighter mix2.JPG15-20年後の将来脅威を念頭に、平時からグレーゾーン、そして有事のあらゆる場面を想定し、かつ限られた予算等を考慮した検討を想定しているようで、Brown参謀総長の強い信念である「今変わらなければ勝てない。今やらなければ変化を加速できない」との問題意識から、数年後を懸念する地域コマンド司令官や空軍戦闘機族からの大反対は承知の上と言い切ってまで検討を進め、分析結果を基に強く2023年度予算案から舵を切る決意の模様です

特に注目なのは「5世代機マイナス」との4世代機と5世代機の中間能力を備える新型機導入のアイディアで、1月に退任したRoper調達担当次官補が進めようとしていた「F-16導入案」を白紙にし、今回の検討で要求性能を見極め、「デジタル設計技術」を用いて早急に実現したいとの思いも語っています

もう一つの注目はF-35のエンジン問題で、Brown大将は明確に、エンジンが想定よりも早く損耗することからF-35の使用頻度を下げる必要があると語っており、これはこれで大問題になること間違いなしです。既に米空軍がF-35調達機数を、当初の1763機から1050機に削減する案を検討しているとの報道もありますし・・・

17日付米空軍協会web記事によれば
Brown nomination.jpg17日、Brown大将は記者団に、数か月間で「TacAir study:tactical aviation requirements study」を行い、近未来から将来の要求を踏まえたあるべき戦闘機の戦力構成(a force mix)を導き出したいと語った
また同検討には、検討の信頼性確保と国防長官室との意思疎通を図る意味で、国防省のCAPE(Cost Assessment and Program Evaluation)の協力を得たいとの希望を述べ、「態勢見直し」との連関性なく本検討を進めるのはあまりにもナイーブだとも語った

退任したRoper次官補が主張していたF-16導入案は採用しないと明確に述べ、1970年代設計のF-16では迅速なソフト更新に対応できないため、白紙的に新たな「fourth-and-a half/fifth-gen minus」機を導入し、上記検討の中で要求性能や必要機数も煮詰めたいと語った
Fighter mix3.jpg検討の結果に「誰もが同意するとは思わないが、議論の出発点にしたい」、「私の仕事は結果が持つリスクを合わせて見極めること」、「空軍司令部のスタッフには、事実やデータを持ってこい、感情や思いは求めていない」と語った

また、地域コマンドからの反対を予期し、「地域コマンドは私が米空軍参謀総長であることを知っており、戦力構成に関する意思決定する立場だと認識している」、「私の決定は人気のないものとなろう。私を嫌うものも出てくるだろう」、「だが、今意思決定をしなければ、変化を加速できない。私は私がベストだと思う方向に空軍を導きたい。申し訳ないが」とも表現した
更に、「地域コマンド司令官らは、2-3年先の将来を考えて議論するだろうが、私は地域コマンド司令官の5-6代後の時代、つまり15-20年後を見据えている。全ての任務に必要なだけの戦力を準備することはできない」とも表現した

(記者団からのF-35エンジン問題について問われ、問題の存在を認めつつ、)最新鋭機へのニーズが高いことから使用頻度が高くなり、F-35のエンジンが高頻度の使用で故障する率が高まっていると述べ、その問題も本検討の検討要素となると語った
Fighter mix.jpgこの問題対処に維持整備方式や整備施設の体制検討を中将大将レベルで行っていると述べ、シンプルにはF-35の使用頻度を下げることが対処法だ(simply be to use the F-35 less)とBrown大将は語った

「フェラーリで毎日通勤することはないだろう。フェラーリは日曜日に運転すればいいんだ。F-35はハイエンド環境の装備であり、ローエンド環境で常に使用する必要はない」と述べつつも、「この考え方にも異論があるだろう。反論も予期している」とBrown参謀総長は述べた
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Brown大将の話しぶりは常に「直球」で、全く回り道をする気配がありません。就任直後に空軍内に配布した「Accelerate Change or Lose」との小冊子のタイトルの信念で、前進あるのみです
Brown4.jpg語弊があるかもしれませんが、「いつクビになっても構わない」と覚悟を決め、「あるべき姿に直進する」決意なのかもしれません

黒人との立場で、既に様々な声が周囲から聞こえてくるのでしょう。これまでの空軍生活の中で受けた差別への思いもあるのでしょう。信念に忠実に、ただ前進あるのみです・・・・。立派だと思います

「オースチン長官が態勢見直し開始」
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