米海軍航空作戦部長が語る
「F/A-XXは最後の有人戦闘機になる可能性」
「今より25%以上遠くまで飛行可能に」
米空軍の次期制空機(NGAD:Next Generation Air Dominance)選定は、F-35の数倍の価格が予期されたことから、予算状況の厳しさや他の優先事業との兼ね合いから、「当面見送り」の方向になると噂されていたところ、開けてびっくり3月21日にトランプ大統領がホワイトハウス執務室で「Boeing製F-47に決定」と発表し、「自身の任期中に完成機が飛行」「価格は性能暴露を避けるため非公開」と明らかにしたところです
米海軍のF/A-XX選定経緯をまんぐーすは良くフォローできておらず、末尾の過去記事でご覧いただけるように、2020年夏には米議会から海軍に対し、煮詰まらないF/A-XX構想への不満が示され、2021年春時点でも当時の航空作戦部長が「いろいろ検討している」と曖昧な発言を繰り返していたところ付近までは記録がありますが、
その後の「コロナウイルス禍」と、「艦艇事故頻発」や「人的不祥事続発」や「艦艇建造&修理施設の質低下」の問題等々で、米海軍が「何をやってもダメなNavy」のレッテルを貼られた以降は、以下のようなまんぐーすが「信頼する専門家」の「F/A-XX」への厳しいご意見もあり、「放置プレー」を決め込んでいたところでした。
●ハドソン研究所Bryan Clark研究員(海軍OB)の米下院で証言 → 米海軍の財政上の厳しい現実からすれば、新しい機体を開発導入することは事実上難しく、現有航空機の派生形にならざるを得ない。従って、生産ラインを維持するためにも、FA-18調達をゼロにする米海軍案は不適切で、FA-18製造ラインを維持すべき
●元海軍次官Bob Work氏 → 海軍と海兵隊がF-35のB型とC型、更にFA-18の3機種運用になって維持整備面を含めて既に難しい課題に直面しているのに、4機種目のFA-XXへ向かおうとする検討に大きな懸念を持っている。航続距離が必要なら無人機が適切なことは各種分析から明白であり、無人機開発&導入に進むべきだ
●元米海軍トップGarry Roughead退役大将(無人艦載攻撃機X-47Bを開発推進していた現役時から、米海軍内の無人攻撃機に対する消極姿勢を問題視)→ 2012年に無人艦載機が初飛行や着艦試験を成功させたのに、その成果は放置されたままだ。これほど重要な新技術に、これだけ怠惰な姿勢は許しがたい
そんな状況の米海軍のはずなのに、2024年中旬からは、関連企業CEOが「海軍からFA-XX選定計画に変更があるとは聞いていない」と述べ、海軍トップ(トランプ大統領に解任された女性大将)が「FA-XX選定計画に変更なし」と明言し、本日は本件の中心人物である米海軍司令部の航空作戦部長の言葉をご紹介するに至っております。
Donnelly海軍少将は海軍幹部やOBや企業関係者を前に
●米海軍のF/A-XX・次期第6世代戦闘機は、米海軍最後の有人戦闘機になる可能性がある。F/A-XXは「man-in-the-loop」よりも「man-on-the-loop」に近づき、2040年代に予期するハイブリット航空団(有人と無人航空機の完全統合部隊)への架け橋となろう
●F/A-XXには、人工知能や機械学習などの新機能や技術が搭載され、戦闘空間の認識が向上し、米海軍航空部隊の意思決定方法が改善される
●これら技術進歩により、海軍が計画中のAI操作無人機CCA(無人ウイングマン機)や、将来導入可能性のあるより大型の無人機など、有人と無人航空機をより密接に連携運用する新時代へと海軍を導く可能性がある。
●またF/A-XXは、無給油での航続距離が25%以上伸びる(※F/A-18の航続距離は約1275nmで、F-35Cは1200nm以上)と予期しており、同等以上の敵と対峙しても、総合的に現在の米海軍戦闘機を上回る方法で敵を圧倒できるようになる
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あえて2020年当時の「ハドソン研究所Bryan Clark研究員」や「元海軍次官Bob Work氏」や「元米海軍トップGarry Roughead退役大将」の辛辣なFA-XXへの言葉を「掘り返して」来ましたが、今も「何をやってもダメなNavy」状態に変化はないと思います
比較して米空軍には、Allvin空軍参謀総長やKendall前空軍長官の発言ぶりからしても、リーダーシップ層にもう少し危機感があり、「変えよう」との動きの兆しがありますが、米海軍からは、先ほどトランプ大統領から首を切られた女性初の海軍制服トップを始めとして、全くそのような気配を感じません。お先真っ暗感のみが漂っているように感じます
迷走する米海軍のF/A-XX
「海軍トップ:選定は予定通り」→https://holylandtokyo.com/2024/10/10/6403/
「企業:海軍から選定計画変更の通知なし」→https://holylandtokyo.com/2024/08/19/6176/
「依然として検討中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/06/100/
「米議会がFA-XX構想遅れに不満」→https://holylandtokyo.com/2020/06/30/634/
皆が夢見たのに・・組織防衛がつぶした無念X-47Bの過去記事
「X-47企業がMQ-25から撤退」→https://holylandtokyo.com/2017/11/02/7124/
「X-47の夢終焉」→https://holylandtokyo.com/2016/02/03/7736/
「組織防衛でX-47妨害」→https://holylandtokyo.com/2015/02/07/8123/
「要求抑制は組織防衛だ」→https://holylandtokyo.com/2014/08/04/8327/
「夢しぼむ・・無念」→https://holylandtokyo.com/2013/09/25/8697/
「空母に初着艦」→https://holylandtokyo.com/2013/07/14/8749/
「空母から初離陸」→https://holylandtokyo.com/2013/05/16/8814/
「夏にRFP発出か:無人艦載機」→https://holylandtokyo.com/2013/04/02/8832/
「空母甲板上で試験中」→https://holylandtokyo.com/2012/12/12/8979/
「X-47Bが空母搭載試験へ」→https://holylandtokyo.com/2012/11/30/9029/

