米海軍が初の空母艦載無人機MQ-25給油機の初期生産契約

2029年から納入の3機分を約840億円(固定価格契約)で
既に当初計画から最低5年遅れの「通常運転状態」
IOCは当初2024年から29~30年へ遅延確定か
試験機9機を含む計76機導入を予定

9月14日、米海軍は初の空母艦載無人機となるMQ-25A Stingray無人空中給油機の最初の3機の量産契約(低率初期生産(LRIP)のロット1)を約840億円でボーイング社と結んだと発表しました。契約された機体3機の納入は2029年からになる予定で、この結果、初期的な空母運用開始は早くても2029年から30年頃にならざるを得なくなりました。

同機の運用開始は、計画当初2024年とされていましたが、その後の開発トラブルでずるずると遅れ、それでも昨年2025年1月末には米海軍航空部隊トップが、内外専門家やメディアの前で「私の発言として引用OKです。MQ-25量産機は2025年に空母で運用準備飛行を開始し、翌2026年には空母で運用を開始します!」と宣言していたのですが、僅か1年半でこの状態です。

MQ-25A無人空中給油機は、当初は空母艦載「ステルス無人偵察・攻撃機(UCLASS)」として2010年代に開発がスタートし、空母で2012年に離発着試験にも成功していた試験機X-47Bが存在しながら、「米海軍戦闘機パイロットのポスト死守&組織防衛」を原因とする米議会や軍事専門家とのドロ沼対立を経て、「最悪の妥協策」として、空中給油任務も担うF/A-18の負担軽減を目的として、2016年に「無人給油機」としての導入(試験用9機と配備用67機)が決定され、2018年にボーイング社案が選定された「根深い怨念をまとう」機種です。

それでも機種選定後は、2019年に試作機が地上から初飛行、 2021年にはFA-18、E-2D、F-35Cへの空中給油試験や空母プッシュ甲板上での取り回し試験が開始され、開発は順調に進んでいる様に見えていました。しかし「ググって調査」の結果、概ね以下の理由で5年以上の遅延となっているようです

●2019年初飛行のデモ試験機は、上記のように順調に飛行試験や空中給油デモを実施も、デモ機ベースの「設計変更を反映した量産型機の製造段階」で、設計リスクや製造問題が多発。結果、量産型初飛行は2026年4月まで遅延
●ボーイング社の設計&品質管理問題、サプライチェーンの混乱、更に同社労働組合のストライキも重なり、航空機の組み立て予定が混乱&遅延

●無人機を初受入れする空母側にも運用センター設置等の改修が必要だが、空母派遣期間の長期化や空母修理施設の作業遅延で対象空母がコロコロ変化し、当初は空母カールビンソンや空母プッシュが対象だったが、最終的に改修完了したのは2026年3月完了の空母Theodore Rooseveltとなるドタバタ
●また、米海軍の計画が、初期運用態勢確立IOC前に実施されるべき初期運用試験評価(IOT&E)を、IOC後に後送りする「無理筋」計画で、米国防省監察官からSTOP指示が出て、海軍が計画を見直し
///////////////////////////////////////////////

約840億円との契約金額には、機体3機と維持整備に必要な部品や整備用装置や操縦装置の価格も含まれているようですが、機体だけで1機200億円以上(以後は350億円との予測も)との「無人機にした意味あんの?」価格となっており、「何をやってもダメな米海軍」を体現するような装備の道まっしぐらです。

また、以前はボーイング関連事業で唯一順調感があったMQ-25ですが、ついにボーイングのデタラメ3兄弟(KC-46給油機、T-7練習機、VC-25B大統領専用機)への仲間入りが正式確定となり、今後はますます「今は順調と噂されているボーイング担当」の米空軍次期戦闘機「F-47」開発に「生暖かい視線」が集まることになるのでしょう

最後に、「呪われた経緯を持つMQ-25A」にまつわる元米海軍トップGarry Roughead退役大将の言葉をご紹介いたします。なおRoughead氏(FA-14トムキャット操縦者)は米海軍トップとして無人艦載攻撃機X-47Bを開発積極推進していた人物で、現役時から、米海軍内の無人攻撃機に対する消極姿勢を問題視していた積極進取の人物です。

→「2012年に無人艦載試験機X-47Bが初飛行や着艦試験を成功させたのに、その成果は放置されたままだ。これほど重要な新技術に、これだけ意情な姿勢は許しがたい」

機種選定後のMQ-25 関連記事
「更に遅れIOCは27年下旬」→https://holylandtokyo.com/2025/09/05/12443/
「量産機26年空母運用開始」→https://holylandtokyo.com/2025/02/18/10732/
「空母ブッシュに管制施設」→https://holylandtokyo.com/2024/09/13/6269/
「VRでE-2Dや P-8と任務連携」→https://halylandtokyo.com/2022/09/26/3677/
「FA-18への給油に初成功」→https://holylandtokyo.com/2021/06/10/1897/
「試験用空母確保難で3年遅れか?」→https://holylandtokyo.com/2020/06/18/626/
「MQ-25地上から初飛行」→https://holylandtokyo.com/2019/09/24/6653/
「2019年6月の状況」→https://holylandtokyo.com/2019/06/27/6724/

当ブログ内での「X-47B」関連記事68本
→ https://holylandtokyo.com/?s=X-47B

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ
お支援下さっている皆様、ありがとうございます!そのお気持ちで元気100倍です!!!●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月)なし●ランチサポーターの皆様(1000円/月)mecha_mecha様kenj0126様●カフェサポーターの皆...
タイトルとURLをコピーしました