イラン攻撃でカタールの米軍航空作戦センターは使用不能に

これまで被害は非公表で、本記事がスクープ報道
複数のイランからのミサイル攻撃で機能停止に
同CAOC被害を予期し、当初から米本土の作戦センターで指揮活動実施
20年以上中東での航空作戦指揮所だったCAOCが
前線指揮所の脆弱性から再建の是非が今後議論に

6月5日付米空軍協会web記事は米軍高官等から得た独占スクープとして、20年以上に渡り中東での米軍と同盟国による航空作戦指揮所だったカタールAl Udeid空軍基地内のCAOC(Combined Air Operations Center:航空作戦センター)が、2月28日から開始の「Epic Fury作戦」序盤に、イランのミサイル攻撃で機能停止の損害を受け、今後も敵の攻撃対象となる可能性が高い同施設を修復すべきか未定だと報じました。

同作戦計画段階から、カタールCAOCが敵攻撃の被害を受ける可能性が高いと予想した米空軍は、米国内の南カロライナ州Shaw空軍基地内のもう一つの施設に同作戦用の航空作戦センターを開設し、通常は様々な役割を持つ約1万名の米軍や同盟国関係者が勤務するカタールAl Udeid空軍基地でも、米陸軍のPAC-3防空ミサイル運用要員のみが残留する状態だったことから、幸い、イラン攻撃による同基地内での負傷者はなかったとのことです。

1990年8月のサダム・フセイン率いるイラク軍のクウェート侵略直後に、最初はサウジ国内のリヤドの駐車場にテントづくりで開設され、後に同国Prince Sultan空軍基地内に移動したCAOCですが、本格的な施設が2001年にカタールに建設され、2003年から正式にAl Udeid空軍基地内でCAOCとして機能を開始して以降、

20年以上に渡り、湾岸戦争や911世界同時多発テロ以降のシリアからイラクやアフガン、更に最近ではイエメンのフーシ派への航空作戦をコントロールし、2025年6月のイラン核施設への巨大貫通弾投下Midnight Hammer作戦でもCAOC機能を担った作戦指揮所でした。

ただ米軍内でも、各種ミサイルやドローン兵器の拡散を受け、カタールCAOCの有事脆弱性は強く意識されており、2020年頃からはCAOC機能を段階的に南カロライナ州Shaw基地内施設に分散させる取り組みが始まり、2024年時点では、カタールと南カロライナ州の両CAOCに勤務する米軍要員は約半分づつの300~400人が当時各拠点に配属され、それに伴い、同盟国軍の連絡幹部もShaw基地内で勤務を開始し、どちらのCAOCでも全任務が遂行可能な体制づくりが準備されていたとのことです。

今後のカタールCAOC等について同記事は・・・
●カタールと南カロライナの両CAOCで最近まで勤務していた退役軍人は、「Epic Fury作戦で想定外は何もなかった。我々は今回のような事態を想定して議論し、ウォーゲームし、訓練を積んできた」と取材に対し答えている。
●ミッチェル研究所研究トップで、湾岸戦争時にサウジのCAOCで指導的役割を果たしたDavid Deptula氏は、「今日、地上施設はどれも脆弱で、将来の重要拠点は堅牢に地下に設けるべきである」、「また、以前は指揮通信技術の関係から、機能一極集中型の脆弱性を無視できない指揮所を利用せざるを得なかったが、今では最新技術を利用し、前線指揮所は施設を分散配置し、敵攻撃に強いネットワーク化された運用を追求する必要がある」と語っている

●約25年と数千億円を投入された米カタール共同基地であるAl Udeid空軍基地は、1万人を超える軍人居住区など多数の恒久的な施設を備え、米中央軍(CENTCOM)と中央空軍(AFCENT)の前線司令部となっており、イラン紛争以前は、中東での米国最大の基地だった。
●しかし4月に上院歳出委員会で証言した米国防省の財務担当責任者は、これらカタールAl Udeid基地施設に関し、「米軍の将来態勢がどうなるかは分からないし、基地がどのように再建されるのかも分からない」と証言するに留まっている。
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2025年6月のイラン核施設へのMidnight Hammer作戦では、14発のイランミサイル攻撃を受け、レーダードーム1個のみが被害を受けたAl Udeid基地でしたが、さすがにイランの宗教指導者までを目標にした「Epic Fury作戦」では、相当の被害を予期して備えてきたのでしょう。負傷者が出ず、何よりだったと思います。

しかし、しみじみ思います。これだけ現代戦様相を予想して準備している米軍は、対中国との戦いにおける在日米軍基地や自衛隊基地の被害をどのように見積もり、第一列島線に位置する日本や自衛隊にどのような期待をしているのでしょうか? 日本の戦闘機に期待などしているのでしょうか? これまでも様々なWar-Game結果や分析結果をご紹介してきましたが、謎は深まるばかりです・・・

最近のCAOCの活躍
「イスラエル向けイラン攻撃迎撃作戦」→https://holylandtokyo.com/2024/04/16/5812/
「対フーシ派でWW2以来の長期激戦」→https://holylandtokyo.com/2024/07/24/6044/

対中国War-Gameや分析研究など
「Stimson滑走路には期待できず」→https://holylandtokyo.com/2025/01/06/10547/
「CSISの台湾有事Wargame結果」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/
「CSISの台湾海上封鎖想定Game」→https://holylandtokyo.com/2025/08/18/12467/
「RAND中国軍能力への懐疑論」→https://holylandtokyo.com/2025/02/05/10745/
「CSBA提言の台湾新軍事戦略」→https://holylandtokyo.com/2020/11/08/381/
「Air-Sea Battle Conceptを復習」→https://holylandtokyo.com/2013/01/02/8924/

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