米空軍MQ-9で小型ドローン射出しNetWork構成試験へ

空軍特殊作戦軍が来年3回の試験を予定
MQ-9が上空で射出小型ドローン群を指揮統制
別に1名で3機のMQ-9操作する実験も構想中

A2E adaptive.jpg9月12日、米空軍特殊作戦軍司令官のTony Bauernfeind中将が講演し、無人機運用の効率化・省人化を進める自立ドローン導入の一環として、更に米軍が統合で進めるJADC2(Joint All Domain Command and Control)の最前線拡大を狙い、無人機母機(capital ships)としてのMQ-9から小型ドローン(UASs)を射出し、MQ-9に指揮統制させるA2Eプロジェクト(adaptive airborne enterprise)の試験を2024年に3回計画中と明らかにしました

米空軍保有約320機のMQ-9の内の約50機を保有する特殊作戦軍での、最優先装備導入プロジェクトだと表現した同司令官は、「MQ-9から射出される小型ドローン(UASs)によって、どの程度networkが拡大可能かはまだ明らかではない」が、「センサー網や通信ネットワークの拡大は、我が特殊作戦軍の敵陣深い作戦域での活動に大きな恩恵をもたらすだろう」とA2Eプロジェクトの意義を語り、

Bauernfeind.jpg更に8月には担当部隊の第27特殊作戦航空団が、「将来的に我が特殊作戦軍の兵士が、様々な能力を備えたMQ-9から射出される小型ドローン(UASs)を、例えばAC-130特殊攻撃機の機内や地球の裏側のホテルの部屋から操作する能力を持ちたいと考えている」とのイメージを対外発信していたところです

そのそも米特殊作戦軍は、前司令官で現在の空軍作戦部長であるJames C. Slife中将の時から、「無人機の運用態勢は導入当初の1990年代から基本的に大きな変化がなく、一人が1機を操作する極めて人力集中型の運用形態が続いている」との強い問題意識を持ち、

A2E adaptive2.jpg例えば「無人機の自動離着陸や衛星通信利用の離着陸の導入と普及により、35%も最前線活動時間増加させた」、「更に高度なドローン自立運用への挑戦の機が熟しつつある」などドローン自立化への期待が高まっていると同司令官は述べ、若い有能な兵士を無人機のお守りに長時間縛り付けたくはないとも思いを語っています

またBauernfeind司令官は、現時点ではMQ-9の1個紹介点維持のため150名以上の人員が必要となっているが、自動化自立化ソフトの開発等で、操縦者1名が3機を指揮統制可能な体制確立に向けたテストに早期に実施したいとも語っており、ドローンの効率運用に強い意志を示しています
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A2E adaptive3.jpgMQ-9から射出する小型ドローン(UASs)は、1機が重量25㎏以下のドローンが想定されているようですが、既存のドローンを搭載するのか、どのようなセンサーや通信中継装置の搭載をイメージしているのか、ご紹介した19日付米空軍協会web記事は触れていませんが、米空軍のMQ-9最前基地が、鹿児島県の鹿屋海自基地に作戦開設されたばかりのタイミングでもあり、気になるところです

ご興味のある方は、A2Eプロジェクト(adaptive airborne enterprise)や小型ドローン(UASs:uncrewed aerial systems)に、「AFSOC:Air Force Special Operations Command」を絡めて検索してみてください

Bauernfeind司令官の13日の発言
「滑走路に依存しない能力確保が求められている:we have to have runway-agnostic capabilities」→ https://holylandtokyo.com/2023/09/19/5048/
前任の空軍特殊作戦軍司令官が仰天人事で空軍作戦部長に
「作戦部長に特殊作戦部隊一筋の人物が」→https://holylandtokyo.com/2022/11/18/3965/
鹿屋海自基地に米空軍MQ-9部隊が
「部隊編成完了とMQ-9の将来」→https://holylandtokyo.com/2022/10/27/3811/

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