中国の莫大なICBMサイロ増設を数年目から察知

退役間近の米統合参謀副議長がBrookingsで語る
米露は核弾頭数1550発上限も、中国には制約なし
米国は400サイロに最短15年必要も、中国はあっという間に

Hyten.jpg13日、Hyten米統合参謀副議長がBrookings主催のWebイベントに登場し、おなじみMichael O’Hanlon研究員との対談形式で、目覚ましい速度で軍備増強を続けている中国の状況や米軍に必要な施策について語りました

退役直前の同大将は、7月末にエコノミスト誌がスクープとして商用衛星画像を基に報じた中国のICBMサイロ増強について、米戦略軍司令官当時(2016-19年)から把握していたが機密扱いで公言できなかったと暴露したり、、中国軍増強速度が一番の脅威で、米国の官僚的でリスクから目を避ける態度を改めなければ、あっという間に優位性は失われると警告しています

China ICBM silo.jpgまた、JADC2推進により、全軍種が攻撃力を必要時に集中できる態勢を整えるとともに、戦力を集中させることなく分散運用の方向を追求する重要性や、米軍作戦が大きく依存している宇宙アセットの脆弱性克服が10年前から指摘しているのに進捗していない点などを指摘していま

退役直前の講演で、様々な思いが交錯し、話が浅く広くになっていますが、これまで別々にお伝えしてきた話題を概観する機会でもありますのでご紹介しておきま

13日付米空軍協会web記事によればHyten副議長は
Hyten2.jpg最近商用衛星画像の報道で公になった中国が進めている前例のない規模の核戦力近代化とICBMサイロ建設を、私は米戦略軍司令官当時から把握していたが、極秘扱いであった。(同大将は極秘扱いの理由には言及しなかったが、情報収集手段や情報源との関係があると推測する)
Brown空軍参謀総長が述べているように、この事実は、米軍が求めているGBSD(次期ICBM)、B-21爆撃機、LRSO(Long-Range Stand Off missile)計画の必要性を証明してくれるものだ

中国は大量のICBMサイロを急造成しており、おまけに中国は米露の様に戦略兵器制限条約で縛られず核弾頭保有数は自由である。各ICBMが10個の弾頭持つ多弾頭型だとしたら、米露の上限である1550発など瞬く間に超えてしまうだろう
米軍が要望している次期ICBMのGBSD計画が極めて順調に進んだとしても、400個のサイロ建設には約10年を要し、ICBMを格納して運用可能体制になるには更に5年は必要で、早くても2035年頃にならざるを得ない。しかし中国はそれを瞬く間に完成してしまう勢いがある。それが一番の脅威である

China ICBM silo3.jpg中国は「核兵器の先制使用をしない」との方針を公言しているが、それなら、なぜそれほど大量の核戦力を急速に増強する必要があるのか・・・と問いたい
米国は2018年に国家防衛戦略を定め、対中国の戦略を固めた。しかし同戦略遂行への歩みは信じがたいほど遅く、官僚制とリスクから目を背ける姿勢に阻まれている

米国と中国は、暗黙のうちに全面軍事衝突を避けるように意識して行動していると(米側は)想定しているが、互いに十分に意思疎通を行っていないのが現実だ
非公開の「Joint Warfighting Concept」で想定されている中国の強みや弱点に言及することはできないが、我々が目指すべきところは、全軍種の全ドメイン打撃力を融合して集中させることであり、同時に生存性を高めるため戦力を分散して配置し、敵の攻撃目標を分散しつつも、米軍が一体となって作戦出来る体制を構築することである

JADC2は上記のような作戦指揮統制の中核をなすもので、防御と攻撃の両方にとって非常に重要だ
China ICBM silo2.jpg私が最も不満なのは、全米軍が通信や航法や敵探知で大きく依存している宇宙アセットの強靭性を高める取り組みが、10年前から訴えているのに遅々として進まないことである。10年前と同じ課題に今も向き合っているのが現実である

ただ、宇宙において我々が蓄えた優位性は、今後5-10年間は維持できるだろう。しかし中国の急速な戦力増強を見るに、そう長く維持できない点を肝の銘じておくべきだ。私が戦略軍司令官当時のシミュレーションでは、我が宇宙アセットが生き残るある程度の確信が得られたが、今やそんな状況にはない
米国の優位を維持するには、毎年3-5%の予算純増が必要だが、仮に旧式装備の早期退役を認められれば、前述の予算純増が毎年確保できなくても相当な対応が可能となるはず
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習近平は単純に、自国民だけでなく、世界中を核兵器の力でねじ伏せられる・・・と考えているのでしょう

習近平 愛される国.jpg退役直前の将官クラスは、後に残る現役兵士に配慮はしつつも、自分の思いを語ろうとする傾向があり、色々な話が聞けて興味深いケースが多いです

Hyten大将は、最終ポストである副議長になる直前、セクハラ疑惑で退役寸前まで追い込まれた苦い過去を経て今日を迎えている方ですが、人種問題が米国社会でクローズアップされてなければ、有力な空軍トップや宇宙軍トップ候補でした。お疲れさまでした

米空軍トップが中国ICBMサイロ増設を語る
「National Press Clubで国民に訴える」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-08-1

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「売国奴グーグル幹部に直談判する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-23
「F-35調達機数に確信はない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-27-1

約10年前、米軍NO2が記者団に語りました。「(米空軍の)誰一人として、私に爆撃機が有人機である必要性を教えてくれない」、「核兵器搭載任務に有人型が必要だと言うなら、ICBMやSLBMに有人型があるのか?」→今も誰も答えていません・・・
「爆撃機が有人である必要があるか?」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2011-07-16-1

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