繰り返されるスローガン「fight tonight:今夜にも戦える」が理想も
「米本土からの距離」と「必要な戦力や物資の蓄積現状」からすると
太平洋軍、在韓米軍、陸軍兵站軍、海兵隊地域幹部、同盟国軍幹部が婉曲的に
5月24日付DefenseOne記事が、同月11日と13日にハワイで開催されたアジア太平洋地域での大規模紛争に備えた諸課題を議論する「アリゾナ州立大学Indo-Pacific Security Forum」と「米陸軍協会Land Forces Pacific conference」における、「米本土からの残酷な距離(7000マイル):the tyranny of distance」や「物資の事前集積」や「輸送能力」問題に関する、
米太平洋軍、在韓米軍、米陸軍兵站軍、米海兵隊地域幹部、同盟国軍幹部等の発言を取り上げ、その克服への取り組みが現在進行形であることを通じ、繰り返されるスローガン「fight tonight:今夜にも戦える」態勢にあるべき米軍や西側諸国軍の現実の難しさを、「婉曲的」に表現しています。
発言している幹部は皆、普段から「fight tonight:今夜にも戦える」態勢を維持していると「言わざるを得ない」立場にある軍人であり、「十分な態勢にはない」とは口が裂けても言えない面々ですが、
「(地域の大部分が海に覆われており、)陸上には利用可能な物流拠点がないも同然」、「補給線が5000マイルもの長さになれば、我々は勝利できない」、「45日間自軍を維持可能な能力を目標に掲げているが、・・・装備と部隊投入に45日間余裕があると考えることは、自分たちを欺いていることになる」等々の表現を用い、中国に対峙している西太平洋の米軍&西側部隊が極めて困難な現状に置かれていることを強く示唆しています
24日付DefenseOne記事によれば各指揮官や主要幕僚は
●米太平洋軍兵站部長→アジア太平洋戦域において、適切な物資を適切な場所に適切なタイミングで配備することは、数学的な問題のレベルである
●NZ陸軍兵站部長→米西海岸から、ハワイやグアムや第一列島線は、それぞれ3000、8000、9500マイル離れており、陸上には利用可能な物流拠点がないも同然の厳しい兵站環境。仮に開戦時に必要な物資が前線に存在していなければ、必要時間内に物資等を前線に届けるのは困難
●Brunson在韓米軍司令官→アジア太平洋で「残酷な距離」を克服できなければ、米国内に強固な基盤があっても意味がない。補給線が5000マイルのままでは勝利できない。
●Paparo太平洋軍司令官→(Brunson在韓米軍司令官の講演発言を受け、)米陸軍は統合軍全体の戦力維持の基礎を提供しており、前線維持に必要な支援規模やその難しさを本能的に理解している部隊であり、その視点や指摘は重い。
→我々は今、補給物資を事前集積し、太平洋地域全体に「物流ネットワーク」を構築することで、戦場整備に取り組んでいる
●米陸軍戦域維持コマンド司令官→米本土から7000マイルの距離克服のため、米陸軍はオーストラリアに相当規模の装備を事前配備している。また、必要物資や装備の確保だけでなく、故障装備の修理を、米本土に送り返すことなく、前線近傍の拠点で実施可能な態勢を確立したい。関連作業の契約を同盟国と拡充しており、韓国や日本やシンガポールでも可能な補修作業を増やしている
●Brunson在韓米軍司令官→かつては豪州まで修理のため艦艇を30日かけて移動したが、そんな余裕はもうない。今では韓国乾ドックで米艦3隻のオーバーホールが完了し、追加で2隻を行う予定。更に修理範囲の拡大にも取り組んでいる
●太平洋軍戦略計画部長→中国が世界の商業造船能力の5割を占める一方、米国は約0.1%に過ぎない。このギャップ克服のため、既存の企業パートナーと新興パートナーの両方を通じ、造船能力を加速増強が不可欠
●米太平洋海兵隊副司令官→海兵隊は第一列島線内で、45日間自軍を維持可能な能力を目標に掲げているが、・・・装備と部隊投入に45日間余裕があると考えることは、自分達自身に嘘をつくことになる。戦闘開始時に必要な部隊が前線に存在しないなら、支援部隊や物資無しで生き延びる作戦を立てるべきだろう
●豪州陸軍第1師団司令官→(海兵隊副司令官発言に同調し、)戦闘開始時点で前線に存在しない戦力が、戦闘中に補充されてくると考えるのは無理がある。私には戦域維持こそが最も重要な課題で、維持能力が不可欠だ
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DefenseOne記事のタイトルが「米軍は太平洋で“今夜にも戦闘態勢に入れる”と表明しているが、その戦闘を継続できるのだろうか?」であることから、私は記事のタイトルを「西太平洋の米軍&西側指揮官は今戦えるとは誰も・・・」と付けました。
私はご紹介した各指揮官や主要幕僚のイベントでの発言から、「米本土からの残酷なほどの距離:the tyranny of distance」克服は、「現実的に容易ではないのが現実」と感じましたが、皆様はいかがでしょうか?
アジア太平洋での兵站改善への取り組み
「大規模太平洋演習の教訓」→https://holylandtokyo.com/2025/10/15/12884/
「嘉手納で日米共同航空機整備」→https://holylandtokyo.com/2025/05/30/11002/
「Paparo司令官が議会で」→https://holylandtokyo.com/2024/02/14/5540/
「過去最大の兵站演習」→https://holylandtokyo.com/2023/04/14/4506/
「空輸演習が初海外で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/13/4852/
「ウの教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/


