米本土国境周辺(GuamとCuba含む)の44か所設置のレーダー後継
1983年からFAA連邦航空局とデータ共有するJSSシステム用にFAAと連携し
「周波数ホッピング」や「デジタルビーム」や「無人機対処」が重点か
同記事は、米空軍が募集している「レーダーの要求性能を公開していない」と紹介していますが、ググって見ると、ARSR-4の後継レーダー計画「ARSR-R」として、その方向性が情報収集できますので、ご紹介したいと思います。
細部に入る前に、米国と日本では空の脅威を監視するレーダー網の構成が異なり、米空軍(宇宙軍も含む)は、航空機だけでなく、巡航ミサイルや弾道ミサイル対処も意識した「多重多層センサー網」を現在構成していますので、まずその全体像概要をご紹介し、本日取り上げる米本土の最後の砦である、「44基の警戒管制レーダー:FPS-130」の位置づけを把握していただき、後に後継機に期待されるであろう最新技術をご紹介します
米空軍(宇宙軍も含む)の「多重多層センサー網」の構成概要は
●【宇宙レイヤー】まず宇宙軍が配備している、約2,000nm/約3,200km探知レンジを持つ巨大高出力レーダーで兆候察知
・AN/FPS-108 COBRA DANE(アラスカ州シェミア島)ロシアのミサイル試験の情報収集・分析
・AN/FPQ-16 PARCS(ノースダコタ州キャバリア宇宙軍基地)北極ルートから飛来するミサイルの「早期警戒」と「攻撃特性評価」
●【大気圏内レイヤー】航空機・巡航ミサイルを「水平線の先」から探知
・Homeland Defense OTHR(米本土北部)/ Polar OTHR(カナダ国内):Over-The-Horizon Radarで数千キロ先の「水平線の向こう側」を広域早期警戒
・SB-AMTI(衛星から空中移動目標監視):低高度衛星軌道から地球を見下ろし、OTHRがオーロラなど電離層の乱れで能力低下時を補完。「脅威の正確な位置を宇宙から継続追跡」
●【防空レイヤー】国境や防空識別圏(ADIZ)に接近する脅威をより正確に捉える防空レーダー
・AN/FPS-117:北極圏沿いのアラスカ・カナダ北端配備:北極ルートの防空・要撃管制(探知距離250nm:航空・巡航ミサイル)
・ARSR-4とその後継機種:米本土の国境・海岸線配備:米本土「最後の砦」としての国境・領空監視(探知距離250nm:航空・巡航ミサイル)
上記のように、本日ご紹介する「44基のARSR-4レーダー:FPS-130」の後継は、「米本土の国境・海岸線」に配備され、国境や領空監視(探知距離250nm:航空・巡航ミサイル)を行うレーダーで、ここが日本とは大きく性格が異なり、また上記他レイヤーとも異なるのですが、
この空軍ARSR-4レーダーは、米連邦航空局FAAが民間機管制に使用する航空管制レーダーと、レーダー網維持の効率化追求のため「JSS:Joint Surveillance System:共同監視システム」を1983年から構成し、レーダーデータを共有しています。
FAAもデータを活用する「ARSR-4」の後継レーダーへの要求事項には
●政府による電波帯域の民間売却や民間利用の拡大に伴い、ARSR-4が妨害電波対策として使用していた「周波数ホッピング」の幅が狭められ、ジャミング耐性低下が懸念されるため、後継レーダーには、民間電波を阻害しない周波数帯域への「シームレスな移行・調整機能」や、電波環境を自ら収集して使用可能な周波数を動的に選択する「コグニティブ(認知)無線・レーダー技術」を導入
●1990年代導入のFPS-130 にはアナログ部品が多数あり、部品枯渇の恐れあり。デジタル・ビームフォーミング全面採用でアナログ部品を排除し、同時にソフト上で無数のビームを合成して目標探知の死角を局限。またレーダー性能をソフト更新で可能にするSDR機能を導入し、敵の新たな妨害技術や新兵器の投入に数日〜数週間で迅速対応
●FPS-130設計当時の主脅威は「巨大なソ連の爆撃機」や「超音速巡航ミサイル」だったが、近年は鳥や雨や波の反射と識別が困難な、「低空・小型・低速」なドローン脅威が深刻。このため後継レーダーには、「ドローンのローター高速回転が生む特有の微細な電波の乱れ(マイクロドップラー・シグネチャ)検知能力」が必要。また「距離・方位・高度」データに加え、目標の「詳細な速度ベクトル」を超高精度で処理する4D演算能力も要求
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日本の航空自衛隊がレーダーサイトに配備しているレーダーは、米軍とカナダ軍が北極圏沿いのアラスカ・カナダ北端に並べて配置しているレーダーと性格が似ていますが、米国のように政治経済の中枢地域との距離が十分に確保できる国土の縦深性はなく、配備探知距離1000㎞を超える弾道ミサイルの早期探知にも対応可能なモードが求められている点の他、市街地と近いことから電波使用制限も厳しい環境下に置かれています。
そのほかの様々な側面から、日本の地上警戒管制レーダーと、米国のARSR-4後継機を同じテーブルで議論することはできませんが、「厳しい電波環境」や「小型ドローン対処」は共通部分もありそうなので取り上げました。
なおご紹介したように、米国では空軍ARSR-4レーダーと連邦航空局FAAレーダーがデータを共有していますが、FAAは民航機の誘導に「雨雲」の情報が重要となりますが、空軍にとっては「雨雲」情報は後継レーダーの重要要素ではないので、設計仕様に関し意見の対立があるようです
衛星が宇宙から経空脅威監視SB-AMTI
「中核SpaceXに加え3企業と追加契約」→https://holylandtokyo.com/2026/08/24/15430/
E-7早期警戒管制機の導入ドタバタ
「E-7導入の継続決定」→https://holylandtokyo.com/2026/05/08/14678/
「E-7阻止に固執」→https://holylandtokyo.com/2026/03/05/14045/
「導入復活か?」→https://holylandtokyo.com/2025/09/24/12851/
「国防省が導入中止決定」→https://holylandtokyo.com/2025/07/02/12025/


10月14日付米空軍協会web記事は、米空軍が米本土国境沿い(+GuamとCuba)に1990年代から設置している44基の警戒管制レーダー(FPS-130:ARSR-4:Air Route Surveillance Radar-4:ARSRレーダー網の4代目との意味)の後継機を、9月21日から10月21日の間で募集と報じています。