給油・輸送機族の反対を押し切り司令官が強硬
少人数運用で膨大な作戦ニーズに対応する必要性訴え
10月28日、米空軍輸送コマンドの第22空中給油航空団が、KC-46A空中給油機をパイロット1名と給油操作員1名で運用し、離陸から給油を経て着陸までの一連の飛行運用を試験したと発表しました。
試験飛行は10月25日に2回行われ、まず1回目で実際の空中給油を行わない一連の飛行パターンを飛行し、2回目で実際の空中給油を含む離陸から着陸までの一連の運用を無事実施したとのことです。
2回の飛行試験とも、実際には2人目のパイロットが緊急事態に備えて安全のため機体に同乗し、実際の空中給油を行う2回目の飛行の際は、通常の数の乗員が登場したもう1機のKC-46を同時に飛行させて支援体制をとっていたと同航空団は説明しています
また同航空団司令官の大佐は、「この飛行は、事前に様々な状況を想定したシミュレーター訓練を行った後に実施した」、「飛行の各段階の課題を慎重に事前評価し、乗員の安全や航空機能力、そして連邦航空局の基準を考慮して準備した。この過程を経て丁寧にリスクやリスク低減策を検討し、試験飛行に参加する搭乗員に必要な説明と訓練を行って試験に臨んだ」と安全重視を強調しています
この取り組みは、7月に最初に検討が報じられ、関係者から現場飛行隊の人手不足問題を誤魔化して搭乗員負担を増すものだと強い批判を浴びたが、9月に空軍輸送コマンド司令官Mike Minihan大将が空軍協会シンポジウムで必要性を強く訴え、「現実に作戦ニーズがあり、戦いに勝つためにはフライト数を増やす必要があるのだ。例えば、操縦者1人と給油捜査員1名が機体後方で休息をとる間、操縦者一人と給油捜査員1名で給油任務を継続することはそんなに困難だろうか?」と訴え、
「戦闘機パイロットだけが一人で飛ぶ資格が与えられているのか? 私は戦闘機乗りを讃えるとともに、我が部隊の給油機操縦者を信頼している」と説明しています
同司令官はKC-46に対してはこのほかにも、5月に24.2時間の連続飛行を実施させ、9月には第一級不具合を抱えたままのKC-46に実戦投入宣言をしたことでも知られています
また同大将は、通常より少ない搭乗員での作戦運用を試すべきなのは給油機や輸送機だけではないとし、兵器を搭載する主要作戦機でも少人数での運用を試すべきだと主張して話題となっています
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2021年10月から空軍輸送コマンド司令官に就任しているMike Minihan大将ですが、その前は太平洋軍副司令官として中国の急速な軍備増強を目の当たりにし、対中国作戦計画の練り直しに日々取り組んできた人物です
西太平洋戦域での作戦環境を考慮すれば、空中給油機や輸送機に対するニーズは自然とそうなり、他の兵器搭載主要作戦機にも「少人数運用」を求めたくなるのでしょう。
でも、米軍内や軍人OBに敵も多数存在しそうですから、推定56歳の同司令官が何時まで同ポストに留まれるか、また更なる上級ポストへの栄転はあるのか等々、生暖かく見守りたいと思います
Mike Minihan司令官が決定
「ゴールを動かして」KC-46の運用態勢確立を宣言
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