なぜ中国は韓国の原潜建造の動きに静かな対応なのか?

韓国ハンギョレ新聞の分析記事をご紹介
10月末、韓国大統領がトランプ大統領から建造承認を
「韓国原潜建造」事例から中国の思考パターンを学ぶ
韓国での「THAAD の教訓」を中国は忘れたか?

11月22日付ハンギョレ新聞が、「なぜ中国は韓国の原潜建造に静かな対応なのか?」との分析記事を掲載し、10月末に韓国大統領が米国に、「現有ディーゼル潜水艦ではNK や中国潜水艦を追跡する能力に限界があるので、原子力潜水艦を保有したい。米に原潜用燃料供給をお願いできないか?」と要請し、トランプ大統領が 10月30日に「韓国の原潜建造を承認する」と発言した件に関し、

中国の反応が比較的静かで、例えば中国外務報道官は「米韓が核不拡散義務を履行することで地域平和と安定を促進し、阻害行為を慎むことを望む」と原則論を述べるにとどまり、駐韓中国大使も「韓米原潜協力は商業的協力のレベルを越え、不拡散体制と朝鮮半島の不安定化に直結する問題で、韓国側も懸念を十分考慮し、慎重に処理することを望む」との「慎重処理」要請レベルであることや、

より直接的な反応が出る中国国営メディアでも、「米国が韓中関係を乱したり難癖をつけたりしないよう願う」、「米国のアジア太平洋戦略に韓国を巻き込もうとしている。韓国を危険な境遇に貶めようとしている」と論評し、韓国ではなく、米国に矛先を向ける論評姿勢である背景を、以下「4つの理由」から説明しているので、正誤を判断する知見が「まんぐーす」には皆無ながら、ご参考まで紹介いたします。

第1が最大の理由か
●原潜導入は10年以上必要な長期プロジェクトで、米国政治状況により変化の可能性大。
●また現時点で米韓合意内容は「極めて曖昧」で、今後両国間でもめる可能性も大。従って、中国が現時点で強硬な対応を採れば、韓米の連携を密にさせる逆効果となる恐れがあり、慎重に対応している

第2に、今は日中対立の時
●日本にタカ派とみられる高市早苗首相が誕生し、それ以前の日本政権と異なって中国に率直な主張を行い、また最近の高市首相による台湾関連発言により日中関係が高い緊張状態にあるが、この現状に鑑み、中国が韓国と原潜で今対立するのは適切ではないとの思惑が中国側で働いている。
●過去にも中国は、日中関係が改善局面では韓国に強硬姿勢で、日中関係が悪化時には抗日の歴史などを強調し、韓国を引き寄せる姿勢を示している

第3に、THAADの教訓考慮
●2016年に韓国が米軍のTHAAD 受入決定をした直後から、中国は韓国に対し、現在中国が高市台湾発言を契機に行っている日本への報復措置と同様の報復を行った。例えば、中国人の韓国への渡航自粛、韓国文化コンテンツ制限(限韓令)、韓国企業への威圧、外交的圧力を次々と繰り出し、中国外交官が公の場で「中国は大国、韓国は小国」と発言したりもした。
●しかし、余りにも露骨な中国の一方的な報復行為は、韓国国民の間に強く深い反中・嫌中感情を根付かせる結果となった(またTHAAD配備は粛々と完了)。中国側の外交専門家の間でも、THAAD 報復は中国の国家利益と戦略を損ねたとの暗黙の判断・評価がなされている模様

第4は韓国の中国への説明姿勢
●韓国が中国に対し、「原潜保有は対中国ではなく、北朝鮮の核脅威に対応するもの」とのメッセージを一貫して発信している点。
●韓国政府関係者は、「多くの外交チャンネルで、一貫して北朝鮮の脅威で説明している」、「核兵器を保有しない韓国が、北の核脅威に対応するには、原子力潜水艦程度は必要で、対中国用ではないと」と継続的に説明。専門家も、韓国が分裂せず、一貫姿勢を見せることが対中国外交で重要と指摘している。
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韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領はトランプ大統領にお願いする際、米国が在韓米軍や韓国軍を対NKだけでなく、アジア太平洋戦略に巻き込みたいとの意向を強く持っていることに配慮し、

「現状の韓国ディーゼル潜水艦では、北朝鮮や中国潜水艦の追跡能力に限界がある」と、「北朝鮮」と「中国」両方の脅威に言及しており、この時点で「第4の理由」では説明不能になっていると思うのですが・・・・ちょっと理解できません。

しかし、最近の中国による「日本への報復措置」を見るに、とても「THAAD の教訓」を学んでいるとは思えません。全くの「コピペ」対応かつワンバターン対応で、在外中国大使館による子供じみた「虚勢発信」まで類似していることに「パロディー感」さえいたします。

また、日本のオールドメディアや立憲民主党&共産党にも、恐ろしいまでに「判で押したような」発狂反応が見られることに、哀れみまで感じてしまう今日この頃です。

話は戻って原潜ですが、米国は AUKUS枠組みの豪州に続き、韓国にも「原潜カラ手形」の可能性を感じます。ハンギョレ紙指摘のように、莫大なコストとマンパワーと、複雑な維持管理の必要性から、豪州や韓国から断念の声が上がる可能性もありますし・・・。日本も無理する必要はないと思いますが・・・

米国防省が再検討の結果、細部は語らず・・・
「豪州への潜水艦トランプ再保証」→https://holylandtokyo.com/2025/10/27/13035/
「米が豪への原潜提供再検討」→https://holylandtokyo.com/2025/06/16/11838

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