米空軍が100機目のKC-46A 空中給油機を受領

「KC-X」として 188機、更に製造延長で+75機を追加予定
現時点では Allvin 前参謀総長時代の計263機導入を計画維持か
次世代給油機NGASは五里霧中「有るかもしれないし無いかも」

未だに最高度の「Category 1」不具合を複数抱え、初号機受領から7年経過後も改善対策を実施中のKC-46A 空中給油機ですが、12月2日に米空軍が100機目の機体をボーイング社から受領し、米空軍輸送コマンド司令官である Lamontagne 空車大将自らが操縦して加州 Travis空軍基地へ空輸し、現地で記念式典が行われました。

着陸後 Lamontagne 司令官は基地の式典で、「KC-46は、航空輸送の新時代を象徴する機体であり、部隊の革新精神と任務へのコミットメントに支えられ運用されている。この機体を飛ばし、修理し、そして支援する兵士の皆は、この誇りある伝統を未来へと引き継ぐ戦士だ」と、機体と部隊をたたえています

ただ冒頭でご紹介したように、KC-46の現状は決して褒められたものではなく、米空軍は当初計画より2年遅れの2019年1月に初号機を受領し、その後約7年かけて 100機を受領したことになりますが、給油操作員が相手機をカメラ映像で確認する RVS (Remote Vision System)の不鮮明さや、KC-46と相手機をつなぐ給油ブームの固着問題(特にA-10や小型作戦機対象の場合)等が未だに解決されず、

例えば、何度も延期されているRVS 改修版2.0導入が、2025年10月から2026年に再々再度延期(2024年4月発表)されて以降も、「全く明るい知らせが音沙汰無し」状態が継続している、「ボーイングでたらめ事業」の典型となっています。

それでもKC-135 の老朽化で、KC-46を活用しなければ米空軍や米軍全体の航空作戦活動に大きな支障が出るとの危機感から、時の空軍輸送コマンド司令官が、リスク覚悟で「運用制限付きの作戦投入開始宣言」を2022年9月に行い、2024年 12月には中東への実戦展開が急遽決定するなど「なし崩し的な活用」に突入し、

イラン核施設を攻撃した6月の「Midnight Hammer 作戦」でB-2爆撃機に給油するなど「ちゃっかり」実績も重ねている現状で、運用制限の影響を外部に漏らさない鉄壁のガードもあり、今では米本土6基地に配備され、今後追加で 3 基地にも新規配備が予定されている「奇妙な機体」となっています。

話は変りますが、米空軍の将来給油機構想もコロコロ変化しています。

●2022年春時点では・・・
・まず「KC-X」として KC-46を179機2027年までに導入し、老朽KC-135の後継に
・次の「KC-Y」は戦闘空域での使用を想定せず、米国内訓練や海外への機動展開支援を担う給油機として約160機導入。KC-46製造修了の2027年頃から、本格ステルス給油機「KC-Z」までの間を埋める「つなぎ給油機:bridge tanker」としての位置づけで導入

・「KC-Z」は将来作戦環境に備え、次期制空機NGAD とともに敵空域にエスコート侵攻可能なステルス性を備え、無人機追求可能性もあり、従来給油機より大型の新型給油機を想定。国防省 DIUと協力し、将来輸送機も含め、BWB(blended wing body)形状機体導入を検討

●ところが 2025年7月にAIlvin前空軍参謀総長は・・・
(同年2月に巨額資金が必要な次期戦闘機F-47 開発が決定後・・・)
・KC-46Aの 188 機契約が終了後、「タンカー製造延長計画:Tanker Production Extension program」の下で、更にKC-46を追加で 2030年代にかけ75機調達し、263機体制を予期する
・KC-Z (NGAS)は、複数のシステムから成るファミリーであり、新発給油機になるかもしれないし、そうでないかもしれない。2026年度のNGAS 予算の一部は、現有給油機の生存性向上研究にも充当される
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何をご紹介しているのか良く分からない記事となりましたが、無理に整理して「まんぐ一す」の思いを2点に絞ると、

・機体を受領開始して7年、(制限付きながら)作戦運用可能宣言をして3年、未だ「Category 1」不具合を複数抱える作戦機の、当初「要求性能」や「運用要求」は適切だったのか? Too Much な要求だったのではないか?

・対中国を重視する中にあって、飛びぬけた航続距離を誇るでもないF-47次期戦闘機に資金を投入し、圧倒的に不足する輸送機や空中給油機開発を「後回し」「二の次」扱いする米空軍は何を考えているのか?・・です。

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