従来計画では両機とも2030年代初頭に退役予定も
2027年度予算案に両爆撃機に今後5年で2600億円投資計画が
昨年からの対イラン作戦での活躍と需要を再評価
国防予算全体の大幅増で以前からの空軍要望が実現
これまでB-1爆撃機(44機保有)とB-2爆撃機(19機保有)は、2020年代後半に配備開始予定で、開発中のB-21次期爆撃機の部隊導入が本格化するタイミングの2030年代初頭の完全退役が予期されていたましたが、専門家の解説によると、昨年からの対イラン作戦状況から明らかなように、大型爆撃機に対する需要は平時抑止から実作戦に至るまで増すばかりで、
米空軍は従来から、B-21導入が軌道に乗る2030年代初頭まで、更にB-52爆撃機のエンジン換装や操縦席近代化改修(2026年から2036年に76機の改修予定)が完了するまでB-1やB-2維持を希望していましたが、予算枠の関係から両機種の維持整備費の捻出が困難で継続保有を断念していたところ、27年度予算案でのトランプ政権の国防費増額を受け、実現する方向に向かったとのことです。
【44機保有のB-1爆撃機に関しては】
・核兵器搭載能力は途中で除去されたが、多様な通常兵器の搭載能力において、米空軍保有の他航空アセットの中で最も優れ、しかも低高度を超音速で侵攻可能な能力を有する稀有な機体
・2027年度予算案には、2027年から2031年にかけ、B-1近代化に約500億円を支出する計画が詳述されている
【19機保有のB-2爆撃機に関しては】
・現在唯一のステルス大型爆撃機で、イラン核施設を攻撃した2025年6月の「Midnight Hammer作戦」で、7機のB-2が、同機のみが搭載可能な3万ポンド(約13.6トン)大型貫通爆弾投下に成功し、その独自能力が改めて国家指導者に明示されたところ。
・2027年度予算案には、今後5年間で新たに約2100億円を投資する計画が示されているが、B-1と異なり、B-2退役時期を示唆する表現がない
・B-2運用部隊は「B-2は今後も国家にとって重要な長距離攻撃手段であり、安保上のニーズがある限り、(予算文書に退役予定時期は示されなかったが、)B-1と同様に今後も長く維持されるだろう」
・また同部隊は、「B-21部隊は2027年最初にサウスダコタ州Ellsworth空軍基地に配備予定で、2番目にミズーリ州Whiteman空軍基地配備となるが、Whiteman基地で求められるB-2維持とB-21導入の並行実施に向け、万全の態勢で臨む」とコメント。
ミッチェル研究所のMark Gunzinger部長(元B-52操縦者で退役大佐)
●空軍爆撃機への需要が急増する中、長距離侵攻&攻撃能力不足は米国軍事力の最も深刻な欠点の1つであり、特に運用可能な唯一のステルス爆撃機で核兵器搭載可能なB-2を早期退役させる従来の計画は、完全に予算と搭乗員など資源制約に起因するものだった。
●B-1とB-2を維持し、当初想定より多くのB-21を製造することで、B-1とB-2退役時期のリスクを軽減可能となる。また、B-52改修が完了することで新たな爆撃機体制が確保され、次に積年の課題であった整備拠点能力の改善、予備部品や人材確保といった維持管理面への投資加速が可能になるだろう。
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「戦闘機と爆撃機への投資ばかりが優先されている」と「まんぐーす」は米空軍の姿勢を批判的にお伝えしてきたわけですが、その「戦闘機と爆撃機」の2つを比べれば、圧倒的に「戦闘機」が優遇されており、他事業に比してマシな扱いの「爆撃機」でも、上記のような扱いが続いていたわけです。
2027年度の米国の国防予算案額は、前年比44%増との「突出」した形となっており、求心力が急速に低下し、共和党内部からの離反者が相次ぐトランプ政権が、秋に中間選挙を控える中、本当にこの予算案で突き進めるのか「?」な部分もあるのですが、生暖かく見守りたいと思います。
米空軍の爆撃機体制
「B-21導入で爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
「B-1早期引退でB-21推進?」→https://holylandtokyo.com/2019/10/09/6622/
「B-1とB-2早期引退変化なし」→https://holylandtokyo.com/2019/03/01/6772/
「2018年春の爆撃機構想」→https://holylandtokyo.com/2018/02/20/7070/
2060年代まで:100歳越え目指すB-52爆撃機関連
「核搭載で墜落事案3件」→https://holylandtokyo.com/2025/03/18/10707/
「2060年代まで現役に向け」→https://holylandtokyo.com/2024/02/27/5575/
「B-52への熱い取り組み」→https://holylandtokyo.com/2023/10/19/5134/
「重力投下核爆弾の任務除外」→https://holylandtokyo.com/2020/01/29/877/


4月24日付米空軍協会web記事が、米空軍が提出した2027年度予算案に、従来は共に2030年代初頭で完全退役が予定されていたB-1とB-2爆撃機に、今後5年間で約2600億円の近代化改修予算が新たに盛り込まれ、B-1爆撃機は「2037年までの有効性確保のため」と予算案文書に明記され、B-2は退役時期が明示されない形になっていると報じています。