サプライチェーン問題で2025年10月まで入手不能
ボーイングに不信感持つFAA承認も時間が必要で・・・
既に米空軍が62機以上を受領済ですが
10月7日、米空軍調達担当次官補とボーイングがそれぞれ別々に、KC-46A空中給油機の第1級不具合への対処策であるRVS2.0(Remote Vision System)導入に関し、サプライチェーンの問題で必要な部品入手が遅延することや、FAA等の承認プロセスの遅れ等から、2020年に米空軍と合意した2024年3月提供開始予定が、2025年10月まで約1年半遅れる見込みだと発表しました
KC-46はRVSなど複数の不具合を抱えつつも、今年9月16日に米空軍輸送コマンド司令官が、「我々が明日の戦いに敗北すれば10年後はない。私には今KC-46が必要なのだ」とリスク覚悟で運用制限付きの作戦投入開始宣言を行ったところですが、サプライチェーンの問題とは言え、引き続きボーイング社のグダグダは続くようです。ただし、固定価格契約ですが、追加の費用負担は同社に発生しない模様です
Andrew P. Hunter次官補は「引き続き、約1年半の追加遅延期間を短縮できないか、スケジュール精査や関係企業の状況をフォローして対処する」との姿勢を示していますが、連邦航空局FAAと米空軍による耐空証明認証プロセスも新装備の試験予定と関連するので見直しを迫られ、遅れの要因となるようです
初度導入されたRVSとRVS2.0との違いは、給油操作員用卓の再設計とディスプレー解像度4K化、可視光&赤外線カメラの改良、可視光カメラの重複配備、画像処理プロセッサー再設計、広角センサーの性能向上等だと米空軍は説明していますが、今回の遅延に関連する部品は情報処理部品や他のロングリード技術装備とのみ報道されています
Hunter次官補はまた、「米国の軍需産業基盤はサプライチェーン問題に直面しており、我々は極めて複雑な調達システムの計画に対する影響を継続的に見極めている」と声明文で述べ、軍需産業全般にコロナを起源とするサプライチェーンの問題が影響を与えていることを示唆しているようです
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「2025年10月」と言うのはRVS2.0が提供開始される時期であり、その後に機体への取り付けや改修が行われると認識しているのですが、改修完了が何時頃になるのか見通しが示されたことはありません。
まだまだ油断できないKC-46A空中給油機だと認識しておきましょう。この件でも同機の初号機を受領し、4機導入する予定の航空自衛隊の対応が気になるところです。
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