噂されていた元太平洋空軍司令官で元戦闘コマンド司令官
ペンタゴン勤務無しでハワイ韓国嘉手納アラスカと中東に勤務偏在の
2年勤務後の現職より年上で推定63歳の史上最高齢参謀総長へ
ACE構想を発案&積極導入した貢献はあるが
直近13名の内、11名が戦闘機操縦者の恒例空軍トップ人事パターンへ
既に退役手続き待ち状態の人物を引っ張り出し、米空軍トップに据える人事は異例中の異例ですが、「何でもあり」「不自然が自然」のトランプ政権では、退役済のDan Caine元中将を米軍人トップである統合参謀本部議長として再招集している実績もあることから、制服トップとNo2人事が混迷を極めていた米空軍と空軍を取り巻く人々からは、「決まって良かった・・」と安どの思いで受け止められているようです
しかし「異例は異例で」、Wilsbach氏は米空軍の本流と言われる戦闘機パイロットである点をのぞいては、既に2年同職を務めているAllvin大将より年上のご老体63歳で、アジア太平洋のハワイ/韓国/嘉手納/アラスカと中東の作戦運用部署に勤務経験が偏在し、空軍司令部や統合参謀本部や国防省勤務などペンタゴン経験が皆無など、政治と軍事が入り乱れる空軍参謀総長ポストからは縁遠い経歴の人物です。
具体的にその経歴を任地別で整理すると・・・
●1985年、フロリダ大学で土木工学を学び、ROTCコース学生として卒業、米空軍で戦闘機パイロットコースに進む
●嘉手納基地勤務
—大尉から少佐にかけ3年間、F-15C飛行隊の作戦運用幹部
—准将として、嘉手納基地司令官&第18航空団司令官
●ハワイでは
—少佐として、太平洋軍司令官の副官
—大佐として、太平洋空軍副作戦部長
—准将として、太平洋軍副作戦部長
ー大将として、太平洋空軍司令官
●アラスカでは
—少佐として、F-16飛行隊作戦担当幹部
—中佐として、F-16飛行隊長
—中将として、アラスカ地域司令官&第11空軍司令官(エレメンドルフ基地)
●韓国では
—2018年8月から中将として、第7空軍司令官&Osan基地司令官&在韓米軍副司令官
●中東では
—中佐として、中東航空作戦センター司令官
—少将として、米中央軍作戦部長や第9空軍司令官
●米海軍では
—少佐として、米海軍指揮幕僚大学卒業
●米本土では
—大佐として、フロリダ州エグリン基地の飛行群司令官
—大佐として、同基地司令官&第56航空団司令官
ー大将として、戦闘コマンド司令官、その後退役
最後のポストであった「戦闘機族のボス」空軍戦闘コマンド司令官としては、作戦機部隊の即応態勢と、アセットの健全性を評価する稼働率の評価基準改善の重要性を強調し、新たな指標を導入して「非公開」としたことで知られていますが、
本ブログではこの新評価基準を、新機種導入ばかりに資金を投入し、導入後のアセットへの維持整備を冷遇する「戦闘機パイロット特有」の「気持ちよく飛んでいたい」願望が生み出した「稼働率低下を隠ぺいするための姑息な改悪」と断罪して冷笑で迎えたところでした
「稼働率に代わる新指標を検証中」→https://holylandtokyo.com/2025/06/04/11583/
米空軍は今、多くの課題への対応と決断を求められています。F-35、KC-46給油機、T-7練習機は開発遅延と経費高騰を繰り返し、大統領専用機も混迷の泥沼にあえぐ中、B-21次期爆撃機開発や無人ウイングマン機CCA大量導入構想や突然のF-47次世代戦闘機導入発表など多額の資金を要する大型プロジェクトが目白押しなのに、年間空軍予算の3倍の経費超過となっている次期ICBM推進も迫られる「ひん死」の状態です。
そんな中、実質的に戦闘機の作戦運用のみに関わってきた、ペンタゴン経験なき元「戦闘機族のボス」の空軍トップ就任に、暗い見通ししか持てないのは、戦闘機嫌いの「まんぐーす」だけでしょうか?
輸送機パイロットながら、実務に精通した「玄人」として評価の高かったAllvin大将とは対照的です。以下は、ぶっちゃけて言えば「戦闘機パイロット族に辞任させられた」Allvin大将を惜しむメディア記事から拾った、同氏評価の一部です
●将官に昇任後のAllvin氏は、国防省、空軍司令部、米欧州軍、国連(J-5から派遣の米国連大使の上級軍事補佐官)で複数の戦略および計画担当将官の任務を果たして昇進し、空軍の利益をより強力に推進擁護し、複雑な米国政府官僚機能の中で米空軍を導く航法士として「完璧なインサイダー」の地位を確立した。
●2020年11月に空軍副参謀総長に就任後は、主に予算編成や新事業推進管理に実力を遺憾なく発揮し、「ワシントン流のノウハウを備えた教授的なリーダー」として、更に「人とは異なる大きいビジョン」を持ちつつ、熱心に勉強し、自制心を持ち、他者に敬意をもって政府内外の見識を集めて議論を進める高い能力を発揮
●特に副参謀総長として参加した国防省の新規事業計画の評価を行う「Joint Requirements Oversight Council」の中心メンバーとして、また戦略ペーパーの取りまとめ過程で、米空軍の優先事項を確実に国防省予算案に組み込んで、空軍司令部や空軍OBから高く評価された
Kenneth Wilsbach大将の公式経歴表
→ https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/108478/kenneth-s-wilsbach/
Wilsbach大将関連
「経歴紹介:次期ACC司令官候補に」→https://holylandtokyo.com/2023/05/11/4614/
「稼働率に代わる新指標を検証中」→https://holylandtokyo.com/2025/06/04/11583/
「ACE構想の生みの親が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
追い出されるAllvin大将関連
「内部からの退任要請を受けたか」→https://holylandtokyo.com/2025/08/27/12638/
「Allvin大将をご紹介」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/

