ポーランドAegis AshoreをNATOが運用開始

2018年運用開始予定が6年も遅れ・・
兄弟のルーマニア部隊は2016年連用開始なのに
グアム島のAegis Ashoreは大丈夫?

11月13日、ポーランドのRedaikawoで建設&試験が行われていたミサイル防衛システム Aegis Ashoreの基地開所式が行われ、ポーランド大統領や首相、米欧州アフリカ軍司令官が列席する中、NATOに指揮統制が引き継がれ、合わせて式典の中でポーランド首相が同国内での砲弾生産能力拡充投資を行うことも明らかにしました

イランの弾道ミサイルから欧州を防御することを目的に2010年代半ばから開始されたミサイル防衛システム整備は、ポーランド施設と兄弟関係のルーマニアDeveselu所在のAegis Ashoreシステムのほか、スペインのロタ配備の米海軍イージス駆逐艦やトルコのクレチク配備の早期警戒レーダーANTPY-2から構成されています

ただ、兄弟関係のルーマニアのAegis Ashore システムが2016年から運用を開始したのと対照的に、ポーランドの施設は2018年運用開始予定で2016年から建設工事が開始されたものの、現地の工事請負業者ではAegis Ashore施設の複雑な耐震構造やEMP効果対処構造の契約履行が困難だった模様で、 2021年時点で工事は4年遅れの2022年完成予定といわれていましたが、

最終的に初期運用体制IOC確立が発表されたのが2024年7月で、その後の関連施設や要員の確保も含めて11月13日まで計6年間、NATOによる運用開始が遅れました

問題となった「複雑な耐震構造やEMP効果対処構造」の難しさはよくわかりませんが、米MDA長官が2021年時点で既に、「本来の移動可能なAegis Ashoreに戻せば、地震への耐久性やEMP攻整対処性能をそれほど考える必要はなく、恒久施設の複雑性の課題を軽減できる」と語っていたところです

とは言え・・・・ルーマニアでの1号機が順調に2016年運用開始で、ポーランドの2号機だけが6年遅れの2024年とは腑に落ちないところで、2022年時点では移動式を追求したいとMDA長官が語っていながら、固定式で落ち着きそうなグアムAegis Ashoreの出来業えが気になるところです

なお、ボーランド首相が11月13日に明らかにした砲弾生産能力拡充投資は、ウクライナで不足する155ミリ砲弾などの一連の主要弾薬製造施設を指しているとのことです

ポーランドAegis Ashore難航など
「難工事3年遅れ」→https://holyandtokyo.com/2021/08/23/2146/
「NATO核共有に意欲」→https://halylandtokyo.com/2024/04/24/5843/
「F-35導入13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

グアムのミサイル防衛関連
「24年後半に初期能力確認」→https://holyandtokyo.com/2024/09/11/6260/
「本格試験を2024年開始」→https://holyandtokyo.com/2023/08/22/4937/
「グアムを再度語る」 →https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holylandtokyo.com/2021/08/23/2146/

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