1日付Defense-Techは、米海軍とレイセオン社が取り組むトマホーク巡航ミサイルの2つの改良テストが所望の成果を得、更に貫通弾バージョン等の開発も進んでいると報じています
既に3000発以上が海軍に納入され、30年以上にわたって実戦に投入されている「優等生」ミサイルですが、まだまだ活躍が期待されてる模様です
1日付Defense-Techによれば
●米海軍とレイセオン社は、最近2つのトマホーク(Block IV)発射試験を行った。共にソフトの改良確認試験である。
●試験の一つは潜水艦の垂直発射管からの発射で、飛行中に目標を管制センターから変更する試験であった。ミサイルは目標再設定を柔軟にこなし、China Lake射撃場内の目標に到達した
●二つ目の試験は米海軍の水上艦艇からの発射で、目標への到達までにこれまで経験の無い高高度を通過して飛翔した。飛翔プログラムにはいくつかの高高度通過ポイントが設定され、最後は垂直ダイブで目標に到達した
●米海軍とレイセオンの担当者は、「ソフト改良の有効性を確認できた」、「継続的に能力向上に取り組んでいるが、今回の試験はトマホークの行動可能領域を拡大することをを確認するためだった」と説明した
●3000発は既に納入されている海軍トマホークは、納入後15年でミサイル品質検証を受けており、2018年から19年の間に再度品質検証を受けることになっている
●トマホークはこれまでも複数の能力向上を行っているが、2wayデータリンクとデジタルカメラを組み合わせ、飛翔経路上の攻撃成果確認(BDA:battle damage assessment)も行えるよう改良されている
●また2015年度予算案には、A2AD環境を意識した航法・通信システム改良が約150億円の予算で盛り込まれている。
●検討中の改良計画には、トマホークに貫通弾の能力を付与する「JMEWS:Joint Multiple Effects Warhead System」計画も含まれている。レイセオンはJMEWSのリスク精査を行っており、可能ならば2015年から開発を開始したいと考えている
●また同社は、新型電波シーカーの開発にも取り組んでいる。自ら電波を発して目標識別の精度を高めるもので、2015年度には実用化したいと考えている
●更に同社は、海軍と複数年契約を結ぶことで、同ミサイルの単価低下を目指している。またFMSによる更なる海外への輸出可能性も探っており、これも単価低下に結びつくものである
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対中国やA2AD対処を考える時、トマホークのような長射程精密誘導兵器は「中核兵器」です。
敵の電子妨害や宇宙戦能力を考えると、データリンクへの過度な依存は禁物でしょうが、基本的に打ちっぱなしが可能な兵器は有効です
改修への投資金額も、数十億円から100億円程度と、戦闘機1機程度のレベルです。どんどん取り組んでもらいたいし、日本も是非導入したい装備です
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