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11日に米国防省が見直し中を認め、12日に豪国防相も追認
米海軍潜水艦建造もままならない中、豪に提供する余裕はない
それまで噂レベルの報道に言及を避けてきた豪首相も同12日に、「米国による見直しは承知している。米新政権がそれを行うのは自然なことだ」、「ただし、計画を進めることが重要だ。豪州は実現に自信を持っている」とコメントせざるを得ない状況となっています
まず AUKUS 合意について復習:2つの柱から構成
●豪州の通常兵器搭載の攻撃型原潜取得支援(Pillar l)
① 2027年から米英の攻原潜を豪州西岸の海軍基地にローテーション展開
② 2030年代初頭に米国からバージニア級攻撃原潜を最大5隻購入
③英次期攻平原潜の設計をベースに豪英共通のSSN-AUKUSを3国で共同開発。同原潜は、豪英の2か国が保有
●先進能力に関する技術協力(Pillar II)
・サイバー、人工知能など8分野で技術協力(極超音速兵器や量子コンピュータ等々含む)
・作業部会活動を通じ協力を進展。自律型無人機の共同試験や新型潜水艦の開発に与する潜水艇・量子コンバス開発等を実施
米国防省報道官は、この「見直し」がなぜ開始され、誰が関与し、いつ終了するか等について言及せず、米軍と米国の軍需産業の状態を懸念していると述べ、「見直しにより、AUKUSが常識とアメリカ第一の基準を満たしていることを確認する」と表現した模様です。
ヘグゼス国防長官と豪州の Richard Marles 国防相は、1週間前のアジア安全保障会議2025(Shangri-La Dialogue)で複数回会談していましたが、同地では双方から本件について一切言及はなく、豪国防相は質問に対し「AUKUSについては、両国で幅広く話し合っており、今回特段お話しすることはない」と返答していたとのことです。
ただ、米国防省No3に相当するElbridge Colby政策担当国防次官は、同ポストへの就任承認を得るための議会証言段階(3月)でAUKUSへの疑念を表明し、特に、米国が原子力潜水艦を増産するのは難しく、豪州に売却する余裕はなく困難で、「仮に(豪州を優先して)米軍人たちが弱い立場に置かれるようなことになるなら許容できない」と、就任前としては異例の発言をして「米国第一主義者」としての立場を明確にしていたところです
なお、2030年代半ばまでに国防費をGDPの約2.4%に増額する計画を打ち出している豪州に対しColby 政策担当次官は、もっと迅速に増額すべきだと主張し、米豪国防相会談後に発表の資料によれば、米側は豪にGDP比3.5%への引き上げを要望した模様です。
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今回の「見直し」が原子力潜水艦関連の(Pillar l)のみか、先進能力に関する技術協力(Pillar II)まで含むのか不明確ですが、(Pillar II)は、米国にとってもパートナーが必要な(Pillar II:末尾過去記事参照)は、おそらく大きな影響は受けないと思います
米新政権誕生後の様々な動きに、なかなか追いつけない老体のまんぐーすですが、これだけ「米国第一主義」を打ち出している米国政府が、どれだけ日本に新たな要求を出しているかが気になります。
関税交渉もカナダでのサミットで山場を迎えそうですが、そのほか各省庁レベルで、特に国防分野で、どんなことになっていることやら・・・
AUKUSでの取り組み
「宇宙監視レーダーDARC初号機設置」→https://holylandtokyo.com/2025/03/17/10911/
「E-7の能力強化」→https://holylandtokyo.com/2023/07/21/4871/
「豪がB-21爆撃機購入も一時検討」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「量子技術の軍事への応用」→https://holylandtokyo.com/2022/01/14/2577/
「AUKUS 締結発表」→https://holylandtokyo.com/2021/09/20/2255/

