米空軍「family of systems」の自立無人機CCAを提言

ミッチェル研究所が空軍、産業界等から意見を聴取して
謎の「family of systems」をB-21絡みで検討提言
第1弾「突破型攻撃3パターン」に必要な自立無人機提言

ACP Mitchell 2.jpg米空軍協会ミッテル研究所が、将来の本格紛争で必要不可欠な要素として米空軍が細部非公開のまま検討中としている自律型無人機(ACP:autonomous collaborative platforms)について、台湾有事など対中国を念頭に必要な同無人機のタイプや必要数を検討分析するレポートをまとめて段階的に発表する模様で、第1弾が「突破型攻撃:Penetrating Strike」をテーマに12月14日にプレゼンが行われる予定です

ACP Mitchell 3.jpgこのレポート作成に当たり同研究所は、夏に米空軍幹部や作戦運用関係者や軍需産業界関係者など40名以上を集めた3日間の集中検討会を行い、その結果を研究所のMark Gunzinger退役大佐らがまとめたとのことですが、米空軍が非公開で進める有人戦闘機や爆撃機と一体となって作戦遂行する「family of systems」の一部をなす無人機について、空軍応援団体とは言え民間研究機関と空軍関係者が共に缶詰検討会「unclassified workshop」を行ってまとめる構図やレポートの位置づけが意味深なところです(世論や専門家の反応を見る「のろし」かな?)

有人戦闘機や爆撃機と一体となって作戦遂行する「family of systems」には有人支援機も含まれるでしょうが、有人戦闘機とチームを組む無人機ウイングマンのイメージでご紹介してきたXQ-58等のCCA(collaborative combat aircraft)などを含む、より広い概念の自立型無人機ACPにはどんなタイプが何機必要かを考えるのがレポートのテーマです

ACP Mitchell _Lee_Caitlin-.jpg今回は検討レポート発表の第1弾として、B-21新型爆撃機による「突破型攻撃:Penetrating Strike」を支える「family of systems」に含まれるべき自立型無人機ACPのタイプや必要機数を、3つの目標攻撃ケース「air base」「maritime threat」「transporter erector launcher:移動式弾道ミサイルなど発射機」に分けて検討したとのことです

検討の前提として、無人機ACPの能力や必要機数について制限は設けなかったとのことですが、40名の専門家議論の結果として、「極端に高性能な無人戦闘機や無人爆撃機」を求める声は上がらなかったと8日付米空軍協会web記事は伝えており、

ACP Mitchell MG-.jpg3つの攻撃目標ケースに応じ多少意見は異なるものの、大きく3つのタイプ、攻撃パッケージを防御する「Defensive counterair ACP」、移動する敵アセットを追尾する「ISR ACP」、敵防空システムを無効化する「SEAD、Jamming、 offensive counterair ACP」が必要とされ、攻撃目標に応じた必要機数を算出しています

上記web記事によれば結論の機数は以下の通り
Air base attack
• ACP 1: Escort, 8
• ACP 2: SEAD, 16 initially, increased to 32
• ACP 3: Jamming, 8

Maritime threat
• ACP 1: Defensive counterair, 40
• ACP 2: ISR, communications relay, 10
• ACP 3: Strike, 20

Transporter erector launcher
• ACP 1: Escort, suppression of enemy air defenses, 10
• ACP 2: ISR, Suppression of enemy air defenses (SEAD), offensive counterair, 144 (24 per bomber)
• ACP 3: ISR, SEAD, offensive counterair, 120 (20 per bomber)

更に第1弾レポートは以下を主張の模様
ACP Mitchell 5.jpg●提案された自立型無人機ACPは、大部分が航続距離が数千マイルで、爆撃機等から発進するタイプ
●自立型無人機ACPの数を確保する必要から、個々のACPの性能についてはそれほど高いものは求めない

●特に「敵の航空基地攻撃」の場合、敵の防空能力が高いことから、最新の爆撃機でも目標近傍まで接近して精密誘導兵器を発射する必要があり、ACPを多数投入しても爆撃機のリスクをあまり下げられない
●在空型で目標に突入攻撃を行う「loitering munitions」タイプのACPの重要性もレポートは訴え
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第一弾レポート発表会(12月14日)案内ページ
https://mitchellaerospacepower.org/event/research-paper-release-the-next-frontier-uavs-for-great-power-conflict-part-i-penetrating-strike/

ACP Mitchell 4.jpg米空軍の非公開検討との関係がどうしても気になりますが、12月14日の第1弾発表会には、米空軍戦闘コマンドACCの計画部長や米空軍開発担当コマンドの戦闘機等担当准将が参加するそうです。

ミッチェル研究所によるレポートが、第1弾の「突破型攻撃:Penetrating Strike」以降、どのようなテーマを掲げて発表されていくのか未公開のようで気になりますが、まずは14日の第1弾注目です

米空軍の無人機検討格上げへ
「無人機自立化と群れ技術を作戦機で装備化へ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/

無人機僚機Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27

無人機の群れGolden Horde計画関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holylandtokyo.com/2020/10/12/430/
「SkyborgとGolden Horde計画を優先に」→https://holylandtokyo.com/2019/12/06/2838/

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