「中国だけが脅威じゃない」と過激派対応前面に主張
将来の展開に備えこの程度の機数は必要とどんぶり主張
運用開始すれば新たな斬新な使用法見つけるとも
9月18日、米空軍特殊作戦軍AFSOCが中東等でのローテク過激派対処用に導入要求中のプロペラ攻撃機について、米議会等から要求機数や要求性能算定の根拠が「余りにもどんぶり勘定だ」と批判されている件に関し、司令官であるMichael E. Conley中将が「将来の想定外の展開に備えて75機は必要だ」「わが部隊のDNAは斬新な手法で同機を有効活用する」と、官僚的でない強引な主張を展開していて興味深いのでご紹介します
AFSOC が要求しているプロペラ攻撃機は、中東地域を主に想定した過激派グループやその他のローテク脅威と戦うため、2020年から「Armed Overwatch」計画の名のもとに、近接航空支援やISR任務用に小型プロペラ機導入に着手したもので、最終的に AFSOC は、Air Tractor社製の農薬散布機OA-1Kに、L3 Harris 社製のセンサーと機銃等を搭載した機体を75機要求することを決定しています
この要求に関し Conley司令官は、「米国を上げての中国、中国、中国は理解している。しかし、世界には他の国も存在する。国家として、中央軍の中東での任務はまだ終わっていない」とし、大型攻撃機の数分の1のコスト相当する75機約 3000億円での導入を主張しています。
しかし米議会や会計監査院GAOは、「中国と対峙するような本格紛争で、軽攻撃機 75機は機能しない」、「必要な能力分析前に調達機数を決定している。機体能力の変化が調達必要機数に与える影響を評価していない。検討途中で想定作戦任務の変更があったのに、必要性を再評価をしていない」と、余りにもいい加減な見積もりに基づく AFSOCの要求に疑問を呈し、米議会は国防省に説明責任を果たすよう厳しく要求しているところです
そんな中ですが Conley 司令官は・・・
●国防省は中国抑止の武器購入に注力しているが、世界は専門家が考えていた以上に混沌としている。太平洋重視は理解できるが、中東の混乱と継続する戦いは、ローテク過激派が依然として脅威であることを示している。
●OA-1k が構想&決定された時点から、世界は少し変わったと思う。しかし、この機体は依然としてコスト効率の高い近接航空支援アセットで、過激派やその他のローテク脅威と戦うため 75機が必要だ。当初計画の時期に75機を購入できない可能性もあるが、それでも必要
●現在の能力評価や分析で軽攻撃機の有用性を結論付けることは危険だ。現時点での前提や仮定は、このアセットのより幅広い任務に対する有効性や状況適応能力を見落とす恐れがある.
●我々はAC-130やCH-47 の機体側面に機銃や砲を装備した部隊であり、C-130側面にジェット推進装置を追加してイランから脱出した部隊である。それが我々のDNAだ。この航空機を入手し運用開始すれば、搭乗員や整備員が、今だけでなく将来にも役立つ斬新な手法を見つけると思う。
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米空軍特殊作戦軍AFSOC司令官である Michael E. Conley 中将の、米議会には絶対通用しそうもない、清々しいまでの「人情に訴える」ご主張とお気持ちは十分すぎるほど理解できますし、75機を約 3000億円程度で導入可能なれば、何とかしてあげてほしいと思いました
ただし、米空軍は次期ICBM 計画で、空軍年間予算総額の2倍以上もの予算超過をやらかしてしまい、「一丁目一番地」だったはずの次期制空機NGAD 計画で大幅下方修正しなければならないほど追い込まれています。
准将から飛び級で中将に昇任してAFSOC司令官に就任しているConley中将の武運長久を祈りたいのですが・・・
米空軍特殊作戦軍AFSOCの関連
「AC-130の105mm砲取外し検討」 →https://holylandtokyo.com/2023/11/10/5219/
「MQ-9でネットワーク構成試験」→https://holylandtokyo.com/2023/09/26/5061/
「救難救助検討は迷走中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/23/4592/
「空軍No2に出身者が」 →https://holylandtokyo.com/2022/11/18/3965/