「イスラエルの質的軍事力優位の原則」等で米議会による審査不透明も
2025年サウジ皇太子によるトランプ直談判受け、48機を約3.7兆円で仮承認
中国との関係も気になるサウジへの最新兵器提供は「漏洩」の危惧が
米軍によるフーシ派攻撃要請却下や米軍の駐サウジ兵力削減の中で・・・
米サウジ関係には最近、9月10日のサウジから米国への「フーシ派攻撃要請」が却下されたことや、駐サウジ米軍部隊約2300名の段階的削減開始(200名規模まで縮小か)などが報じられており、様々に経緯や背景の絡んだ「F-35輸出承認by米国務省」ですので、可能な範囲で18日付Defense-News記事や「ググった」内容を取り上げ、現在の中東情勢を見るご参考に供したいと思います
18日付Defense-Newsによれば、
●これを受け在米サウジ大使館は、「米国務省が言及したF-35売却は、サウジと米国の戦略的関係の強さと永続性、そして国防協力の継続的な進展を反映している」とX上で声明を発表
●サウジ皇太子の「ビジョン2030」構想の下、サウジは野心的な経済軍事近代化計画を推進中で、米国との安全保障関係を維持しつつ、国防協力関係の多様化を図っている。
●米側もトランプ政権誕生後の2025年には、「米国史上最大規模の国防協力合意」だとトランプ大統領がアピールした、総額約20兆円超の武器売却パッケージで合意
ただ、実際のF-35輸出には「米議会による許可」が必要で、以下のような論点が
●米国の中東諸国への軍事支援の大原則である「イスラエルの質的軍事力優位(qualitative military edge)維持の原則」に沿い、現在中東ではイスラエルが唯一のF-35輸出対象国であるが、サウジへの輸出で同原則との折り合いをどう整理するか?
●米国務省は「地域の均衡は崩さない」と輸出承認発表時に説明し、サウジへの供与機体の能力を一部ダウングレードするとの報道あり
●ちなみに、第1次トランプ政権終了直前の2021年初頭に、米国はUAEと約50機のF-35輸出で合意していたが、米側が「イスラエルの優位維持」の観点から、UAEによる同機運用に制限を設けることや、中国製5Gインフラ排除を提案し、UAEが激怒して2022年に「白紙」になった経緯あり。
●サウジもUAEも、中露との軍事関係があり、F-35輸出により「秘密漏洩の恐れ」を指摘する声が絶えない
●またサウジに関しては、2018年にサウジの反体制ジャーナリストJamal Khashoggi氏を暗殺した件で、米議会に人権問題を指摘する声が根強い
そのほか、最近の中東情勢を反映した「背景」も
●中東地域では、イランおよび親イラン武装組織フーシ派によるサウジ石油施設や軍事基地へのドローンやミサイル攻撃が頻発し中東紛争拡大が懸念。これを受けたサウジ軍事力支援を強化
●米国は以前から、中東アラブ諸国とイスラエルとの関係正常化(アブラハム合意の拡大)に取り組んでおり、米国にはF-35輸出をカードに、サウジとイスラエルの国交正常化をプッシュしたい思惑あり
特に直近の動き関連では・・・
●9月10日、サウジの皇太子はトランプ大統領に対し、米軍によるフーシ派への軍事報復(空爆など)を強く求めましたが、最終的に米国は米軍を新たな戦争に巻き込むことを拒否したとされており、米軍による軍事報復の代わりに、サウジ側要望の「F-35売却」を急ぎ承認し、サウジ側の不満に対応したとの見方あり
●米軍の駐留縮小開始(2300名から200名程度へ)や、サウジと米国の距離感の変化に伴い、サウジが近年中国との軍事・経済協力を深めている(中国製兵器や通信インフラの導入等)ことを米国は問題視。そこで米国は、サウジの中国への傾斜防止のため、「繋ぎ止め」としてF-35を活用したいとの思惑あり。ただ、F-35最高機密の漏洩懸念は絶えず
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「駐サウジ米軍を削減したい&中東での直接軍事関与を減らしたい米国」と、「イランの脅威に対抗するため米国の強固な関与が欲しいサウジ」の間で、米軍のプレゼンスを減らす代わりに、最先端兵器を供与するという妥協の産物が、今回のF-35売却承認だと理解されているようです。
個々の事象全てに複雑な背景や経緯があり、とても正確にご紹介しているとは言い難い内容ですが、とりあえず・・・
サウジへのF-35輸出関連
「トランプ:サウジに売却する!」→https://holylandtokyo.com/2025/11/19/13238/
UAEへのF-35輸出関連
「UAEがF-35購入交渉停止表明」→https://holylandtokyo.com/2022/01/04/2533/
「ト政権交代直前にF-35輸出合意か」→https://holylandtokyo.com/2021/01/13/296/
「イスラエルがUAEへのF-35に事実上合意」→https://holylandtokyo.com/2020/10/27/442/


9月17日、米国務省は2025年11月にサウジ皇太子がトランプ大統領にワシントンDCで直談判した「F-35戦闘機の売却」に関し、48機とエンジン等の関連部品等を含め約3兆7000億円で仮承認すると発表しました。今後は米議会による「30日間の審査」に入るとのことです
