夫のがん判明で突然退任予定の国家情報長官DNIの臨時後任に
(前DNIは3月に「中国は2027年までの台湾侵攻は計画していない」と公表)
臨時後任は連邦住宅金融庁長官と掛け持ちでCIA等の米国情報機関を束ねるDNIへ
情報機関経験ゼロで「トランプ大統領政敵への捜査責任者」との異名を持つ人物
既に情報機関職員の大幅リストラを敢行の大統領への批判続々
6月2日にトランプ大統領は後任に、「情報機関勤務経験ゼロ」で、現在は「連邦住宅金融庁長官FHFA:Federal Housing Finance Agency director」を務めているWilliam Pulte氏に現職務を続けさせながら、併任の形で「臨時DNI」にも任命すると発表しました。
トランプ政権が誕生後、過去1年間で米国の情報機関の大幅な人員リストラを進めて来た流れの中で、イランを始めとする世界各地で緊張が高まっている最中に、情報業務経験が全くない人物を、しかも畑違いの別の「長官職」と「掛け持ち」でやらせようとする今回の人事には、William Pulte氏のこれまでの「大統領べったりの仕事ぶり」もあり、情報関係者や野党から辛辣な非難の声が上がっていると、同日付DefenseOne記事が報じています。
6月2日付DefenseOne記事によれば
●intelligence関連職務の経験が皆無のPulte氏指名に関しトランプ大統領は、同氏がFHFA長官として2025年から、住宅ローン詐欺対策を先頭に立って指揮した仕事ぶりを踏まえ、「米国で最も機密性の高い問題を扱い、情報管理の豊富な経験を持っている」と人選の適切性をアピール
●ただFHFA長官として同氏が主導した住宅ローン詐欺対策では、FRBのLisa Cook理事やニューヨーク州司法長官のLetitia James氏など、「大統領の政敵」である人物への捜査を積極的に開始したことで知られており、民主党の複数の上下院議員が「独立した客観的判断を求められる安保専門家を選ぶ代わりに、当該人物の短い公職歴が、権限を政治的報復に利用する意思と熱意を兼ね備えた人物であることを証明している者を指名した」、
「国家安全保障に壊滅的な事態を招く恐れがある」と非難している
●また匿名の元米国情報機関高官は、「世界中で緊張が高まっている今、米国の18ものintelligence機関の調整責任を負う長官代行には、1日24時間でも不足するほどの業務があり、重要なFHFA長官を兼任可能とは到底思えない。この人事は、大統領が国家intelligenceトップのDNIに何を期待しているかを如実に物語っている。現政権はDNIの役職について知らないのか、あるいは気にも留めていないのか、あるいはその両方なのか、どちらかだろう」と辛辣に述べている
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6月末での辞職を表明している現在のDNI・Tulsi Gabbard氏も、軍歴は豊富(ハワイ州兵医療職
で中東派遣を含む20年以上の勤務歴で中佐)で、下院議員経験も長い(民主党所属で4期。2024年にトランプ支持で共和党入り)ながら、
軍で情報関連勤務歴は無く、議員としても情報委員会等での関連活動歴がほとんどない経歴で、かつ議員として「反戦」「対外軍事介入への慎重姿勢」を強く訴えてきた独立系の人物であることから、2025年2月のDNI就任時には賛否が入り乱れた経緯がありました
それでも2026年3月にDNIとして発表した年次レポート「世界の脅威:2026 ANNUAL THREAT ASSESSMENT」の中で、中国による台湾侵攻の可能性について、
●「現時点では中国指導部は2027年に台湾侵攻を実行する計画を持っておらず、統一の達成に向けた明確な時程表も設定していない」
●「中国は、必要なら統一のために武力行使も辞さないと警告しているほか、米国が台湾を利用して中国の台頭を阻もうとしていると見ているが、可能な限り武力を用いずに統一を実現したいと考えている」
●中国軍の関連能力については、「着実だが不均一な前進を遂げている」と表現
以上の2026年版のDNIレポート表現は、米国防省が2025年末発表の分析報告書で「中国は2027年までに台湾侵攻を可能にする態勢構築を進めている」と表現した内容と真っ向から対立する分析であり、DNI・Tulsi Gabbard氏に注目が集まったところでした。
7月以降のWilliam Pulte氏の動向に注目したいと思います。
2026 ANNUAL THREAT ASSESSMENT(現物:34ページ)
→https://www.dni.gov/files/ODNI/documents/assessments/ATA-2026-Unclassified-Report.pdf
最近の中国軍関連の記事
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米国のCIAや通信傍受分析を担当するNSAや軍情報部門など、18の国家情報機関を統括する国の最高諜報機関の長であるDNI(国家情報長官:director of national intelligence)であるTulsi Gabbard氏が、夫のがん罹患が判明したことを受け6月末での辞任を発表したことを受け、