23日公表された2018年度米国予算案で、米海軍が2020年度契約を目指して新型フリゲート艦の設計費を要求していることが明らかになりました。
米海軍は数年前から、沿岸戦闘艦LCS(littoral combat ship)を調達開始していますが、多様な脅威への対応を念頭に、沿岸地域で小回りくような比較的小規模な艦艇で、装備をモジュラー化して多様な機能を組み合わせ可能な艦艇を目指して開発をスタートしたものの、開発の遅れと経費過剰で批判を浴びています
加えて、中国やロシア等の軍事力強化により、小型で比較的軽武装のLCSが果たして西太平洋などで任務を果たせるのか、根本的な疑問が議会等から上がっているところです。
更に、2企業による機種選定の末、異例の「両方採用」のきな臭さもアリ、2018年度予算案では僅か1隻のみが予算要求されている寂しい状況です
今回明らかになった「新型フリゲート」は、その沿岸戦闘艦を基礎として検討するそうで、ネットワークだとか、任務を分散して遂行だとか、航空機でも見られる「family of system」の中のnode」のようなイメージのような気もしますが、どのようなにLCSに手を加えてくるのかはまた別の機会にお勉強です
26日付Defense-Tech記事によれば
●23日に公表された2018年度予算要求文書の中で米海軍は、「将来の脅威に追随するため、多用途フリゲートに必要な能力検討を要望する」とし、「特に水上戦闘、局地的な航空戦、更に対潜水艦戦における破壊力と生存性の最大化を優先する」と記述している
●24日、海軍長官代行を務めているSean Stackley氏は上院軍事委員会で予算案について説明し、変わりゆく世界情勢を受け、2014年当時の計画を見直し、2020年に新型フリゲート艦を契約できるように設計検討を進めると証言している
●同長官代理は、「安保環境や予算環境が変化し、軍需産業基盤も変わった」、「これら変化を受け、フリゲート艦の多機能性を向上する要求性能を精査し、2020年の契約につなげたい。沿岸戦闘艦は軍需産業基盤を維持するため、継続製造する」と説明した
●また同次官は、2018年度予算案でLCSを1隻しか要望していないが、昨年3隻要望したLCSで艦艇建造ドックは継続稼働しており、新プリゲート建造と併せ、造船所が「絶え間なく稼働:heel to toe」して健全さを保てるように希望するとも語った
●米海軍トップのRichardson大将も、「我々の運用法は変化しつつある。ネットワークの視点で言えば、このフリゲート艦は大きな艦隊の一部となり、分散型海上作戦の遂行に寄与する」と述べ、「この変化に適応するため、我々は設計段階に立ち返り、将来必要な艦艇を獲得する機会を確実にしなければならない」と述べている
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お金が無い中、現在の目標310隻体制から355隻体制に目標を引き上げたい米海軍は、既存技術を活用して価格上昇リスクを抑え、能力向上が容易な中規模の艦を目指すのでしょうか?
ネットワーク重視は、NIFC-CAに代表される構想の駒にはまりやすいタイプとのイメージでしょうか?
いずれにしても、沿岸戦闘艦LCSをベースに・・・と言う時点でイメージ最悪からのスタートのような感じですが、今後に期待致しましょう
米海軍の夢ぶち上げ
「米海軍トップが文書「将来の海軍」を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-18
「国防長官を無視:米海軍が艦艇増強プラン」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17
米海軍の装備もグダグダですが・・・
「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-22
「沿岸戦闘艦LCSがF-35化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-09
「空母建造費の削減検討に30億円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-07
「次期SSBN基礎技術要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27
「攻撃潜水艦SSNの将来」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-28
「あと25年SLBMを延命!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13