次期空対空ミサイルAIM-260・JATMの製造拡大枠組み合意

米海空軍機用AIM-120 AMRAAMの後継空中戦ミサイル
契約でも発注でもないが、製造ラインへの企業投資を後押し
「将来的な複数年契約の基礎」「議会の予算承認時に生産体制確保を」
ロッキード社幹部「これで自己資金で生産能力拡大に投資」と

9月17日米国防省は、以前から米海軍と空軍戦闘機用にロッキード社と開発を続けてきた次期格闘戦用ミサイルAIM-260 JATM(Joint Advanced Tactical Missile)に関し、将来的に確実視される生産拡大に関する枠組み合意(framework agreement)に同社と署名したと発表しました。

この枠組み合意は、正式な調達契約や発注書とは異なりますが、米国防省のMichael Duffey調達担当国防次官補が、「関連国防産業界に、長期的な需要シグナルを送る我々の決意を示すもの。優れた調達の要素であるスピード、規模、安定性を一体的に体現するための原動力となることを期待する」とその意義を表現している様に、

AIM-260 JATM製造にかかわるロッキード社と関連サプライヤーにシグナルを送り、米議会が複数年購入を承認して資金が確保できた時点で、生産ラインが準備万端に近い状態であるように働きかけることを目標とするものと解説されています。ただし、17日の発表情報には、同ミサイルの生産目標数や価格は含まれていません。

ロッキード社の担当部門社長は合意発表に当たりメディアに、「機密開発計画なためこれまで公表不可だったが、同ミサイル実現に向けた努力と、生産規模拡大に向けた政府側との協力体制について、ようやく語ることができるようになった。我社は(関連企業と共に、)自社資金を投じて生産能力を拡大する」と述べています。

また本件を報じる同日付Defense-News記事は、同ミサイル初の海外顧客となっている豪州軍に関し触れ、2026年3月に米国政府が豪州へ最大450発を総額約4500億円で売却する承認を出し、8月6日には豪州政府が豪空軍用に初度購入する予算を約800億円とする旨発表したとも紹介しています
///////////////////////////////////////////

対イラン作戦やウクライナ戦争関連で大問題となっているのは、「トマホーク等の長射程精密誘導攻撃ミサイル」と「パトリオットPAC-3やTHAAD等の迎撃ミサイル」の大量消費と在庫枯渇で、本日ご紹介している「空中戦用のミサイル」は「ほとんど上記作戦で使用されておらず」、まんぐーす的には今後も使用される確率は低いと考える兵器ですが、「戦闘機命派」が「投資を抑える気配がない兵器」です。

「AIM-260 JATM」の概要は末尾に付記(過去記事もご参照)しておきますが、中露が配備している「中PL-15露R-77-1」の射程が長いから、「米軍も負けてはならぬ」と巨費を投じて極秘開発している兵器です。

なおAIM-120の射程が105㎞、AIM-260が200㎞以上と言われているところ、更に米海軍は8月22日に突然、更に射程距離が長い「AIM-424 Malice」を「LRAAM(Long Range Air-to-Air Missile)」として開発中で、射程250nm(460km)以上を目指すと発表し、開発担当レイセオン社が米空軍F-22、F-35、F-47の内部兵器庫を含む多様な機体に搭載可能とアピールするなど、「誰も止めない」射程延伸の沼に落ちています。

【ご参考:AIM-260 JATMは】
●中露の長射程空対空ミサイル(中国 PL-15やロシアの R-77-1)の出現に危機感を持った米軍が、極秘の最優先兵器開発プログラム扱いで2010年代半ばから開発開始したミサイル
●2024年頃から初期生産開始で、2026年度から本格導入開始を目指し各部隊で試験中か
●搭載対象機:F-22(最初の運用機)、F/A-18E/F、F-35A/B/C、F-15EX

●射程の大幅延伸:AIM-120Dの105kmに対し、JATMは 200km以上で中露製に優位確保
●Mach 5級&最終交戦力:M4のAMRAAMより高速で、終末誘導時に再加速可能な推進装置採用で回避する敵を追随可
●母機のステルス性維持:AIM-120と同等サイズ維持でF-22/F-35の内部兵器庫に格納運搬可

●電子戦環境での生残性向上:改良シーカー、ECM耐性強化で妨害環境下でも命中率確保向上
●ネットワーク化空戦への最適化:双方向データリンク導入で、発射後に他機・AWACSから誘導更新可、CCA等の他アセットと連携可

空対空戦闘能力の補完強化策
「空中戦を劇的に変える新兵器X-68A開発」→https://holylandtokyo.com/2026/03/04/14038/
「安価な空対空ミサイル提案募集」→https://holylandtokyo.com/2025/11/27/13226/
「B-21基礎の空対空兵器搭載母機?」→https://holylandtokyo.com/2025/10/01/12909/

AIM-120(AMRAAM)と後継AIM-260 JATM開発
「搭載飛行機体を初確認」→https://holylandtokyo.com/2026/05/26/14800/
「AMRAAMの現在位置」→https://holylandtokyo.com/2024/10/23/6337/
「2026年製造中止のはずが大増産中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/17/4556/
「超極秘開発のAIM-260 JATM」→https://holylandtokyo.com/2022/04/04/3088/

関連不明:米海軍が凄く長射程の空対空ミサイル開発発表
「射程250nm(460km)のミサイル」→https://holylandtokyo.com/2026/08/31/15522/

情報根拠や信ぴょう性はフワフワですが
「中国軍のPL-16は射程2~300km?」→https://holylandtokyo.com/2026/07/02/15059/

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ
お支援下さっている皆様、ありがとうございます!そのお気持ちで元気100倍です!!!●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月)なし●ランチサポーターの皆様(1000円/月)mecha_mecha様kenj0126様●カフェサポーターの皆...
タイトルとURLをコピーしました