次期制空機NGADは「EMD phase」に入った

EMD phase:Engineering and Manufacturing Development phase
「2020年代末には能力を獲得できるだろう」
2015年に「X-plane program」としてスタート

NGAD9.jpg6月1日、Heritage財団で講演したKendall空軍長官が次期制空機NGAD開発について、2015年に極秘開発計画「X-plane program」としてスタートし、つい最近になってEMD phaseに入ったと述べました。

「EMD phase」とは、新装備の基礎的な材料素材研究や開発、基礎技術の確認やリスク評価を終えた後、本格的生産に入る前段階の設計及び具体的開発段階を指すもので、基礎的な材料検討や基礎技術確認を基礎に正式な開発計画を決定する「Milestone B」承認を得た後のフェーズとのことで、本格生産に向けた具体的検討に入ったということです。(詳しくは→(https://acqnotes.com/acqnote/acquisitions/emd-phase

Kendall 7.jpgKendall空軍長官は、「EMD phase」の前段階の「基礎的な材料検討や基礎技術確認フェーズ」を、自身が開発&調達担当国防次官時代の2015年に「X-plane program」として開始したと振り返り、更に通常は開始から約7年で初期運用態勢ICOに達するが、(約7年の開発期間開始のカウントは)「2015年からではなく、ちょうど今始まったぐらいだ」と説明しました

同長官は次期制空機NGADの予想価格について、4月末の下院で「1機数百億円:several hundred million」だと推計を証言し、調達機数等からすると(F-35を超える)史上最大の航空機開発プログラムになると巷で話題になったところですが、2023年度予算案には、調査開発試験費用を含む約3000億円が要求されているようです

NGAD6.jpgその他1日の講演で同長官は、兼ねてからの持論を「リスクがある程度低い開発案件は、デモ試験やプロトタイプ確認フェーズを省略し、多少のリスクを冒しても、迅速に前線に提供すべく早く生産フェーズに入れるようにしたい」と訴え、特に有人機(5世代以降の戦闘機やB-21次期爆撃機)に随伴する無人作戦機を例に「緊急性を要する」と同講演で主張しています
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2020年9月14日、当時のRoper次官補が細部に一切言及せず、「デモ機が初飛行済」と明らかにして大騒ぎになりましたが、次期制空機NGADは、「兵器搭載量や航続距離重視」や「family of systemsを構成する1構成要素として運用」等の断片的な空軍幹部のコメントがある程度で、引き続き秘密のベールに包まれています

Kendall air.jpgさすがに「おたく」のまんぐーすも、「X-plane program」として開始された2015年当時に次期制空機NGADを取り上げた記事はアップしていませんが、以下にPCA(Penetrating Counter Air)と呼称されていた当時からの過去記事を改めて掲載させていただきます。掲載漏れもあると思いますが、各記事にも当時の関連記事を載せていますので、お好きな方はそちらもご参考に

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「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

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