米海兵隊改編の柱MLRの最初の部隊を日本に

3月23日発表の新構想について少し語る

Berger.jpg1日、米海兵隊のDavid Berger司令官が記者団に、3月23日発表の2030年の海兵隊像を描いた15ページの構想「Force Design 2030」について語り、構想の柱の一つである米海軍と連携して制海や海洋阻止任務を行う新部隊「MLR:Marine littoral regiment」3つに関し、最初の部隊を日本に配備すると語りました

3月23日に米海兵隊が発表した「Force Design 2030」構想の概要は以下の記事でご紹介しましたが
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

対中国を強く意識した2030年の海兵隊の姿を描き、戦車部隊の廃止、歩兵部隊や回転翼部隊の削減、総兵数の削減、ロケット部隊や対艦部隊や無人システムの増加や電子戦の強化などを柱に、小規模だが軽快な部隊に再編し、海軍と連携し制海に力点を置く方向性を追及するものとなっています

上記記事の中では「MLR」について、以下のように説明
MLR.jpg米海兵隊は新たに、3つの「MLR」を編成し、海洋阻止や制海任務を遂行できるような装備を保有させ、「太平洋地域に配備する」
●「Marine expeditionary unit」は、海軍艦艇で機動展開し、上記3つの「MLR」を増強する形で支援する
まだまだ「MLR」の細部については固まっていないようですが、今後更にウォーゲーム等を繰り返して編成を固め、段階的に部隊装備や機能を充実させる「phased approach」を執ると語ったようです。

以下では、1日の記者会見で同司令官が日本に最初に配備する語った「MLR」関連部分をご紹介します

2日付Military.com記事によれば
MLR2.jpg米海兵隊が新たに3部隊編成する予定の「MLR:Marine littoral regiment」は、最新兵器が飛び交い・強固に防御され・激しい戦いが予期される「contested maritime spaces」を想定して設計される
米海兵隊は2020年中に、MLR部隊編成計画の細部を練るが、3つ編成する予定のMLRの最初の部隊は日本に配備する

我々はこれにまでに実施したウォーゲームやモデル分析の結果等から、有事にはMLRが「III Marine Expeditionary Force」の援軍を得て作戦する考え方が良いと確信している
3月23日発表の構想では、MLRは従来海兵隊が行ってきた任務からはなれ、海洋阻止や制海任務(sea denial and control)を遂行するよう編成・装備・訓練が行われることとなっている
MLRの具体的編成を考えるための実験演習を昨年行い、例えば、「Multiple Launch Rocket System」を備えた部隊が、どのように敵目標情報を入手し、また攻撃後に敵から反撃されないよう、どのように再機動(displace)するか等を検討しているところである

MLRS2.jpg我々はこれからもこのような試みを続け、MLRがどのような編成でどのような装備を保有すべきか最善の道を見つけていく
ただし、機動展開を機敏に行うことがMLRの大前提なので、大規模で重たい部隊を編成することは出来ない。引き続き様々な実験や検証を行っている段階なので、何時、どのような編成でMLRを立ち上げるか等の細部には言及できないが、段階的な部隊整備方式(phased approach)で行いたい考えている

●いずれにしても、この構想における戦いのパートナーとなる米海軍と考え方をしっかりと共有できるように、ウォーゲームや実験演習や議論を通じて構想を固めていく
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米海軍は、空母ルーズベルトで集団発生しているコロナ感染に関し、窮状を米海軍多方面に指揮系統を超えてレターで訴えた艦長を24時間以内に更迭し、様々な波紋を巻き起こしています。
そして、艦長更迭から1週間後の7日に、海軍長官も辞任(事実上の更迭)し、今度は艦長の復帰まで案として浮上している混乱振りです
「空母艦長を更迭し批判した海軍長官も辞任」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-27

海軍艦艇や潜水艦の構造上、艦船の広がりを避けることは難しく、当面、米海軍に新たな取り組みは難しそうですが、屈強な海兵隊の変革の動きは勢いを増しそうです

最初のMLRは沖縄に配備されるのでしょうか? それはそれで、厳しい地元調整が求められるのでしょう

「Force Design 2030」の現物(15ページ)
https://www.hqmc.marines.mil/Portals/142/Docs/CMC38%20Force%20Design%202030%20Report%20Phase%20I%20and%20II.pdf?ver=2020-03-26-121328-460

米海兵隊の変革関連
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
太平洋地域で地上部隊に期待
「南シナ海で航行の自由作戦活発化?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-06
「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-13
「射程1000㎞の砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「再びハリス司令官が陸軍に要請」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
「ハリス大将も南シナ海で期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「RIMPACで日米陸軍が訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21

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