米国防省DIUがミサイル防衛と宇宙脅威分析のAIシステム募集

9月22日と23日は更新お休みです!

「Space Threat Intelligence Synthesis Engine」開発に向け
陸海空作戦を扱うAIのMSSとは性格が異なる宇宙専用に
関連企業もMD得意のNG社やBAE社と、AI高速処理の専門企業ペアが

9月11日、米国防省DIU(Defense Innovation Unit solicitation)が9月24日期限で、宇宙空間における各種情報を瞬時に分析し、ミサイル防衛や衛星に対する脅威の検出&予測を行うAIシステム(名付けて「Space Threat Intelligence Synthesis Engine」)の提案募集を開始しました。

米国防省の軍事意思決定支援AIシステムとしては、対イラン作戦やウクライナ作戦支援で大活躍した地上・空中・海上作戦用のAIエンジン「MSS:Maven Smart System」を先日ご紹介しましたが、今回募集開始された「Space Threat Intelligence Synthesis Engine」は全く別物で、全く新規の開発案件です。まず「Space用エンジン」募集概要を11日付Defense-News記事からご紹介した後、MSSとの違いもググって少し触れたいと思います。

公示されたDIU募集要項は以下を要求
●既存ツールでは、宇宙空間での近接した物体の識別、出現した新たな脅威の分析&フォロー、更に脅威の将来予想を常に更新していくことが困難であり、その課題を解決するAIシステム
●目指すのは、高速で宇宙空間を移動する物体や、必ずしも明確でない宇宙での信号に関する生データを継続更新フォローし、宇宙およびミサイルの脅威を分析識別し、作戦上の意思決定支援を迅速に行うAIシステム

●そのため、通常時に毎分20~30MBのデータ処理が可能で、バースト時に毎分最大5GBのデータ処理能力が必要。またデータ到着から分析結果表示までの時間が5秒以内(できれば2秒以内)のオープンソースシステムを目指す

●提案者は、自社製品が既存システムと比較して、事象の検出、特性評価、および事象の原因分析において、速度と精度の従来手法からの著しい向上を実証することが必要

本件を取り上げた11日付Defense-News記事
●「Space・・・ Engine」は、ミサイル防衛面で言えば、PAC-3やTHAADのような防空ミサイルが大量消費され不足する現状で、貴重な防空兵器をどの目標に充当するかの判断に資することが求められている。
●応募する候補としては、連携を既に表明しているミサイル防衛関連産業とAI企業のチーム、例えばNorthrop Grumman社とAI企業Camgianのチームや、BAE社とScale AIチームが想定される
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米国防省DIUは、作戦運用上に非公開事項として、提案締め切り後のスケジュールは公表していませんが、募集要項が「短期的なプロトタイプ実証から、持続的な改善を前提とした実戦配備への明確な道筋」を提案企業側に要求していることや、DIUが担当していることから、2027年中には初期段階のAIエンジンが稼働し、2020年代後半(2027〜2029年頃)の各種ミサイル防空や宇宙作戦運用における実運用に移行する超高速計画推進が想定されます

陸海空作戦用の「MSS」と、今回募集の「Space用エンジン」が違いは?
●MSSが陸海空戦場全体で「どこに何があるか」の情報を統合して可視化し、総合的な戦闘計画として提示する「数時間から数分」での反応期待のAIシステムなのに対し、「Space・・・ Engine」は、ミサイル防衛や宇宙脅威に特化し、「超音速飛来するミサイルや宇宙の微弱な怪しい兆候を数秒単位で予測・識別する」超高速分析特化型のAIエンジン

●MSSが分析に使用するデータは、衛星やドローン画像や電波収集情報など比較的確度の高いデータが多いが、「Space・・・ Engine」は距離が離れた対象物からの生データ処理となるため、信号やデータが微弱で断片的なことが多く、作戦運用に活用可能とするためには、より高度で高速な大量データ処理が不可欠

●具体的には「Space・・・ Engine」は、対処に数分しかない敵ミサイル飛来情報処理や、自国衛星に対する従来判別が困難だった脅威の識別や分析(宇宙デブリと敵キラー衛星の瞬時識別、衛星の不調原因が太陽フレアか敵の妨害電波やレーザーや物理破壊か等の瞬時分析など)、更に宇宙力学に基づく軌道計算処理を反映した対処行動案の提示などが期待されている。

●なおMSSは、既存の陸海空作戦運用システムを統合吸収したシステムでもあり、今後は兵站・調達・在庫管理・装備品選定・契約業務な国防行政支援機能への拡充も目指す、米国防省の「万能アプリ(Everything App)」方向にある一方で、「Space・・・ Engine」は宇宙ドメインに特化したAIエンジンとも言える

国防省DIUの上記提案募集webページ
https://www.diu.mil/work-with-us/submit-solution/PROJ00716

先日ご紹介のMSS(Maven Smart System)
「国防省幹部がMSS将来方向を」→https://holylandtokyo.com/2026/09/25/15637/

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