独が計画主担当で「Air Defender 23」演習を
参加24か国から航空機220機と1万名が参加
米空軍参加100機は全て州空軍からでACE構想訓練
4月11日付米空軍協会web記事が、6月にドイツが演習全体の計画を担当し、独軍や米空軍を中心にNATO諸国空軍など24か国軍が参加する冷戦後最大の航空演習「Air Defender 23」が実施予定だと報じました
参加航空機は約220機で、米空軍は州空軍から100機(F-35s, F-16s, F-15s, A-10s, KC-135, KC-46s, C-130s, and C-17s)が参加し、35の州空軍から派遣された兵士がACE(Agile Combat Employment)構想に沿って、施設不十分な基地に分散して演習活動を行うとのことです。
演習計画や各国参加部隊の支援を行うドイツ空軍は、2018年から独空軍トップ(異例の長期勤務)を務めるIngo Gerhartz中将が「Air Defender」の発展けん引で米空軍関係者から高い評価を受けており、今回も60機の作戦機を参加させるとのことです
参加24か国のうち、22か国がNATO加盟国ですが、NATO加盟予定のスウェーデンが参加するほか、対ロシア最前線に位置するチェコ、エストニア、ラトビアも演習機の展開を受け入れる模様で、欧州全体で対ロシア姿勢を明確に打ち出すことになります
ロシアによるウクライナ侵略を受け、ロシア機の偵察飛行や訓練飛行に対する欧州諸国の警戒飛行や領空保全任務飛行(air policing patrols)が急増しており、このような大規模演習開催は容易ではない状況ですが、NATO加盟国を中心とした各国は積極的に参加の姿勢を見せていると記事は伝えています
米州空軍司令官のMichael A. Loh中将は、4月5日に独空軍トップを米国に迎え、本演習準備状況を説明するとともに、ドイツが35機導入を発表しているF-35を実機を使って紹介した模様です
更に、 独空軍トップとともに記者団の質問に答えたLoh中将は、ACE構想の実戦的訓練を米州空軍の主目的とする本演習について、 「航空機間のデータ共有」を積極的に進めると述べたほか、州空軍兵士は「上級指揮官や司令部との通信が途絶した場合にも、当初の計画や作戦目的を踏まえ、各前線部隊がある程度自律的に行動することも訓練する」と明らかにし、
「(過去20年間にわたって戦ってきた対テロ作戦思考と決別する必要を強調し、)今やレガシーとなりつつある、米中央軍CENTCOM思考パターンから抜けださなければならない」とも強調しています。
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先日、この州空軍を束ねるMichael A. Loh中将をご紹介した際は、州空軍兵士の「本業(州空軍勤務以外の生計を成り立たせている社会での仕事)」でのスキルや、語学など特殊能力を把握&データベース整備して活用したいと打ち出していたところです
対中国が米軍の最優先事項にあげられる中、予備役的な州空軍がその豊富な戦力(F-35s, F-16s, F-15s, A-10s, KC-135, KC-46s, C-130s, and C-17s)を欧州に派遣し、正規分の穴を埋める訓練する理にかなった取り組みです。応援したいと思います
州空軍トップMichael A. Loh中将関連の記事
「州空軍で予備役兵の個人スキル把握の試み」→https://holylandtokyo.com/2023/03/29/4428/
米空軍のACE関連記事
「生みの親が現状を語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「ACEドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「電動ヘリをACEに」→https://holylandtokyo.com/2021/04/13/105/
「ACEの課題」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
「中東派遣F-35部隊も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「三沢で訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21