延期ABMS演習は更に拡大:次の次はアジア太平洋

いずれにも宇宙軍司令官が参加
予期せぬ状況設定で即興対処を作為

Dunlap.jpg7日、米空軍協会ミッチェル研究所主催のオンライン講演に、米空軍が最優先事項として取り組むABMS(先進戦闘管理システム)担当のPreston Dunlap氏が登場し、4月に予定されていた宇宙メイン主題の第2回実験演習を8~9月に延期し、その次のアジア太平洋対象の演習は12月頃を予定していると語りました

JADC2(統合全ドメイン指揮統制)とか連接マラソンとも呼ばれるこの実験演習は、各種シミュレーション演習の結果、クラウド技術やAI技術を活用し、4軍の装備を有機的に連接して情報や指示を迅速に共有することが大きな戦闘能力向上につながることが判明したことを受け本格化した演習です
演習では宇宙、上空、地上、水上、水中の多様なアセットを連接して指揮統制を迅速に行う各種検証を行っており、昨年12月の1回目は「米本土への巡航ミサイル攻撃対処」をテーマに行われ大きな成果を上げ、今後も4か月に一度実施の方向で準備されているものです

米国防省は米空軍を中心として強くこの演習を推進しており、従来型のアセット予算を後送りし、老朽装備を早期退役させてまで「連接性向上」に投資する方向性が、米国防省2021年度予算案で打ち出されています

7日付米空軍協会web記事によれば
ABMS.jpgPreston Dunlap氏は、4月に予定されていた第2回目の実験演習は宇宙軍に焦点を当てたものの予定であったが、コロナ関連で8月末から9月上旬へ延期することになったと述べ、しかしこの期間を利用し、演習内容をより充実拡大させることが可能になっており、同じく主演習部隊となる北米コマンドや、参加する米戦略コマンドとも細部を調整していると説明した
「多くの拡大修正を行っている」と同氏は語り、第1回に引き続き米本土が巡航ミサイル攻撃を受ける想定を置き、より多くのセンサーや兵器を陸海空宇宙サイバードメインを束ねて活用する形に発展させており、同時に第1回で表面化した連接リスクを除去する確認や、新ソフトの検証も行うと説明した。

12月の予定となった第3回目はアジア太平洋戦域を対象と予定しており、1,2回の米本土ではなく、遠方に機動展開する作戦を想定し、宇宙軍司令官と太平洋軍司令官が中心に戦うシナリオを準備していると述べたが、細部については言及できないとした
ただし同氏は「海外を戦域として想定する盛り上がる設定」と表現し、一番の特徴は、演習側が全く想定していないような状況を付与し、その場における指揮官の指示で手持ちのリソースで対応を求めるような訓練や検証を行うと語り、従来の演習とは異なり、よりリアリティーを追求し、第4回目以降の演習への資としたいと述べた

コロナ対処への貢献
Dunlap3.jpgこの実験演習に向け空軍研究所の「deviceONEプロジェクト」で開発した最高秘密情報が扱えるラップトップPCがあるが、今回のコロナ対処ではプロトタイプ段階の当該PC約1000台を、ニューヨーク市の州軍展開拠点や病院船コンフォートに提供し、現場活動の円滑化・迅速化に貢献した
このPCは重要秘密情報を扱えるが、当該情報を扱っている間のみ情報がPC内に存在し、使用後はPC内には何も残らない「SecureView」とのソフトを使用しており、使用後に展開先の駐車場に置き忘れても情報保全上は何の問題も発生しないと同氏説明し、実験演習の実戦での成果第1番ともいえると語った

実験演習に対しての議会の理解を得るための説明について問われた同氏は、目に見える兵器や装備品と異なり、ネットワークの重要性に理解を得るには工夫が必要だろうが、日常生活の中にもネットワークは入り込んでおり、具体的な前線での事例等から説明すれば理解を得られるだろうと答えた
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この実験演習の旗振り役は米空軍調達トップのWill Roper氏ですが、その下でABMSを取りまとめているのがPreston Dunlap氏です。

Dunlap2.jpg議会説明に関する質問が出ていますが、国防省や米軍内の新たなアイディアが議会の理解を得られずとん挫するケースが増えており、それが本当に国民代表者によるチェックの役割を果たしているのか、利害企業のロビー活動による捻じ曲げなのか気になるところです。

アジア太平洋対象の第3回演習では同盟国の関与があるのでしょうか? まず豪州でしょうが、オブザーバ参加ぐらいさせてもらえれば、日本にも参考になるでしょうに・・・

ABMSとJADC2関連
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「米空軍の夢をCSBAが応援!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「空軍資源再配分の焦点は連接性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-08
「マルチドメイン指揮統制MDC2に必要なのは?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-24

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