謎の次期制空機NGADについて発言相次ぐ

航続距離・多周波数ステルス・搭載量増を要望!?
米空軍ACC司令官と御用研究者が相次いで語る

NGAD6.jpg10月25日、米空軍戦闘コマンドACC司令官(戦闘機族のボス)と米空軍協会ミッチェル研究所研究員(元F-16女性操縦者)が、異なる場で相次いで次期制空機NGAD(Next-Generation Air Dominance)について言及していますので、ご紹介しておきます

次期制空機NGADは2030年頃からの使用をイメージし、F-22の退役に沿って導入を進める構想が最近語られていますが、具体的な要求性能や特徴については闇の中で、謎だらけの機体です

NGAD5.jpgしかし2020年9月に突然、当時の空軍調達担当次官補が、既にプロトタイプが初飛行済だと公表し、大騒ぎとなりました。ただその後は再び「秘密の闇」に包まれ、重要だから予算が必要との抽象的な話しかきかかない状況が続いています

そんな中での、「米空軍戦闘機族のボス」と「米空軍応援団」である米空軍協会研究員からの発言ですので、極めて断片的ですが、米空軍の情勢認識を考える上で貴重ですので「Take Note」しておきましょう。また、NGAD以外にも言及があった部分も、箇条書き紹介いたします

ACC司令官Mark D. Kelly大将は
(ミッチェル研究所のオンラインイベントで)
Kelly.jpg●NGADはACCの最優先事項(No. 1 requirement)である。なぜなら、米空軍として、それなしで全ての軍事作戦の基礎となる「制空」を提供不能になるからである
●またNGADは全ての軍種からの要求(a multi-service requirement)でもある。なぜなら他軍種も、「制空」無しで、遠隔で作戦を遂行できるようには設計されていないからである

●第6世代の航空優勢獲得アセットには、長い行動能力・遠距離作戦能力が必要で、欧州戦線で想定される距離よりも長い行動半径が必要だ

●また、マルチ周波数環境で生存性確保するため、現在のシングル周波数帯での設計思想を超えていかなくてはならない
●更に、戦闘空間を「sense」し、他の戦力を「connect」する能力も必要だ。そのような能力を備えたNGADを、敵領域の裏庭まで進出させ活動させたい

ACCのKelly司令官傘下のイベント映像

その他にACC司令官は優先装備として
●戦闘機ロードマップの実行(F-35、各種F-15、F-16と、2030年頃まではA-10とF-22で戦う)
●「第5世代AMTI(移動目標追随能力:JSTARS後継イメージ)」の確保
老朽E-3・AWACS後継機
航空基地防御強化(レーザー等エネルギー兵器を含む)
●第5世代空軍に必要な「第5世代兵器開発
統合の全ドメイン指揮統制態勢整備への投資

ミッチェル研究所Heather Penney上級研究員はNGADを
「レポート:米国が必要な戦闘機戦力」の発表会で

Penney.jpg●NGADには「航続距離とペイロード(搭載能力)」が必要だ
●将来戦闘機には、敵領土奥深くへ突破・侵入する能力が必要で、かつ十分な兵器能力を備え、敵の移動目標や攻撃困難な目標を攻撃可能な能力が不可欠

●遠距離からのスタンドオフ攻撃だけでは対処できない。スタンドオフ部隊を構築するのとはナンセンスだ。そのような部隊は高価すぎ、かつ作戦運用面で効果的ではない
●突破力が不可欠であり、長引く軍事作戦を遂行する際には必ず、スタンドイン戦力が欠かせない

同上級研究員は他に「レポート:米国が必要な戦闘機戦力」で
●S-400など最新防空網に対応不可な非ステルスF-15EX投資を止め、F-35投資に集中すべき
●併せて、F-15CやDやE型、更にA-10も早期に全機退役させ、F-35投資を加速すべき
F-16は敵脅威が厳しくない環境用に延命使用すべき
NGAD導入まで、F-22は近代化改修しつつ維持
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Penney3.jpg←現役当時のPenney上級研究員                 米空軍の本音(大声で訴えたい内容:繰り返し訴えてきたが議会等の反対でとん挫)は、Penney上級研究員がレポートにまとめて打ち出し、Kelly司令官は米空軍の公式見解の範囲内で戦闘コマンドの要望を訴えた形になっています

「航続距離」も「搭載量」もアップさせ、「マルチ周波数対応ステルス」なNGADとは、いったいどんな機体になるのでしょうか? 2020年9月に「プロトタイプが初飛行済」だと公表された機体は、どの程度要求を満たすものだったのでしょうか?

ちなみに現在のステルス戦闘機は、敵レーダーの周波数がC、X、Kuバンド帯であればステルスが有効ですが、それよりも周波数の低いSやLバンド帯の一部(例:航空交通管制レーダー)であれば、追尾は難しいかもしれないが探知は出来る可能性があり、複数の周波数でステルス機を捜索すれば、理論上はある程度対処可能になります

ドイツ企業が、ラジオやTV放送電波を活用したパッシブレーダーでF-35の追尾に成功したと「噂」されたのも、この原理によるものと考えられます。またレーダーの発信源と受信アンテナの位置を分けることで、ステルス機の反射波を探知できるとも言われており、中国が沿岸に整備途上とも言われています

対ステルス技術関連の記事
「独レーダーがF-35探知追尾?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-01
「新型レーダーを独軍が試験へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-17-1
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「ステルスVS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「中国の対ステルスレーダー」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-24
「中国にステルス対処の受動レーダー出現」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-05
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「バイスタティック無人機で対処」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-26
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「ミッチェル研究所研究員の主張」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
NGAD関連記事
「戦闘機族ボスが少し語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-07
「戦闘機族ボスがNGADへの危機感」→https://holylandtokyo.com/2021/03/05/154/
「SCIF使用困難で戦闘機開発危機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-12
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
戦闘機構成検討TacAir study関連
「近未来の戦闘機構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-16
「戦闘機は7機種から4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/
「戦闘機混合比や5世代マイナス機検討」→https://holylandtokyo.com/2021/02/22/266/

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