空母にHIMARSに航空機140機などなど
イランがウクライナ混乱に乗じて不穏な動きの中
安全保障担当米大統領補佐官も訪イスラエルして
米イスラエル軍が8500名超(米6400名、イスラエル1200名)規模の大規模統合全ドメイン演習「Juniper Oak」を1月23日から27日の間にイスラエル及び東地中海で実施しました。演習開始直前の18-20日には、サリバン安全保障担当米大統領補佐官がイスラエルを訪問して地域情勢等について協議を行ったと報じられるなど、緊張感が漂う中での演習開始です
両国から航空機約140機、空母を含む艦艇6隻が参加し、宇宙軍や特殊作戦軍も参加する広範な内容を含む演習で、ウクライナ紛争で欧米が足を取られる中、イランが核兵器開発をさらに進め、中東域全体でイランの支援を受けたイスラム過激派が無人機攻撃等を活発化させる情勢を背景に、陸海空宇宙サイバードメインに渡る巨大演習です
2020年9月の歴史的なアブラハム合意でイスラエルとUAE&バーレーンが国交を樹立し、その流れを受け2021年9月にはイスラエルが米欧州軍管轄から米中央軍管轄に移行し、イランに警戒感を持つアラブ諸国とイスラエルの関係が、単なる雪解けから連携フェーズに進展しつつある中での大規模演習に注目が集まっています
演習参加航空機は末尾に列挙しますが、両国軍からの発表によれば、演習科目は正にオールドメインで、米軍が推進するJADC2を中核に据えた指揮統制協力を意識し、航空侵攻から防空、海上航空阻止、SEAD、戦時救難、電子戦など広範な内容となっており、F-35やFA-18はもちろんのこと、B-52やAH-64アパッチヘリからRC-135特殊作戦機、EA-18G電子戦機、AC-130特殊攻撃機など航空機20機種以上や、低高度衛星、艦艇やウクライナで話題のHIMARSまで参加する戦力構成になっています
同演習についてMichael Kurilla米中央軍司令官は、「(米国とイスラエル以外で、)世界中のどの国も、この地域にこの規模の戦力を、このレベルの機敏さをもって集結することはできない」、「全ドメイン、陸海空宇宙サイバーで訓練を実施し、如何なる緊急事態にも対処しうる能力を強化する」と述べ、米軍事専門家も「(米中央軍司令官の発言はその通りで、)地域の潜在的敵対国や我が同盟国等に、その能力を改めて示した意義は極めて大きい」とコメントしています
米軍からの参加航空機
• Four B-52s
• Four F-35s、Four F-15Es、Four F-16s、45 F/A 18s、
• One AC-130、Two MQ-9s
• Six EA-18Gs、One RC-135
• Two HH-68s、15 MH-60s、Four AH-64s
• Five E-2Ds
• One HC-130
• Two KC-46s
イスラエル軍からの参加航空機
• Six F-35s、18 F-16s、Eight F-15s
• Two AH-64s
• Two unmanned aerial vehicles
• One UH-60、One CH-53
• One Gulfstream G550
• Two 707s
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ウクライナ問題と台湾問題が世界中でホットな話題ですが、中東でもイランの核開発が以前の5か国合意の制限レベルを超えて進展しつつあるほか、イランから又はイランの支援を受けた過激派からと推測される無人機攻撃などが最近継続して発生しており、予断を許さない状況です
ちなみに「Juniper Oak」演習では、弾薬18万ポンドが使用されたそうです
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