英伊国防相が2国協議後の共同記者会見で
3月の3か国戦闘機共同開発GCAP協議を前に釘差し
In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ
開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな・・・とも
F-1レースでは英伊日は完璧なチーム力発揮実績ありと
2月9日、ローマを訪問したBen Wallace英国防相がGuido Crosetto伊国防相と会談後に共同会見し、昨年12月に英伊日3か国で合意した次世代戦闘機共同開発(GCAP: Global Combat Air Programme)に関し3月に日本で予定の3か国協議を前に、途中で計画から逃げ出すことは破滅的結果をもたらすことになり許されないと強調し、日本に釘を刺しました
日本での3月の協議に臨む前に英国とイタリア国防相が事前に話し合い、その会見後に第3の相手(日本)に「In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ」「開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな」「政治的にも、協力体制の重要性から、誰かが抜けることはできない」等々と、改めて本合意への決意を示せと迫るような恫喝的な言いぶりに、まんぐーすは「背筋の凍る」思いがいたしました
まぁ・・これまで米国製兵器一辺倒だった日本が、いろんな意味で大きな戦闘機プロジェクトを欧州諸国と組んで進めると言うのですから、英国やイタリアが不安を持つのも致し方ないと思います。以下では共同会見で率直に語った両国国防省の発言をご紹介いたします
Ben Wallace英国防相は・・・
●政治的にも、誰かが脱落することができない重要な共同開発だ。3か国は皆、10年後には新型戦闘機を必要としており、皆が誰も脱落しない「no dropping out」が求められる
●(脱落すれば、)我々は永久に我々自身で我々の将来の能力を否定することになる。途中で誰かがおじけづき、脱落するようなことになれば、外交政策的にも、戦略的にも、産業政策上も、極めて3か国にとって悪い状況に至る
●日本は車や鉄道車両を輸出してきたが、憲法や政治的な制約から国防装備品の輸出は無かった。伊と英はトーネードやタイフーン戦闘機を輸出してきたが、今後は財政的にも成り立つように大きなグループで取り組む必要がある。この点で日本とともに取り組めることに興奮している
●この3か国の協力は、F-1レースで既に最大の貢献をしている実績から驚くにはあたらない。最新技術分野で、我々3か国は新参者ではないのだ
●政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である。(3月に日本で3か国協議を行うことに関し、)最も重要なことは、この3者(政軍民)が共に次のステージに進むことであり、あらゆる機会をとらえて3者が一堂に会して協議することである。一堂に会して議論することこそが、今後立ちはだかる課題や官僚的問題を断ち切る唯一の方法である
Guido Crosetto伊国防相は・・・
●この3か国共同開発は、世界が変化していることを示すものである。日本が変われば、それは世界が変化しているということだ
●この共同開発を通じて日本と国防協力同盟を形成することは、イタリアにとって将来に備えた堅実な判断である。我々の脅威はロシアでなく中国であり、共通の脅威に対峙する国との関係を深化することはますます重要になってきている
●日本は新型戦闘機を最も緊急に欲している国である。初号機を2035年までに完成させる必要があるが、私はこの期限に間に合わせることが可能だと確信している
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読めば読むほど・・・この戦闘機プロジェクトが、ただならぬ意味合いを持っていることがわかります。日本の地理的な位置取りを考える時、戦闘機にこんなに資金や人材や労力をかける必要があるのか・・・と繰り返し言い続けてきましたが、改めて問いたいです。「本当に戦闘機がそんなに大切なの? 日本の有事に役立つの?」
Wallace英国防相は「政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である」と強調していますが、安倍総理亡き後、これが可能なんでしょうか?
それからもう一つ、欧州での戦闘機開発は、英スウェーデン伊グループと、独仏スペインの2グループが競っていますが、その行く末と英伊日の共同開発はどう絡んでいくのでしょうか? 英と伊だって大丈夫か?・・と聞いてみたいです
英や伊の関連話題
「伊空軍トップ来日で協議」→https://holylandtokyo.com/2022/09/27/3699/
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欧州の戦闘機開発バトル
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2