無人ウイングマンCCAを2020年代後半導入へ

次世代制空機NGADの2030年初め導入より早く
価格はF-35の25~50%で大量調達可能を狙う
とりあえずお手頃価格で迅速導入の危うさも

CCA NGAD.jpg3月29日、米空軍のAndrew Hunter調達担当次官とRichard G. Moore戦略計画部長が下院軍事委員会で証言し、1000機から2000機調達する計画だと言われている無人ウイングマン機CCA(Collaborative Combat Aircraft)に関し、2020年代後半には導入したいと説明し、2030年代初頭導入イメージの次期制空機NGADとは異なるスケジュール感で進めると語りました

また両名はCCAについて、3つの任務「shooters」「electronic warfare platforms」「sensor-carrying aircraft」遂行を期待すると説明する一方で、手頃な価格での迅速な導入を最優先にすると述べ、米空軍側が要求性能を出して企業側に提案させて精査する流れとは異なり、前述の手頃な価格と「put a priority on contractors’ ability」を念頭に、可能な限り迅速に企業側に何が出来ると問いかけて進めていると説明しました

CCA NGAD2.jpgまた並行して米空軍内では、CCAをどのように空軍内で部隊編成するか、例えば有人機と同じ飛行隊に置くか独立飛行隊を編成するか、作戦時には当初から有人機とCCAが編隊飛行で進出するか、別の拠点から離陸して現地で合流するか等の検討を含む「TTP:tactics, techniques, and procedure」固めが検討課題だとし、TTP等を煮詰めるための試験飛行隊創設予算を2024年度予算案に盛り込んでいると説明しました

前日の28日にはKendall空軍長官が同じ下院で、CCAの想定価格はF-35の25~50%で大量調達可能な価格を想定とし、具体的に1機26億から52億円との数字を出して説明しており、CCAに関する議論が2024年度予算案審議に併せて急速に具体化しつつあります

CCA NGAD3.jpgCCAに関してはKendall空軍長官が3月7日にAFA総会で、「200機のNGADと1000機のCCA調達を借り前提として2024年度予算案を編成」、「CCA1000機の積み上げは、200機の各NGADにCCAを2機づつ割り当て、300機の各F-35に2機づつ・・・とのざっくり計算から来ている」と説明しましたが、約1週間後には「今後の検討によって、CCAは2000機の可能性もある」と大ぶろしきを広げていたところです

CCA NGAD4.jpgここに来てCCAに関し、急速に具体的な話が出てきましたが、とりあえずの「任務設定」と「価格設定」と「導入開始時期」を打ち出し、「機数イメージ」を持ちつつ、あとは「企業に何が出来るか」と持ち掛けて空軍全体で突っ走るがごとくのやり方に、大いなる疑問を感じざるを得ません

CCAに関する最も大きな問題は、如何に中国最前線に発進基地を確保して展開させ、敵の基地攻撃を逃れて無事離陸させ、更に航続距離を確保(空中給油?)して如何に作戦空域に到達させるかにあり、有人機の展開拠点や地上支援体制も危うい中で、1000機ものCCAを運用できる余裕がどこにあるのか・・・との点にあります。

Wigston.jpg英空軍参謀総長が2022年7月に、過去5年間に渡る成果として敵防空網を混乱&飽和させる「(CCAより遥かに小型の)無人機の群れ」研究に手ごたえを感じていると発表しましたが、依然として「無人機の群れを攻撃対象となる敵防空網内に運搬&投入する能力開発は、現在も継続中」と語り、CCAより遥かに小型の無人機でも前線投入が大きな課題だと語っていたところです。

CCAに関しては、部隊編成とか、前線に到達してからの有人機との関係よりも、どこに展開させ、どうやって前線まで飛行させるのかを最初に語るべきだと思います

無人ウイングマンCCA関連
「空軍長官:NGADが200機、CCAは1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「研究機関がCCAに関する提言」→https://holylandtokyo.com/2022/12/15/4056/
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27

関連の記事
「NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/
「NGADの無人随伴機開発は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-20
「無人機の群れ前線投入が課題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/28/3474/

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