1隻2兆円越えフォード級空母の費用対効果再検討へ

4月22日に解任の海軍長官が前日21日に語る
以前のニミッツ級空母は9000億円程度だったのに
2~4番艦は既に着手で見直し手遅れ状態で
2036年以降就航の5~6番艦の議論をするとか
戦艦トランプ級と「ゴールデン艦隊」導入の波を受け

4月21日、翌日22日に実質解任されたJohn Phelan海軍長官が米海軍協会「Sea-Air-Space symposium」で、建造コストがニミッツ級空母の約9000億円から倍増以上の2兆円越えとなっている最新型フォード級空母に関し、未着手の5番艦(空母クリントン:2036年就航計画)と6番艦(空母JWブッシュ:2040年就航計画)について、費用対効果が適切か5月末までの期間で再検討していると明らかにしました。

既に辞任した方の発言をご紹介する訳ですが、「フォード級空母の費用対効果検討は開始済」で「5月末までに検討終了」を待つばかりの状態であり、昨年12月にトランプ大統領が突然「トランプ級戦艦」18隻と関連艦艇16隻からなる「ゴールデン艦隊」構想をぶち上げ、そのための追加予算を米海軍は「スクラップ&ビルド」で捻出する必要があることから、高コストのフォード級空母がターゲットになることは不可避ですので、取り上げます。

末尾掲載の過去記事でフォード級空母開発の「惨状」はご確認いただきたいのですが、前任ニミッツ級空母と同規模ながら、欲張って「電磁式カタパルトEMALS」、「新型Arresting Gear:AAG」や「先進Weapons Elevators:AWE」開発導入等を試み、「開発遅延と経費爆発」を招いて建造費が2兆円越えとなった、典型的な「グダグダ装備品開発プロジェクト」です。

1番艦の空母フォードは運用開始していますがF-35搭載めどは立っておらず、対イラン作戦に参加中の3月12日に船内火災(洗濯施設付近)が発生して戦線離脱するなど「お騒がせ状態」で、2番艦JFケネディーは就航が1年遅れの2027年予定となっています。3番艦(空母エンタープライズ)と4番艦(空母ドリスミラー)は既に建造中ながら、1-2番艦の状況から2030年以降に遅れると言われています。

今回「費用対効果再検討」対象となったのは、5番艦(空母クリントン)と6番艦(JWブッシュ)で、21日Phelan海軍長官は、「予算面だけでなく、今後の艦艇部隊編成やニーズを踏まえて再検討する。これは賢明かつ現実的な措置だ」、「建造費用だけでなく、維持管理費も含めた検討だ」と説明しています。

更に同長官は、米海軍による、フォード級空母は電磁式カタパルトEMALS採用で「メンテナンス負担減少」「信頼性向上」「出撃率向上」を実現して約8000億円を節約したと主張が正しいか確認する必要もある、とも語っていました。
//////////////////////////////////////////

トランプ大統領は「電磁式カタパルトEMALS」が大嫌いで、2025年10月に来日して高市首相と横須賀停泊中の空母Jワシントン訪問の際も、「フォード級空母の電磁カタパルトはだめだ! 磁石が水に触れたら機能するか怪しい。蒸気カタパルトに戻せ!」と、日米同盟の話題そっちのけで「電磁式カタパルトEMALSとフォード級空母批判」に演説時間を費やすなど、コスト爆増のフォード級を事あるごとに批判していました。

かといって、米海軍が駆逐艦、潜水艦や無人艦をネットワーク連接する「分散型戦力運用」へと方向転換を図ってきたこの時代に、巨大戦艦「トランプ級」建造と「ゴールデン艦隊」構想をごり押しされた米海軍は、「悲劇の主人公」と言って過言ではなく、更迭されたPhelan海軍長官と共に「ご愁傷様」との言葉を贈ることしかできない現状です

追伸です。
実質更迭されたPhelan海軍長官の「即時辞任」の経緯ですが、各種報道からすると、Parnell国防省報道官が、X上での大統領と国防長官判断による解任発表直前に、Phelan海軍長官にその事実を通知した際、「武士の情け」からPhelan氏自身による「即時辞任」の形をとることも可能との選択肢を提示したところ、Phelan氏から「自身による即時辞任」を選択する旨の意思表示があった模様です。解任理由は良く分かりません・・・

米海軍装備の死屍累々
「時代錯誤のトランプ戦艦」→https://holylandtokyo.com/2026/01/05/13521/
「沿岸警備隊艦艇ベースに」→https://holylandtokyo.com/2025/12/26/13499/
「Constellation級艦2隻で中止」→https://holylandtokyo.com/2025/12/01/13315/
「沿岸戦闘艦LCS 削減へ」→https://holylandtokyo.com/2015/12/22/7818/
「Zumwalt級2隻で中止」→https://holylandtokyo.com/2016/10/29/7540/

フォード級空母関連
「EMALSと着艦フック信頼性がカギ」→https://holylandtokyo.com/2023/02/17/4274/
「初任務航海は片肺で」→https://holylandtokyo.com/2022/03/04/2692/
「6年遅れ不具合修復」→https://holylandtokyo.com/2022/01/05/2571/
「計画責任者更迭」→https://holylandtokyo.com/2020/07/09/568/
「お披露目演習でEMALS故障」→https://holylandtokyo.com/2020/06/19/627/

艦艇修理の施設と人的体制崩壊
「空母修理遅延の対策検討」→https://holylandtokyo.com/2023/07/27/4836/
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holylandtokyo.com/2020/08/27/534/
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holylandtokyo.com/2019/09/18/6650/
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holylandtokyo.com/2019/07/02/6679/

Phelan海軍長官の関連
「同長官の来日」→https://holylandtokyo.com/2025/05/01/11458/

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ
お支援下さっている皆様、ありがとうございます!そのお気持ちで元気100倍です!!!●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月)●ランチサポーターの皆様(1000円/月)mecha_mecha様kenj0126様●カフェサポーターの皆様(...
タイトルとURLをコピーしました