デジタル設計優等生のはずが当初計画2023年から6年も遅延に
更に米会計検査院GAOは試験と量産の同時進行に大きな懸念
KC-46や大統領専用機と並ぶデタラメBoeing社の象徴的存在に
以下、本件を報じる7月7日付米空軍協会web記事によれば、GAOは遅延の主要因として、追加の技術確認事項が生じたこと、機体整備員と部品不足で(試験用機体を増強したが)使用可能な試験用機体が十分確保できなかったこと、ソフトウェア開発の最終段階で遅れが生じたことを指摘しているようです。
またGAOはこれまでの米軍機体開発事例から、将来の「コスト超過とスケジュール遅延」原因になる可能性が高いとして、「開発試験と(低レート)量産の同時進行」のリスクを指摘し、開発試験が最終的に終了するのが2029年5月(多くは2028年4月までに終了も)にも関わらず、米空軍とボーイングが2026年5月に(低レート)量産契約を締結した点を批判的に記述しているとのことです。
更に、2018年の機種選定当時に大宣伝された、地上シミュレータと飛行中の航空機を連携させ、
ヴァーチャル訓練で効率的な操縦者育成を可能にする試験に関しても、当初の計画より3年遅れの2027年7月まで実施されない可能性が高い、とGAOは指摘しているようです
ちなみに、米空軍はこのGAO報告書に関し、「評価に同意する」、「指摘事項に対し、真摯に対応する」との神妙な態度を示しているとのことです。
約1年半ぶりのT-7の話題ですので、若干経緯を復習いたしますと・・・
T-7は2018年の機種選定で、NG、ロッキード、レイセオン、ロッキード、トルコIAI社チーム提案との競争を経てボーイング提案として採用が決定され、機体年齢60歳越えの老朽化著しいT-38練習機約470機の後継として、351機導入で契約が結ばれたものです。
絶好調の滑り出し
●採用決定後わずか1年後の2019年には、デジタル設計を駆使して重要設計審査を通過。審査終了時点で量産型2機による飛行試験も開始済で、設計図から試作機初飛行まで僅か3年で実現し、航空機設計に「革命をもたらした」と話題に。「レッドホーク」との愛称を披露
●また第5世代機F-22やF-35、更に次世代制空機F-47の操縦者育成を見据えたデジタルコックピット採用や、地上シミュレータと飛行中の航空機を連携させ、ヴァーチャル訓練で効率的な操縦者育成を可能にする設計で、米空軍の大きな期待を
●更に、KC-46空中給油機と共に画期的な「固定価格契約」を採用し、「デジタル設計」と併せて調達改革の「先駆者」&「優等生」として米空軍幹部から「ちやほや」
暗露立ち込める
●2021年、米空軍はT-7が高迎角時にロール軸が不安定になる問題発覚と明らかに
●2022年後半、飛行制御ソフトウェアと射出座席の問題(小柄な女性などへの対応が不十分)発覚
●2024年初、T-7の一部の部品に品質上の問題発覚
●2025年、空軍が試験機数を5機から9機に増強し遅延を挽回と発表も、上記のように、GAOは「機体整備員や部品確保が追い付かず、試験ペースが上がらず遅延が継続」と酷評。またソフト開発の遅れも指摘
以上のような「坂道を転げ落ちるような転落」の背景には、機種選定当時のボーイングCEOによる「背伸びしてでもまず契約確保」姿勢があり、米空軍側も米議会からの「装備品開発&導入コスト削減要求」に答えたい思いから実行可能性チェックが不十分だったことがあるのですが、
2022年以降、毎年のように「量産開始時期」と「IOC 初期運用体制確立時期」が延期され、当初計画では2023年だった「量産開始時期」が2029年までずれ込み、「IOC 初期運用体制確立時期」は更に遅れるのでしょう。なお、T-7は航空自衛隊の練習機T-4の後継機候補でもあります
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米空軍は60年以上使用しているT-38練習機の維持限界を主張し続け、実際T-38の事故も増え、現場の維持整備負担が増しているのは間違いないでしょうが、6年遅れ(恐らく更に数年の遅れは確
実でしょう・・・)でも何とかなっているのが空軍の実態です。過去の戦闘機や練習機の導入経緯を紐解けば、ほとんどが開発遅延と導入の遅れの歴史です。
高市首相や小泉防衛大臣に置かれましては、日本の「戦闘機命派」の嘘八百、つまり「日英伊共同開発戦闘機GCAPの導入が2035年より遅れれば、日本の防空に穴が開きますよ。日本の抑止力が低下して、中露にやられますよ・・」に決して騙されぬようご注意ください。
操縦者育成の大問題:T-7練習機大幅遅延
「また2年量産遅れ2029年に」→https://holylandtokyo.com/2025/02/20/10642/
「更に量産遅れ2026年に」→https://holylandtokyo.com/2024/04/04/5706/
「デジタル設計の優等生が3年遅れ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/24/4539/
「女性意識の射出座席で遅れ」→https://holylandtokyo.com/2022/12/19/4065/
「デ設計で審査短縮や新規参入促進」→https://holylandtokyo.com/2022/08/23/355
空自T-4ジェット練習機の後継争いは?
「次の空自練習機検討は?」→https://holylandtokyo.com/2025/06/09/11757/
GCAPを巡るゴタゴタ
「首相の恫喝で1年半だけ契約」→https://holylandtokyo.com/2026/07/03/15120/
「高市首相がG7前に英伊訪問」→https://holylandtokyo.com/2026/06/29/15077/
「3か月暫定契約」→https://holylandtokyo.com/2026/04/06/14400/
「米報道:遅延と経費増」→https://holylandtokyo.com/2026/03/13/14152/
「伊が英国の姿勢を酷評」→https://holylandtokyo.com/2026/02/02/13845/
「英が踏みとどまる」→https://holylandtokyo.com/2024/11/12/6529/
「英伊が日本に:逃げるな!」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
VOICE7月号が新時代の日本の防衛を特集
「GCAP投資の無駄を指摘」→https://holylandtokyo.com/2026/06/12/14978/


7月2日付で米会計検査院GAOが、度重なる遅延に見舞われているボーイング製次期練習機T-7に関する新たな報告書を発表し、昨年同時期のGAO報告書で遅延の末に「2027年1月」量産開始予定だとしていたところを、更なる試験遅延とソフト開発の遅れから、更に量産は2年遅れて「2029年1月」になる可能性が高いと指摘しました。当初の量産開始予定は2023年でしたから、これで6年の遅延となります