トランプ政権間にUAEとのF-35輸出契約か

UAEへのF-35輸出合意文書が、バイデン大統領就任式の数時間前に署名された模様
(ロイターが関係筋情報で報じ、Defense-Newsも別ソースで確認)
50機のF-35と18機のMQ-9などをFMS枠組みで輸出の模様
→https://www.defensenews.com/global/mideast-africa/2021/01/20/just-hours-before-bidens-inauguration-the-uae-and-us-come-to-a-deal-on-f-35-sales/
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担当国務次官補が「手続きは順調」と
MQ-9や関連弾薬を含め2.5兆円規模の輸出パッケージか

F-35 Greece4.jpg8日、米国務省の政軍関係担当Clarke Cooper国務次官補が記者団に、UAEへのF-35輸出手続きの現状について、1月20日のバイデン大統領就任式までに契約署名が完了すべく「全てが順調に進んでいる:Everything is on that trajectory」と語りました

かねてから中東湾岸諸国を中心に最新兵器導入を望む声は大きく、特にイランに後押しされたイスラム原理主義の拡大の中でその声は大きくなっており、UAEは5年以上前からF-35を米国に求めていたと言われていますが、中東で「イスラエルの軍事優位を維持確保する」との大原則の前に進展がありませんでした

Israel UAE.jpgそれがトランプ政権の仲介による昨年8月のイスラエルとUAEとの国交樹立によって一気に風向きが変化し、10月にはイスラエルがUAEへのF-35輸出を黙認することを事実上表明したことで大きく動き始めます

従来はイスラエルとパレスチナの和平問題解決が中東諸問題進展の前提条件でしたが、パレスチナがイスラム原理主義勢力に支配された現状では、イスラエルとパレスチナの和平は前提とすべき条件ではなく、他の穏健アラブ諸国とイスラエルの関係改善を直接進めることの方が実態に即しているとの認識が、イスラム過激派との20年にわたる対テロ戦争の中で広く地域に共有されるに至ったからだと理解しています

US UAE Israel Ba3.jpg実際、UAEに続いてバーレーン、オマーン、モロッコなどがイスラエルとの関係改善に進み、イスラエル首相がサウジを極秘訪問したとの報道も出ている状況で、トルコ大統領もイスラエルに秋風を送る動きを見せるなど、中東世界は大きな変化を見せつつあります。日本の主流と言われる中東学者が頭を切り替えられない中で・・・

米大使館のエルサレム移転等で物議をかもしたトランプ政権ですが、今となってはオバマ時代より圧倒的に中東の安定に寄与した政権であり、オバマ時代回帰を目指すように見えるバイデン政権誕生までに、UEAへのF-35輸出を固めようとする強い意志が現政権にあるように感じます

8日付Defense-News記事によれば
UAEへの武器売却は、50機までのF-35を約1.1兆円、18機のMQ-9攻撃型無人機を3兆円、約1.1兆円の空対空及び空対地兵器などを含む総計約2.5兆円規模になると推定されている
Sea Guardian.jpgバイデン政権で国務長官となるAnthony Blinken氏は昨年10月、UEAへのF-35輸出について「この件は、極めて慎重に注意深く検討しなければならない問題だ」と述べ慎重な姿勢を示していた

実際昨年、この売却提案は、UAEが中国やロシアとの軍事面での関係を持つことや、「イスラエル軍事力の質的優位:qualitative military edge」を維持する必要性を主張する議員が多い米議会で不評であることが明らかになったが、12月の上院での輸出阻止動議は無人機と弾薬輸出の件が46-50で否決され、F-35輸出が47-49で否決されている
F-35 Gilmore.jpg7日Cooper国務次官補は、「UAEへの輸出契約は複数の様々な契約で構成されており、様々な契約書類への署名がそれぞれの製造や納品スケジュールに応じて準備されている」、「(F-35との複雑な最新システムが)様々な企業群と様々な条件の下で支えられているからだ」

「しかし、全ては完結に向けた放物線を描いていると言える。売却に向けたすべての手続きは取りまとめられ、米議会の議論も経たものとなっている」と手続きの進捗に自信を見せた
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トランプ政権は大統領選挙後にグダグダの様相を見せていますが、中東ではクシュナー補佐官の尽力でカタールとサウジ等の国交が回復されたりと、地道で着実な外交努力が実を結んでいます

US UAE Israel Ba2.jpgバイデン政権の外交・安全保障メンバーが、中東・欧州経験者で占められる方向にあり、対中国姿勢に大きな懸念がもたれていますが、トランプ政権が築いた新たな中東の動きがどのように新政権で扱われるのかも、大いに気になるところです

中東とF-35
「イスラエルがUAEへのF-35に事実上合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-26
「大統領:UAEへのF-35輸出は個人的にはOK」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18
「米大統領:UAEはF-35を欲している」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-21
「中東第2のF-35購入国はUAEか?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-11-05
「湾岸諸国はF-35不売で不満」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
「イスラエルと合意後に湾岸諸国へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17

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