C-17搭載レーザー兵器を2023年までに

Laser HEL.jpg22日付Defense-Techが、退任が決まったMica Endsley米空軍首席科学開発官へのインタビュー記事を掲載し、2023年までに航空機搭載レーザー兵器をC-17輸送機クラスで実現し、その後戦闘機クラス用に小形化を図っていく計画を明らかにしました
今年後半から地上での試験を開始し、2021年には最初の空中発射試験を計画しているようです。
レーザー兵器(エネルギー兵器)は、シンクタンクや米軍高官からも「game changing」な将来装備として期待する声が大きい装備ですが、具体的計画が初めて明らかになりました
それにしても、後任者が発表になってから、Endsley米空軍科学開発官は盛んに対外発信を行っています。先日は「無人機操縦装置が人間工学を無視した仕様になっており、操縦者のストレスと事故率を高める要因となっている」と語っていましたが、今後も率直な発言に期待いたしましょう
22日付Defense-Tech記事によれば
Mica Endsley.jpg●Endsley首席科学開発官(Chief Scientist)はMilitary.comとのインタビューで、エネルギー兵器開発の一環である航空機搭載HEL(High Energy Laser)の最初の試験を、米空軍のエネルギー兵器局が今年後半に行う予定だと語った
●米空軍報道官は、ホワイトサンズ試験場で同試験が行われると説明してくれている
●Endsley女史は、米空軍がC-17の様な大型の航空機で航空機搭載レーザーを運用開始し、小形化等の技術成熟を待って、F-15、F-16、F-35等の戦闘機クラスへの搭載を進める計画で、「2023年までに(C-17クラスで)運用可能態勢する計画を進めている」と語った
●空軍報道官は、亜音速、遷音速、超音速の多様なプラットフォームからのレーザー兵器の発射にも関心を持っているとの表現で計画を語っている
Laser 4.jpg●米空軍幹部は、エネルギー兵器が多様な分野、つまり、空対空戦闘、CAS、無人機対処、小型船舶対処、地上攻撃、ミサイル防衛等の分野で活用可能だと考えている
●また首席科学官は、現在の開発がレーザー主力の増加、照準や誘導の正確性向上に向けられており、「10キロワット級からから100キロワット級に」、「集積回路を活用し、レーザーを目標に照射継続できる技術の成熟」等に取り組んでいると語った
●Endsley女史は、現在の航空機搭載ミサイルが8発程度であるのに対し、レーザーは1ガロンの航空燃料エネルギーを用いて数千発の発射が可能だと語り、これがレーザー兵器の大きな利点だと強調した
●米空軍報道官は、最初の航空機搭載試験は2021年までに実施されると語った
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Laser 2.jpg記事は、Endsley女史へのインタビューを中心に、複数の関係者への取材も活用して構成されています。
ただ、複数の取材源の発言相互に矛盾はなく、米空軍が組織として力を入れて航空機搭載レーザー兵器に取り組んでいる様子が伺えます
2009年、当時のゲーツ国防長官は、B-747ジャンボジェット機の先端に弾道ミサイル迎撃用のレーザー兵器を搭載するプロジェクトを、「深刻な技術的問題と経費妥当性問題を抱えている。更にあんな大型機が敵のミサイル発射場所周辺で飛行するという、あり得ない前提で開発が進んでいる」と痛烈に批判して中止させました
その当時の反省が実を結び、現在に至っていると記事は紹介しています
細かな技術的課題を把握していませんが、日本でも検討してほいです
レーザー関連の記事
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