5G企業へのCバンド売却で電波高度計に懸念

航空関係団体がCバンド売却に大反対もFCCは突っ走る
Lバンド売却でGPSへの干渉懸念もある中・・・

FCC C band2.jpg21日付Defense-Newsは、8日から米連邦通信委員会FCCが「5G」企業に「Cバンド」電波オークションを開始したことに関し、連邦航空局FAAや民間航空団体が「電波高度計」に干渉して安全上の重大な懸念事項となると猛反発している様子を報じています

米連邦数新委員会FCCは、衛星通信に使用する「Lバンド」電波を5G企業LINDOに売却したことで、GPS信号への干渉を懸念する国防省から猛反発され、今も議会を巻き込んで係争中と理解していますが、新たに「Cバンド」でも5Gのため強行突破を試みているようです

FCC 5G.jpg今回話題となっているのはCバンドの「3.7〜3.98 GHz」周波数帯で、従来この部分を静かに使用していた衛星事業者に他の周波数帯へ移行してもらい、代わりに5G事業者に対し「電波オークション」を開始したとのことで、17日の時点で既に50人以上の入札者が150億ドル以上を提示したと報じられています

問題はこの周波数に近い「4.2〜4.4 GHz」帯を数十年に渡り使用している電波高度計で、航空関係団体で構成するRTCAが10月の報告書で、電波高度計に有害な干渉を引き起こすリスクがあると警告を鳴らしたことから、FCCと航空関係者との戦いが本格的になっています

国防省、国土安全保障省や運輸省(連邦航空局FAA)も電波高度計への懸念で動きを始めており、仮に電波高度計をリスク回避のため交換する必要が生じるような場合、数千億円規模の投資が必要だとの話にまで伝わってきており、コロナで瀕死状態の航空業界や政府関係機関を巻き込み、「5Gに乗り遅れるな」VS「安全第一」の構図と、中国の5G覇権に負けられない・・・との思いが交錯し、泥沼乱戦模様になっているようです

21日付Defense-News記事によれば
FCC C band5.jpeg8日にCバンド電波オークションを開始するにあたり、連邦通信委員会FCC委員長は「5Gにおける米国の消費者と米国のリーダーシップにとって大きな日だ」とコメントしたが、12を超える商用航空グループで構成されるRTCAは「売却が複数の死者の可能性を伴う壊滅的な失敗につながる可能性がある」と警告した
この懸念は連邦航空局FAAと運輸省でも共有されており、安全性問題をより綿密に精査するためFCCに販売一時停止を求めているが、FCCは独自技術調査でリスクがほとんど又は全くないと主張し、今後も前進していくと述べている

国防省は軍用機への影響に対し正式な立場を決めておらず、21日に国防省、国土安全保障省ら関係者が会合を持ち、「調査結果を基に省庁の考えをまとめる」との方向を打ち出したところだが、同会合に電波高度計メーカーのHoneywellも呼ばれ、現高度計に干渉防止措置を施す等の措置について聞かれたとして話題を集めている
FCC 5G2.jpg電波高度計は、気圧高度計の誤差が大きくなる高度2500フィート以下になると特に重要になり、他の計測機器で代替不可能で、航空機離着陸時の安全確保に非常に重要な役割を果たす計器である

FCC報道官は懸念の声に対し、「Cバンドでの5G操作が電波高度計に有害な干渉を引き起こすと信じる理由は存在しない。FCCは、私たちの規則に沿ってCバンド周波数帯が使用されれば、電波高度計を保護すると結論付けた」とコメントしている

現在「3.7〜3.98 GHz」帯を使用している衛星事業者は、電波オークション売却代金の一部を受け取り、周波数帯移動費用に充てることができるが電波高度計に依存する民間、商業、および政府機関に資金が提供される予定はない
最近の多くの軍用機も電波高度計を使用しているが、1970年代設計のF-15C戦闘機などは装備しておらず、操縦者は目視で行動することに慣れているが、民航機と似ている輸送機や空中給油機は電波高度計に頼るところが大きいとみられる

また特殊作戦部隊が使用する輸送機やヘリは、夜間に低高度を飛行する作戦遂行が求められるため、電波高度計の精度は非常に重要となる
FCC 5G3.jpg関係者は、民間を含めたすべての電波高度計を干渉対策を施したものに交換するには数十億ドル(数千億円)と膨大な時間が必要との概算見積もりを示しているが、国防省内でも、新しい高度計の開発と調達、各プラットフォームのテストと再認証、そして潜在的に数百または数千の新しい装備の装着作業に数億ドルを投資する必要があり、「数十年とまではいかなくても、何年は必要」と考えかれている
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この問題も、5G企業への「Lバンド」帯使用許可問題(GPS信号への干渉懸念問題)と同じく、既得権を盾に航空業界が懸念を示しているのか、5Gで中国に負けたくない一心で連邦通信委員会FCCが暴走しているのか、よくわからない部分があります

でも、これだけ航空業界や政府関係機関がまとまって調査を行い懸念を示しているので、国防省だけが問題視している「Lバンド」問題よりも大きな動きになりそうな気がします。特にコロナ感染で苦しむ航空業界への影響がありますから、政治問題化しそうな予感です

「第3者的」視点で分析し、干渉の可能性や電波高度計への影響を示してくれる機関があればいいのですが、どうなることやら・・・。トランプ政権の強引さもFCCの背景にあるような気がしますので、政権交代後の動きにも注目です

RTCAのwebサイト
https://www.rtca.org/

5GのGPS信号への干渉問題
「炎上中:5G企業へのGPS近傍電波使用許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
「5G企業に国防省大反対の周波数使用許可へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-11
「米議会でも国防省使用の周波数議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-05
「ファーウェイ5G使用は米国との関係に障害」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-17
「軍事レーダーの干渉確認」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-05
「5G企業とGPS関係者がLバンド電波巡り激突中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-2
「戦略コマンドが5Gとの電波争奪に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-27
「GPSが30日間停止したら」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-18
「5G試験のため民間に演習場提供案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-14

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